6月の投稿書籍

イタリア家族被告人、ウィザーズ
  &マローン
1984年樹木の事典600種
罪と罰
睡眠第一!ですべて
うまくいく 
主任がゆく!新解さんの謎
私たちは繁殖している永遠の0ゼロまんがグリム童話ミスターエース
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ミスターエース 脚本 丸内敏治 ねじめ彩木 (シナリオ2014年8月号掲載)

ミスターエース

1931年、東京で個展を終えてから、岡山市出石町で
クニヨシ(国吉康雄)の凱旋帰国を祝う宴が開かれた。
そこで日本の軍国主義の風潮に
クニヨシは憤懣を隠せなかった。

1939年、ニューヨークでは日本の重慶爆撃を非難する記事が
新聞に大きく取り上げられていたが、
日本人であるクニヨシには、売店で新聞を売ってはもらえない。

アパートに帰ると「カーネギー国際絵画展2等受賞」の
電報が届き、式に出席するためクニヨシと妻のサラは
ウッドストックに向かう。

しかし新聞には日本人に賞を取らせたくないという意向が
ありありとうかがえる日本人蔑視の記事が掲載されていた。

クニヨシはモダンアートの重鎮でアン・アメリカン・
グループの会長、アメリカ美術家会議の副会長という
地位を獲得しながらも、スパイ容疑をかけられ、
敵性外国人として監視されていたにもかかわらず、
自分はアメリカ人だと主張し、アメリカ戦時情報局補佐官の
スコットに、対ファシズム戦争への協力を申し出る。

アメリカ民主主義を信じ貢献してきたが、
結局国籍を取得できなかったクニヨシは
「アメリカ政府はもうあなたを必要としていない」という
スコットの言葉に愕然とする。

アメリカ人であることを証明するために、
軍国主義の過ちを主張し、
日本を攻撃しようとするクニヨシ。
そんなクニヨシの行為を心配し、たしなめるサラ。

「イエロー」「猿」と蔑まれ差別を受けて、
歯向かえば暴力で返され、捕まれば国外追放という恐怖が
常につきまといながら、日本に生まれてよかった、
根っこは日本人だと感じつつも、
クニヨシの帰る場所はアメリカだった。

国籍のない移民少年が画家になり、
美術家の地位向上に奮闘したが、戦争が始まると
敵性外国人だと攻撃され、戦後は共産主義者だと糾弾されて、
やがて吐血し他界したヤスオ・クニヨシの生涯が描かれた、
日本シナリオ作家協会推薦委員会推薦作品。

アメリカを信じてアメリカに裏切られたクニヨシの思いに共鳴して
シナリオを完成させたが、諸般の事情で映画が流れてしまったと
語る脚本家丸内敏治氏のアメリカンドリームが、
本作の映画化がいつか叶いますよう!

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

まんがグリム童話 金瓶梅 Grimm fairy tale comics The Chinese Erotic Comic 竹崎真実

まんがグリム童話

貧困ゆえ、幼いころに張家に売られた
潘金蓮(はんきんれん)は、器量好しで
色好きだったことから当主の妾になったが、
本妻の怒りを買って蒸し餅売りの
武大(ぶだい)のもとに嫁がされた。

しかし金蓮は、あんなブサイクな亭主の
女房で終わるつもりはないと野望を燃やす。
そんなある日、金蓮が御簾を下げていたところへ、
薬の豪商で提刑所の副長官を兼ねた西門家の2代目
西門慶が現れ、金蓮はその艶姿に心を奪われてしまう。

ふたりは茶屋を営む王婆(おうば)に渡りをつけてもらい
逢瀬を重ねるが、やがて武大の知るところとなって
西門慶は金蓮に武大を毒殺させたのである。

そして金蓮は「この男は私がつかんだ運命だから、
決して離さない」と自分に誓い、
西門慶の第5夫人となるが、
しかしそこから始まる波乱の人生に金蓮は……

明代4大奇書のひとつで、乱れた倫理観により
なんども発禁になった淫書がコミカライズされた、
全100話からなる、淫蕩に復讐、
策略と陰謀が渦巻きながらも、
愛する切なさがひしひしと伝わってくる長編小説。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

