反自殺クラブ 石田衣良

反自殺クラブ

『反自殺クラブ』
梅雨が明ける前から、35度を超える酷暑の東京。
西一番街の果物屋の奥で、スポーツ新聞に
載っている集団自殺の記事を読んでいたマコトの
前に、突然でかい軍服男が現れた。
巨体の脇から、とがったあごと明るい瞳の
小柄な女性も顔を出し、マコトを訪ねてきたと言う。

話を聞いて欲しいと言われ、西川瑞佳(ミズカ)と
原田英比古(ヒデ)に島岡孝作(コーサク)と名乗る
3人とともに、マコトは芸術劇場のカフェに入った。

3人はみな親が自殺して遺された子どもで、
今は反自殺クラブを結成して、自分たちのような
子どもを少しでもなくしたいという。
自殺サイト、特に集団自殺を募集する心中掲示板を
監視している彼らが問題のサイトを
プリントアウトした紙を取り出した。
サイト名は「スイ、スイ、サイド!」
集団自殺をプロデュースしているのはクモ男。

3人が言うには、
集団自殺は多すぎて手がまわらない。
冷静に判断できる目が必要。
あぶない世界にも通じて、人の手配もできる。
という条件で、手助けしてくれる仲間を探していて、
マコトの名前があがったらしい。

まじめな3人組が気に入り、退屈な夏を
吹き飛ばすにも、スパイダー探しはおもしろいと、
マコトは彼らの依頼を快諾する。

コーサクが集団自殺に潜入して、自殺を祝福する
堕ちた天使・クモ男に、反自殺クラブ&マコトが
その正体を突き止めるため、集団自殺を
阻止するため奔走する。
けれど、この世界と別の世界とを結ぶ境界の
住人であるクモ男も、実は……

自殺者は7年連続3万人を超え、自殺遺児も
1万人ずつ増えている日本の現状。
漠然と世界を覆ってしまう強烈な不安、
誰にも打ち明けられない悲しみ、
生きていられないほどの苦痛。
それらに襲われ、人は思考も身動きも
とれなくなってしまうのだろう。

自殺が果たして悪いことと言えるのだろうか……
心を楽にできるなら……
生きる権利があるのなら、死ぬ権利もあるので
はないだろうか……

死のうとしている人にかける言葉など見つからない。
ただ心のなかで叫ぶことしかできない。
でもきっと、その闇に吸い込まれないよう、
生きるすべての力で闘わなければならないのだ。

もし友人が、家族が、なにも告げずに、
この世界から去ってしまったら……
残された者は、行き場のない悲しみや、
ぶつけることのできない怒りや、
応えてもらえない疑問を投げ続ける。
そしてそれらの言葉は真空の空間に
虚しくさまよう、永遠に癒えない傷となって……

本編では残念ながらGボーイズの活躍はないが、
マコトの部屋がいつもと違うことに、自殺やうつ病の
心配をしながら、容赦なく心的外傷を負わせる、
スパイシーでいかしたマコトのおふくろも健在。

心理カウンセリングの勉強を始める、
いつもにも増して真剣なマコト。
最大の魅力である、シリアスな場面で冷静な
分析をしながら、クールに放つジョークも健在の、
『池袋ウエストゲートパーク』シリーズ第5弾。
ほかに『スカウトマンズ・ブルース』『伝説の星』
『死に至る玩具』収録。

反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク〈5〉 (文春文庫)反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク〈5〉 (文春文庫)
(2007/09/04)
石田 衣良

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。