夢の罠 高樹のぶ子

夢の罠

2月のアラスカはマイナス20度前後。
オーロラを観るために、毎夜高揚と期待と失望を
抱きながら、天空が開けた場所に向かう。
山頂のテントでは、干からびた少年のような
日本人男性が迎えてくれた。

この山頂で罠を張って待っていたと話す男は、
狼を鉄砲で射止めるのではなく、
想像力で捕らえるアサバスカ族でノーベル賞級の
ウルフトラッパーなのだと名乗る。
そして言う、マッキンレーに登って遭難した
あの有名な冒険家・植村直己が、
近々氷が溶けて姿を表すと。

それから色彩に溢れた夏のアラスカを訪れた。
気温は30度を超えていた。
真夏でもオーロラは出ているというトラッパーに案内され、
針葉樹林を進み、懐古と未知の恐怖が
混在しているような円い広場に仰臥する。

視界を円く取り囲む緑の樹木を仰ぎながら、
自分も林の一部になっているようだ。
壺の底から空を見上げている心地。
罠にはまってしまったのか。

飛行機雲が交差してできたネットから
白い幕が垂れて、そこから男たちが下りてきた。
そのなかに……

美しい文章が幻想の世界へ導き、
傑出した表現力に意識が研ぎ澄まされる。
秀逸なフィクション、ものものがたり第2弾。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

カウンタ
Kindle 電子書籍の購入
電子書籍リーダー
honto 電子書籍の購入
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
カテゴリ
リンク
おすすめ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
プロフィール

Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。