永遠の0(ゼロ)        百田尚樹

永遠の0ゼロ

大学4年生から4年連続司法試験を受けて不合格になり、
今年は受験すらせずにぶらぶらしている佐伯健太郎に
4歳上の姉・慶子から、祖母の最初の夫のことを
調べてほしいとアルバイトを依頼される。

実はいっしょに暮らしてきた祖父は
実の祖父が戦死してから、祖母が再婚した相手だったが、
健太郎と慶子になんの疑念も持たせないほど、
なさぬ仲の娘と孫たちをかわいがってくれていた。

海軍航空兵だった実祖父は神風で戦死したという事実以外、
ほとんど何も知らされていない母が、
父がどんな人だったのか知りたいと呟いたことに、
慶子は気持ちを動かされたらしいが、フリーライターの姉が
新聞社の企画する終戦60周年プロジェクトのスタッフに
入れたことも関係しているようだ。

そして健太郎は、大正8年東京生まれ、昭和9年海軍入隊、
同20年南西諸島沖で戦死した宮部久蔵の調査を開始したが、
祖父は志願兵だったにもかかわらず
「生きて帰りたい」が名言で、出撃しても機銃痕もなく
必ず無傷で帰還する臆病者だったという最初の話は
健太郎をがっかりさせるとともに、
自分に向かって言われているような気がした。

次に聞いたのは、宮部は勇敢なパイロットではなかったが
優秀なパイロットであり、真の腕を持った搭乗員だった
ということと、バンカラな世界に身を置きながら、
礼節をわきまえた男だった。
そしてたった1週間だけの新婚生活だったが、
妻を愛していたということだった。

戦友会からの紹介で宮部久蔵を知る人を
訪ねていくうちに少しずつ見えてくる彼の人間像。

凄腕・早業で敵機を撃墜し宮部に
何度も助けてもらったという飛行兵。
「とにかく生き残ることを第一に考えろ」の言葉。
胸ポケットに宝物のように大切に忍ばせた妻と娘の写真。

しかし祖父という人物を知るために始めた調査は、
過酷な戦争の現実も……

太平洋戦争の分水嶺となったガダルカナルの戦い、
自決と玉砕を強要した大本営、そして十死零生の神風特攻。
人命を軽視する日本軍と、味方を守る米軍との思想の違い。
酷似している軍隊と現在の官僚組織。

徐々に明らかになっていく祖父宮部久蔵の人柄と、
妻である祖母と娘への想い、たとえ臆病者と罵られようと、
妻のために、娘のために生き延びる道を貫いた
真の勇気を持つ男が最期に選んだのは……

苦悩と恐怖、怒りと絶望の太平洋戦争で、若者たちの心や命、
運命への挑戦や悲劇が語られるなかで、
宮部の想いが生んだいくつかの奇跡、
言葉にならない感動に心を奪われる
壮大なロマンに満ち溢れた物語。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

私たちは繁殖している 内田春菊

私たちは繁殖している

妊娠6か月、夏。
中途半端にお腹が出ているこの時期は、
着るものにも困り、周囲がはっきり妊娠していると
分かってくれるわけではないのが気になって、
なんとなくイライラがつのる。
でも、胎動を感じてやっぱりなんとなく幸せな気分になる。

つわりといっても酷い症状はなく、睡魔と喉の乾きぐらいだ。
夏までは大きめのジーンズをはき、秋になると
綿ニットのワンピースを着たが、お腹だけ強調される
妊婦然とした自分の姿がおかしくてたまらない。
まるで人間洋梨とか壷そっくりなのである。

食事も健康なダイエットメニューと同じように
バランスのとれた、いつもと変わりない食事で充分。
妊娠しているからといって、特別なことなどなにもないのに、
腹帯をしていないというだけで周りはうるさく、
病院で母親学級を勧められても、結局行かずじまい。

でも、とにかく出産が待ち遠しい。

未知の陣痛がナゾのまま、予定日の1週間前の夜、
今までとは違う痛みが10分おきにやってきたが、
明日渡す仕事のことを思い出し、急いでPCに向かう。

電話で症状を報告し、ボーイフレンドが作ってくれた
うどんを食べてから、早朝4時、病院に到着。
周りの妊婦さんのうめき声が聞こえる陣痛室で、
陣痛の合間に仕事をしていたが、
そのうちそれどころではない痛みがやってきて、
子宮口が9センチ開くまで我慢し、
破水して分娩室に移ったのが正午だった。

