映画にまつわるXについて 西川美和

映画にまつわるXについて

周囲が持て余すような気性の激しい朝青龍関は、
現実を生きるヒーローにはなり得なかった際どい豪傑。
傑作映画に感動しつつも現実では受け容れられず、
フィクションの世界だけにとどまってほしいヒーローのように。

悔恨だらけの黄昏にたたずむヒーローを心の糧とし、
とるに足らない物事にくじけ続けるちっぽけな人生に
寄り添ってくれる黄昏どきのヒーローを描こうと
もがいているとき、傍若無人の朝青龍関の気迫が
再び執筆する気力を奮起させてくれたと語る
映画監督西川美和氏のエッセイが綴られる。

凄まじい自信とプライドを持つ役者たち。
崩しては書き直し、書き直しては
たびたび崩して完成させる脚本。
原案から脚本、映画の完成までが、ひとつの物語になって、
巧みな比喩と擬人法、秀逸な文章力、
完璧な文末で描かれる映画の世界。

「映画にまつわるXについて」「ヒーロー」「裸」「オーディション」
「バリアフリー」「信仰」「再生」「お仕事探訪」「生き物」
「アプローチ」「免許」「音」「プール一杯分のビール」
「快適な入院生活」「ブリーズ・ストップ」「迷い犬」「蔵書の掟」
「私の名医」「深夜二時の男」「ああ、旅情」「同胞の人」
「夢のあとさき」「原案」「キャスティング」「是枝監督のこと」
「香川照之のこと」「オダギリジョーのこと」「その気のない転機」
「わたしが監督」「夜の闇」「緑色の氷嚢のあたたかさ」
「カエルとダザイ」「足りない女」「密陽に射す光」
「その気のない転機」「父のカチンコ」「あやふやな東京を撮る」
「あとがき」「文庫本あとがき」「装丁にまつわるXについて」
をテーマに、映画の醍醐味とは真骨頂とはなにか、
どのシーンに作品の命である意味があるのか、
現実には存在しない人間を演じることで
観る側の夢を作るなどなど、 映画を絡めて興味深く語られる。

著者は言う
《途切れぬ現実と戦う人々が、ひと時でもおのが暮らしから
距離を置いて、息をつける暗闇をしつらえておくために》
映画をつくるのだと。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。