パッとしない子 辻村深月

パッとしない

5人組男性アイドルグループ「銘ez(メイズ)」のメンバーで
MC担当の高輪佑(たかなわたすく)は、喋りのセンスと
頭の回転の速さで、高い人気を博していた。

今や国民的アイドルであるたすくが小学生のとき、
図工を教えていた松尾美穂は、たびたびその頃の
彼の様子を聞かれるが、
パッとしない子というイメージしかなかった。
ただ絵は斬新でセンスが良かった。

そんなある日、『スペシャリスト』という番組の収録で、
本人が母校の小学校を訪れることになった。
まさかこれほど有名になった彼が自分のことを
覚えていてくれると思っていなかった美穂に、
たすくが「先生に聞きたいことあるんです」と
質問してきたのである。

その内容とは
「ぼくのことをパッとしない子だったと、
あちこちで吹聴しているって本当ですか?」

息が止まり、全身が硬直した美穂に次々と
浴びせられる、彼女自身忘れかけていた事実は……

“たすくんスマイル” と呼ばれる笑顔が清々しく、
少年のまま歳をとったような綺麗なたすくから
聞かされる、もう記憶も不確かな真実。

読中、嫌悪と怒りばかりが沸き上がっていた。
きっと読後感は最悪なんだろうと思った。
でも、それは美穂に自分を見ていたからだ。

悪気などない。でも何気ないひと言が、
不快感と人を傷つける刃になることがある。
そして自分の存在すら怖くなる。

一度発してしまった言葉は、
二度と戻ってきてはくれないのだ。
気づかないうちに犯してしまう罪。
危うい心に警鐘を鳴らす短編物語。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

カウンタ
Kindle 電子書籍の購入
電子書籍リーダー
honto 電子書籍の購入
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
カテゴリ
リンク
おすすめ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
プロフィール

Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。