赤ちゃんの頭が見えてきて麻酔されてから、
痛みが消えた。
新人の医者が見学しているのが見えたので
「出て行け」と言いたかったのに、
やっぱりそれどころではなく、
ついに赤ちゃんご対面!となった。

土砂降りのなか、P.M12時35分、2,558gの男の子誕生。

そして、一般的には壮絶だといえる出産すら、
おもしろかったと語る著者の、とうてい育児ノイローゼとは
無縁の子育て日記へと続いていく。

ほんの小さな我が子を “異性の対象” としての視線でとらえた
エロあり、笑いありで綴られる出産&育児コミックエッセイ。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

新解さんの謎   赤瀬川原平

新解さんの謎

友人の娘さんで路上観察学者のSM君から電話があった。
彼女は今、新明解国語辞典の
1379ページ【恋愛】の欄に来ているという。

私も新明解国語辞典を持ち出して引いてみた。
【恋愛】《特定の異性に特別の愛情を抱いて、
二人だけで一緒に居たい、
出来るなら合体したいという気持を持ちながら、
それが、常にはかなえられないで、
ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて
歓喜する)状態》
という文学的な表現に二人は感動し、
次に【合体】を引く。

翌日、彼女から速達で送られてきた手紙には
【性交】の意味が書かれていた。
【性交】《成熟した男女が時を置いて
合体する本能的行為》とある。

これは明解というより、実感国語辞典であり、
親切国語辞典だ。
さらに【馬鹿】【かねがね】【火炎】【国賊】【ごきぶり】
【むっちり】【家出】【嬌羞】と報告は続く。

“辞書を読む人” になったと語るSM君は、
新明解には新興宗教のような力があり、
最近、辞書を読みふけっているという。

明解にするために、攻める辞書である新明解国語辞典に
誘いこまれた私は、市販されている現実のなかで、
濃厚で密林のような森にひきこまれていった。

インターネットにウォシュレットの
ペーパーレス時代にありながらも、
たぶんどこの家庭にもきっと存在する新明解国語辞典。

日本語を明解にしようとするパワー。
ミスを恐れない説明サービス。
読書する辞書。

SM君がつけたこの辞書のあだ名「新解」さんが
身をもって示す攻めの辞書である新明解国語辞典。

調べた言葉の解説からさらなる言葉へと引き寄せられ、
蔦のように伸びて繁る言葉の密林探検記。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

お尻が立派、初めまして Ms. フェンネル



冬将軍が最後の力を振り絞っていた極寒の季節、
1か月ほどイタリアをまわっていたという友人から
お土産が届いた。

ゴールドの長財布とオリーブの瓶詰めにフェンネルの種。

風水の考え方では、金色や黄色のお財布は
金運アップで縁起がいいというし、
オリーブは大好きな果実なのでイタリア料理の意欲がわく。

フェンネルの種は……

雪が溶け、桜の開花情報がちらほら聞かれるころ、
庭の土を掘り、ホームセンターで買ってきた野菜の土と
入れ替えて種を蒔いた。

1週間が過ぎ、2週間経ち、毎朝夕水やりをしながら、
土の表面を凝視するもなんの変化もない。

それから約1か月後、細く弱々しい芽が顔を出す。
目にした瞬間、その芽は秋桜に思われたが、
でももしかしたらと淡い期待を胸に
しばらく見守っていた。

すると秋桜に酷似している芽が次々と生えてきて、
ようやくフェンネルであることを実感する。

それから毎日の水やりが楽しい。
弱々しい芽は、根に近い部分がやがて
少しだけ立派なお尻に育っている。
ちなみにそのお尻部分の名称は
鱗茎(りんけい)とのこと。

フェンネルは日本ではあまり出まわっていないらしく、
スーパーのハーブコーナーでも見たことがなかった。
だからわたしにとっては未知の植物。

そこでさっそくフェンネルレシピを検索する。
お〜!あるあるレシピの数々。
サラダ、スープ、餃子、アヒージョ、
パスタにフェンネル酒まで。

収穫まではまだ時間がかかるだろうけど、
なにを作ろうか迷うなぁ。

あっ、マリネかザワークラフト風の瓶詰めを作って、
送ってくれた友人にお返ししよっか!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

主任がゆく! たかの宗美

主任がゆく!

