恋の行方

かえ吉

まるでこのまま消えたくないと、
梅雨将軍が最後の悪あがきをしているような
凄まじい降りだった。
それでも出勤時間になる頃には
雨は小降りになっていた。

職場をめざし、ご老体の愛車・ワゴンRを
爽快に走らせていたが、
目に飛び込んできた生命体にギョッとしつつつ、
即決命名した名前を当たり前に叫んでいた。

「かえ吉!どこから入ってきたの ⁉︎」

鮮やかな緑色した仔蛙が、ダッシュボードの上で
お行儀よくカエルしゃがみしていたのだ。

車は進み、かえ吉の生まれ育った場所からは
どんどん離されていく……どうしよう?

わたしの心配に気づいているのかいないのか、
カエ吉は少しずつ身体の向きを変えていた。
そしてわたしたちは対角線に向き合う形となり、
見つめ合った、と思う。

車を運転しながら、カエ吉に見惚れていた。
吊り橋効果だろうか、恋におちたような……

気がつくと、カエ吉はいなくなっていた。
助手席の窓から落ちていったのだろう。
そしてわたしの恋も地に落ちた。
あぁ、儚い恋の予感……

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。