旅する火鉢 高樹のぶ子

旅する火鉢

ときを超え、被写体の顔や服装が変わっても、
旧い家族写真のかたすみには
必ず火鉢が写っていた。
それは人間とは別の生命を受けた、
不老不死の存在のようだ。
この火鉢はいったいいつ我が家に来たのだろうか。

有田焼と思われる火鉢は、祖父が放浪教師となって
九州を旅していたときに入手したと考えれば、
100年以上生き続けてきたことになる。

祖父は東京物理学校を卒業した際、
何日もかけて徒歩で戻ってきたらしい。
出兵して大陸から戻り結婚して放浪教師となって
出会ったであろう火鉢には、典雅な孔雀と
江戸時代の旅人たちの絵が施されていた。
その絵からは旅の楽しさと面白さが溢れている。

祖父はかなりこの絵に影響を受けたのかもしれない。
火鉢を見ると、旅をしている祖父が浮かんでくる。
きっと火鉢は時代を超越して旅を続けるのだろう。

ページをめくりながら、いつしか読者は
悠久の時を意識し、神秘の世界に引きこまれる。
芥川賞作家が描く
幻想エッセイ風ものものがたり第1巻。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。