豊満な胸とくびれたウエストに
引き締まった足首で颯爽と歩き、
人脈広く礼節を重んじて
仕事もできる北見主任だが……

彼女が去ったあとにはカイロが落ちていたり、
トイレから出た後ろ姿は
スカートの裾が下着に挟まれ丸見え状態、
ビアガーデンでは酔っ払ったまま、
スカート姿で大股開き、電車でチカンに襲われれば
逆にボコボコにやっつけ、
野球拳で社長をパンツ1枚に打ちのめし、
部長と、女子トイレの2度流しで大論争、
コップ酒をあおり外れ馬券をばらまく、
酔っ払って公園のベンチで寝てしまう
気どらない魅力にあふれるOL。

酒好きカラオケ好き乱暴好き、
アクティブでナイスバデー&美形なのに
男前で万年便秘、理解不能な行動と思考回路。
そんな北見主任が繰り出すお色気あり笑いありの
ハチャメチャオフィスコメディ。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

「睡眠第一!」ですべてうまくいく 成田 奈緒子

睡眠第一!ですべてうまくいく

健康のため、食事に気配りする人は多いが、
睡眠について正しい知識を持つ人は少ない。
睡眠をおろそかにしがちな現代人は、
朝、食欲がない、便秘や生理不順などを
うったえる人も多く、それらの不調は
生活リズムが狂っていることに起因している。

健康とは睡眠第一で、人間本来のリズムをきざんで
生活することが大前提であり、空腹によって目覚め、
食後に便意をもよおして、元気に活動するから
疲れて眠るという生活、早寝早起きが
健康と幸福をもたらしてくれるのである。

脳には身体の機能をコントロールする古い脳と、
高度な心や情感を司る新しい脳があるが、
生きていくために古い脳から出される
「眠りなさい」という指令を、新しい脳が
「仕事を片付けなければ」と考えて無視してしまう。
そうなると睡眠リズムが狂いはじめ、
やがて心や身体に不調が現れる。

発達障害や心身の病にも影響を及ぼす睡眠。
小児科医で、ワークショップ『子育て科学アクシス』を
主宰する著者が、心が元気、身体も元気で
幸せに生きるために睡眠の重要性が説かれた1書。

『はじめに 「まじめに寝ること」は幸せの鍵』
『第1章 寝ないと死にます!』
『第2章 しっかり寝ると気持ちがポジティブに』
『第3章 寝ることで仕事も勉強も効率アップ』
『第4章 「7時間睡眠死守」は時短につながる』
『第5章 どうしても帰宅時間が遅いときには』
『第6章 夜8時に寝かせるだけで子どもは育つ』
『第7章 寝ていない母親が家庭を壊す』
『第8章 主婦がキッチンを独占しない』
『第9章 睡眠の質をよくしよう』
『第10章 朝早く起きることから始めよう』
『あとがき』

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

スクラッチ で 結ばれた絆



東京から友人が訪ねてくれた。

駅まで迎えに行き、我が家までの車中で訊いてみる。
「夕ご飯どうする?
外に食べに行く?それともおウチご飯にする?」

すると、彼女は言う。
「実はね、食べてもらいたいメニューを考案したから、
いっしょに作ろう」

というわけで、急遽近所のスーパーで
食材を調達することになったが、そこの駐車場には
ときどき大きく当たると言われている宝くじ売り場があった。

タイムリーにその日は大安。
「今スクラッチ販売中だから買ってみようか」
どちらともなく発した提案にお互い異論はない。

購入した食材とスクラッチを持参して我が家に到着。

とりあえずわたしがスーパーで買った品物を
整理しているあいだに、友人はスクラッチを削る。
しばらくして彼女が抑揚のない声音で
「当たったよ」と、ひと言。

どうせ、10枚買えば必ず入っている200円当選カードだろうと
思ったわたしも抑揚のない声で
「いくら?」と訊いてみる。
すると返ってきた答えは、な、なんと10,000円だったのである。

