芥川龍之介短編小説 akai hana

芥川

『お時儀』
30歳になったばかりの保吉は
めまぐるしい生活を営んでいたため、
先のことしか考えられなかった。

しかし、ふと過去の一情景を鮮やかに思い出すことがある。
それはある避暑地の停車場の
プラットホームで遇ったお嬢さんのことだった。

16歳か17歳であろう彼女は美人というほどではないが、
愛敬のある円顔で、保吉はお嬢さんを見ても
昂った気持ちになるわけではないが、
姿を見かけないと失望に似た思いになるのだった。

顔を合わせるのはいつも午前中だったが、
その日は意外にも夕方姿をあらわしたのである。
ふいに保吉はお時儀をしてしまった。

お嬢さんも彼に会釈したが、
不良少年と思われたのではないかと、後悔の念にかられ、
また顔を合わせれば、とんでもないことをしてまうのではと、
病的な不安に支配される。
これは恋愛というのであろうか……

大正期を代表する文豪・芥川龍之介の
名作38作品が収録された傑作短編集。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。