それからわたしたちの手は、音楽を奏でるように
リズミカルに包丁を操り、フライパンをまわして料理し、
友人来訪歓迎と当選祝いをワインで乾杯した。

そういえば仲間何人かで宝くじを購入すると、
そのなかにくじ運のいい人がいる可能性があるため、
当選の確率も高くなるとか。

今年の宝くじ戦略は共同購入にしようか……

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

罪と罰 手塚治虫

罪と罰

革命前夜の帝政ロシア・ペテルブルクの町は、
裸足の子どもたちや酔っぱらいと売春婦であふれ、
期待と絶望が交錯していた。

貧乏学生のラスコルニコフは質屋通いをして
生活費を工面していたが、高利貸しの老婆に
母からもらった時計に50円の安値をつけられ憤慨して、
生きていても役に立たないババアだと独善的な思いから、
斧で彼女を殺害してしまう。

ペンキ屋のニコライが偶然落ちていた金時計を拾ったために、
老婆殺しの嫌疑をかけられ捕えられたが、
ポルフィーリィ判事は田舎者のペンキ屋に
あんな大それたことができるわけはなく、
ラスコルニコフが真犯人で
いずれ自首するだろうと確信していた。

郷里には妹のドーニャがいるが、
ルージンとの縁談が持ち上がっているこを聞かされた
ラスコルニコフは、売春婦と貧乏を見くだす
傲慢なルージンとの結婚に猛反対する。

酒場で出逢った飲んだくれのマルメラレラレドフは
娘を娼婦として働かせている罪に苛まれ、
飲んで自分を傷つけることで罰を与えていた。

自分は天才で、天才はなにをしても許されると
思っていたラスコルニコフだったが、
マルメラレラレドフの娘で娼婦のソーニャと出逢い
惹かれていくうちに、マルメラレラレドフやソーニャのように、
自分から苦しみに飛び込んでいきたいと切望していく。

ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーの長編小説で、
「現代の予言書」とも呼ばれる『罪と罰』
神の存在、現実と理想、良心の呵責、人間回復への願望など
普遍的で哲学的なテーマが描かれた文学の最高峰が
コミカライズされた1冊。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

葉・花・実・樹皮でひける樹木の事典600種   金田初代(文) 金田洋一郎(写真)

樹木の事典600種  

鮮やかな緑色した葉、奥深く刻まれた色の樹皮、
鮮明な赤色の実、幸せ色の黄色い花の写真が
ひと目を惹く装丁の本書。

色の乏しい冬が去り、街がいろめきづく春になると、
公園や個人のお家の庭などでよく見かける植物。
でも、名前は知らない。
そんな樹々とよく出逢う。
そしてその花の、樹の名前を知りたいと思う。
そんなことをこの季節、いつも感じていた。

例えば、堰の脇に立つ大木から垂れている黄色い花。
形は藤の花に似ているが、色はイエロー。
いったいなんという樹なのだろうと、
ずっと不思議に思っていた。

少なからず植物に興味のあるわたしは、
本書の存在を知って即購入し、
その黄色い花房をつける樹の名前を知った。

そう、ちゃんと載っていたのだ。
わたしが不思議に思っていたその植物が。

出逢った樹々に魅せられ、その植物の名前を知りたいと
願ったことのある人には、たいへん興味深い植物図鑑。

【目次】
イラストでわかる樹木用語
樹木の用語
葉・花・実・樹皮からさがせる写真目次
本書の特色と使い方
季節の花を楽しむ樹木
実が特徴的な樹木
紅葉が美しい樹木
つる植物とタケ・ササ
針葉樹とコニファー
樹木を楽しむ
(1)味わう 新芽や若葉、実など野生の味覚を味わう
(2)遊ぶ 木の実や葉っぱで遊ぶ
(3)つくる タネから育てて小さな盆栽をつくる
(4)つくる 樹木で演出する小さな庭づくり
樹木索引

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

まんがで読破 ジョージ・オーウェル・作 1984年

1984年

運命を決める行為だと熟知しながら、
ウィンストンは日記を書きはじめた。

1984年、世界はユーラシア、イースタシア、
オセアニアに分かれて争っていた。
ビッグ・ブラザーが指導するオセアニアに属す
イギリス国民は、思考警察の監視下にあり、
すべてが国によって統制され、3つの階級
(党中枢・党外郭・プロール)に分けられていた。

愛情省、平和省、真理省、潤沢省に統治された独裁体制に
反旗を翻したエマニュエル・ゴールドスタインは、
党を離反し抵抗勢力を煽動しているといわれる。

思考警察に見つかれば蒸発させられてしまうのに、
ウィンストン・スミス(39歳)は、
なぜ日記を書こうと思ったのか思い出せないでいたが……

ふと思い至った。
それは「2分間憎悪」でのこと、
党中枢のオブライエンが心の声で話したのだ。
「軽蔑・嫌悪・憎悪、私も君と同じだ」と。
ブラザー同盟の一員かもしれないと微かな希望を
抱かせてくれたオブライエンは言った。
「闇の存在しないところで会おう」
それは正しいことを正しいと言える真実の自由がある場所。

ウィンストンは報道や娯楽を管理し、
記録の改ざんを行う真理省で働いていたが、
“記憶の穴” に捨てられた事実を簡単に忘れて、
記憶を書き換えることができない彼の前に、
ある日黒髪の女性・ジュリアが現れた。
そしてふたりは古道具屋の1室で密会を重ねるようになる。

個人の感情など不要、党や全体が最優先だと植えつけられ、
空っぽな器になることに脅えながら、ふたりが逮捕され
拷問にかけられたら、お互いのことを自白してしまうだろう。
でもそれは裏切りではなく、感じることをあきらめ、
愛することをやめてしまうことが最大の裏切りだと、
強い信念を持つふたり。

拷問は自白させることはできても、
信じさせることはできない。
人の心に入り込むこともできないと
信じているふたりだったが、
やがて思考警察にとらわれ、拷問を受けることに。
そしてオブライエンは……

思考の幅を狭めるためのニュースピーク。
あったことをないと信じ込ませるため、
黒を黒だと信じる能力を奪い、
イングソックの恒久的支配の要素である二重思考。
戦争は平和なり、自由は隷従なり、
無知は力なりの3つのスローガン。

拷問による思想犯罪者の破壊・洗脳、二重思考、思考警察、
一党独裁、イギリス社会主義などの政治的背景のもと、
全体主義国家により分割統治された近未来の恐怖が
描かれた最高傑作が、分かりやすくコミカライズされた1書。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

被告人、ウィザーズ&マローン スチュアート・パーマー&クレイグ・ライス 宮澤洋司訳

被告人、ウィザーズ&マローン  


本書の著者、長年の友人だったスチュアート・パーマーと
クレイグ・ライス。
ふたりは文通でリメリックや物語を送りあっていた。
ライスは完全にスチュアートの裁量に任せて、
完成したのが幸運で平和的な共作であり、
個性的なふたりの主人公が活躍する短編集
『被告人、ウィザーズ&マローン』だった。

『今宵、夢の特急で』
シカゴでも名高い店パンプ・ルームで、
悪徳政治家スティーブ・ラーセンの無罪判決を
祝うパーティーが開かれていた。

ラーセンの友人たちがグラスを仰いでいるなか、
小柄な弁護士ジョン・J・マローンは会場を見まわすが、
ラーセンの姿はない。

ほかの連中に金を奪われる前に
ラーセンから3,000ドルの弁護料を回収しなければと
焦りながらも、マローンは隣りのテーブルにいる曲線美人で
赤毛の女性が気になって仕方なかった。

パーティーには検察側の証人に立った私立探偵で
抜け目ないバート・グリックも出席していた。
そして彼は言う。
「このパーティーに主役は現れない。
ラーセンはスーパー・センチュリー号で
ニューヨークに旅立つようだ」と。

目の前が真っ暗になったマローンは大急ぎで
天使のジョーに切符代を借りて駅に向かい、
老婦人や海兵たちに司教、そして赤毛の女性や
キャリーに入れられて泣き叫ぶ猫やオウムとともに
列車に飛び乗った。

赤毛女性の隣室を確保したマローンはラーセン探しを
後回しにし、隣りの客室にいる女性に魅惑的な薔薇の
花束といっしょにラウンジに誘うメモを渡し、
食堂車に入って彼女を待った。

しかし赤毛女性は現れず、話しかけてきたのは長身で
三歳馬を思い起こさせるような女性だった。

学校教師でヒルデガード・ウィザーズと名乗る彼女から、
まるで千里眼を持っているような口調で、
今回の裁判を非難されたマローンは居心地が悪くなって、
そそくさと食堂車を出るが、酔って車内をさまよい、
ふらつく足でデッキに出ると、そこでまたウィザーズと出くわす。

マローンは「食堂車で新聞紙を顔に乗せて居眠りしていた
妖しい水兵がマローンの車室に入ろうとしていた」
というウィザーズの言葉に歓喜し、車内を迷いながら
車室に戻るが、隣室にいるはずの赤毛の女性の姿はなく、
そこにいたのはウィザーズで、
しかもその部屋でラーセンが裸で死んでいると聞かされる。

そして名コンビの探偵物語がはじまる。

親指に噛みついたオウムに、マローンが
「ありがとう。いつかその首をへし折ってやるからな!」と言うと、
「マヌケ頭をフライにしちまいな!」と奇声を浴びせるオウム。
それを聞いて、やれやれと
「シンドバッド、あなたは禁固刑よ」とオウムをたしなめるウィザーズ。

そこかしこに散りばめられた笑いと幸せへの誘歩道。

酒と女と歌に目のない三文弁護士・ジョン・J・マローンと、
馬面の独身女性教師で、淑女ぶったお節介焼きの
ヒルデガード・ウィザーズ。
それぞれの著名な作家が生み出した主人公たち、
いかれたふたり組を共演させた、
類い稀な傑作短編小説はさらに続いていく。

『罠を探せ』
『エヴァと三人のならず者』
『薔薇の下に眠る』
『被告人、ウィザーズとマローン』
『ウィザーズとマローン、知恵を絞る』

マローンというユニークなキャラクターを生み出した
ストーリーテラー、ライスのアイデアを
パーマーが消化し融合して完成した
唯一無二のユーモア・ミステリー共演シリーズ。

先日、久しぶりに前職の同窓会に出席した。
その日、仕事のため遅れて会場に着いたわたしの
隣りには、すでにほろ酔いかげんの元先輩がいた。
そして彼はおもむろに1冊の本を差し出して言う。
本が好きだったよね、と。

「えっ、いただけるんですか?」
「いやぁ、これ僕が訳したんだよ」
「す、すごいですね!英語、堪能なんですか?」
「訳すぐらいはね。問題は文章力さ」

はぁ〜、いとも簡単に……
さすが、最高峰の大学出身者だなぁと
畏敬の念を抱きつつ拝読する。
数ページ読み進むうちに、違和感がないことに気づく。
海外文学の翻訳書でありがちな
不自然な言いまわしをいっさい感じなかった。

知人の書ということ抜きに、多くの方に読んでほしい1書。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

イタリア家族 風林火山 ヤマザキ マリ

イタリア家族 風林火山

マリはイタリア留学時代、フィレンツェでルネッサンス史を学び、
ペッピーノの両親宅を何度か訪ねていて彼と知りあった。
マリが帰国すると、ペッピーノは恋煩いで入院してしまい、
そのことを知って仰天したマリは
彼からのプロポーズを受け入れたのである。

受け入れたものの、ペッピーノはマリより14歳下の大学生で、
しかもマリには8歳の
息子デルス(北方民族の狩人という意)がいた。
それらの事情をすべて受け入れたうえで、
古代ローマの狩人がデザインされたカメオを
プレゼントしてくれたペッピーノに、
マリは「もうこの人しかおらん」と、感動し結婚の決意を固める。

北イタリアベネット州、南アルプス・ドロミテ山塊の麓にある
夫の実家は、地上2階地下2階で幅約80mもある広大な家だ。

家を考案したのは、フリーのエンジニアで舅のアントニオ(62)だが、
飛び出す靴箱やら、ジグザグの階段やら、
その家はヘンテコなアイデアで溢れていた。
さらに韓国風焼肉コーナーも考案し、
本業そっちのけのアントニオに、姑は怒り心頭。

イタリア人と結婚して、イタリアで生活していると言うと、
たいてい有名ブランドやイタめしに素敵な観光地を想像して
羨ましがるが、ファッションには興味のない学者の夫ペッピーノと、
ペッピーノを溺愛する姑と小姑、独り身の人を見ると
お節介をやきたがる舅、自給自足に近い生活で
こき使われる毎日をブログでカミングアウトしたことから
まとめられた本書。

自分に酔いしれ自分大好き、怖い話と血液型別性格診断は信じず、
加齢に比例してパワフルになるイタリア人。
人の話を聞かず、エネルギーを消耗するイタリア人との会話。
家畜を料理する肉と血と脂にまみれ、広い自宅に
何十人も集まるクリスマスと驚異の年末年始など、
国際結婚のありようが愉快に描かれた赤裸々エッセイコミック。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。