5月の投稿書籍

スクープリバーシブルマンチーム桜姫華伝
アロハ魂リボンの騎士闇の花道花衣夢衣
ポケットに名言をピコピコ少年紙の砦

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母の日 と 石垣苺 と 我が家 の 苺

Homegrown Strawberriesのコピー 


毎年カーネーションというのもおもしろくないんじゃない?
と悩みつつ、昨年の母の日は、母に鉢植えいちごを贈った。

わたしの生家は、もともと長屋様式だったらしく、
隣家との境は壁1枚の狭い土地に建てられている。
当然、庭はない。

母の日から1か月ほどが過ぎ、母が言う。
「実も生って、充分鑑賞したから、
おまえの家の庭に植えたら」と。
そんな訳で我が家に出戻ってきた鉢植えいちごは、
地植えいちごとなった。

秋になり、冬が訪れた。
そう、極寒の信州。
でも、いちごは凍える雪の下でちゃんと
息づいてくれていたようで、5月に入ると、白く小さな花を
いくつか咲かせ、そして今、赤く熟した実が数個、
わたしの心も色づかせてくれる。

数年前まで春の恒例行事は、日本平の桜を愛で、
その帰りに久能石垣に寄って駿河湾に圧倒されながら、
いちご狩りでお腹に幸せを詰め込むことだった。

大粒で美形に育ったハウスの苺ももちろん美味しいけれど、
貧弱でちょっとブサイクな半野生苺もなかなか味がある。
それになんといっても生産者はわたし自身。
じつはほとんど植えっぱなしで、
あまり手をかけた記憶もないけれど……育てた悦びがある。

来年はちゃんと苺が好きなご飯もおやつも差し入れます。
だからまた、わたしの眼と舌に幸せを!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

紙の砦  手塚治虫

紙の砦

『がちゃぼい一代記』
昭和20年9月、ヤミ市が軒を連ねる大阪。
20歳のガチャボイ(手塚治虫)は、
浮浪者のようにボロボロの格好をした
マンガの神さまと出会った。
戦争によってマンガが禁止されたため
落ちぶれてしまったが、ガチャボイに取り憑いて
彼を一人前のマンガ家にし、ブームを起こすのだと、
神さまは言う。

とにかくガチャボイにマンガを描かせようと、
神さまは寄席や製薬会社、宝塚歌劇などへ行って
営業し、ガチャボイは大阪大学医学部に通いながら、
講義が終わるとジャンパーにベレー帽という出で立ちで
出版社をまわる生活が始まったのである。

手塚のマンガは人気を博していったが、
誰もが賞賛してくれるわけではなく、
辛辣な批評を耳にしたガチャボイは、
医者になるかマンガ家になるか思い悩む。

昭和28年7月、上京して3年経ったガチャボイは、
月に9本の連載を持つ若手売れっ子になっていた。
所得番付1位の漫画家になった8年後、
ガチャボイは動画スタジオ「虫プロダクション」を
設立する。
虫はマンガの虫・映画の虫という意味で、
アニメーションに新しい開拓の道を見つけたのだと、
ガチャボイは言う。

昭和40年4月には『鉄腕アトム』がアメリカで放映され
好評だったが、マンガの神さまから
「本当に中身のあるマンガは少ないから、アメリカなんかで
いい気になっていないで、日本に帰れ」と忠告され、
ニューヨークにいたガチャボイは
帰国していいマンガを描くことを誓うのだった。

そして青春時代を回想しながら、物語は続く。
『紙の砦』
『すきっ腹のブルース』
『トキワ荘物語』
『という手紙がきた』
『動物つれづれ草』
『どついたれ(抜粋)』
の6編収録。

第二次世界大戦、戦中から戦後にかけての時代背景。
軍事教練や軍事工場動員に空襲など、
反戦メッセージとともに、良心もモラルも
入り込めない混乱のなかで見ず知らずの人の情や、
戦争が終わり、生き続けるための戦争が始まるという、
過酷な生が描かれた、
マンガをこよなく愛する手塚治虫の自伝的短編作品集。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

ピコピコ少年 押切蓮介

ピコピコ少年

『初恋少年』
小学1年の良は、ゲームウォッチの
「ドンキーコング」に夢中で、
1日3回ゴリラを倒さないと気が済まない。
親に取り上げられても、隠し場所を
探し出して、またプレイにのめり込む。

ある日母が出かけ、良は近所に住む
貴音(たかね)ちゃんの家で
留守番することになった。
良は、やる気のない表情をした、明らかに
自分よりバカな貴音ちゃんが好きなのだ。

でもちょっと気になって、貴音ちゃんに
どうして勉強しないのか訊いてみると、
なんと驚いたことにファミコンを
しているからだと言う。
あの任天堂のゲーム機である。

色も音楽も付いた、テレビによる画面の
高度な世界の衝撃は、パニックに陥るほど
凄まじいものだった。
そしてイーアル・カンフー、スパルタンX、
いっき、カラテカ、ゲゲゲの鬼太郎など、
ゲームし放題の良はファミコン中毒となり、
かけ算もわり算もできない2年生になっていた。

そんなある日、貴音ちゃんがお母さんに
連れられてやってきて、もうゲームは
しないからと、ファミコンを置いていったのである。

4年後、貴音ちゃんはクラスの秀才になり、
良は小学2年の学力で、本格的な
ゲーム中毒になっていた。
ファミコンは恋と学力を奪ったけれど、
たくさんのファミコン星に連れてってくれた。
だから貴音ちゃんに感謝なのである。

そして
『LOVEゲーム対戦少年』
『PCエンジン少年』
『駄菓子屋少年』
『バイオレンス少年』
『行列少年』
『四面楚歌少年』
『ゲーム教育少年』
『癇癪少年』
『センチメンタルハート少年』
『秘密の城少年』
『ピコピコ少年』
『ピコピコ少年外伝』
『あとがき漫画』
と、勉強もスポーツもダメな少年が、
凄腕美少女にときめいたり、PCエンジンを
探したり、他校の中学生と戦争したり、
深夜にFFVを買うために孤独と闘いながら
並んだりと、著者の実話をもとに、
ゲーム魂を極めた物語が綴られる。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

好っきやねん、大阪弁!

Hot Spicy

最近、というか、ずっと前から大阪弁が大好きやってん。
情が深いちゅうか、他人のことをほってけへん大阪人気質が、
その言葉に滲んでるような気がして、
ついつい “エセ大阪弁” をつこてしまうんや。

けどな、生粋の大阪人と話すと、「それおかしいやろ!」
言われるんやけど、なんや知らん間に、
変な大阪人になっとるんのや。

そうそう、大阪で思いだしたんやけど、
たこ焼きいうたら大阪でっしゃろ?
ちょっと前になぁ、友人数人でカラオケに行ったんやわぁ。
んで、「とりあえずビール」っちゅうオヤジ注文したあと、
ロシアンたこ焼きを注文したん。

実はウチ、病的な激辛通なんや。
そやさかい「当たり」を期待して食べたんやけど、
ハズレてもうた。
んで、ドリンクを運んできてくれたお店の人に訊いてみたん。
「ロシアンたこ焼き、全部当たりにしてくれへんか?」いうて。
そしたら「それはできませんが、当たりが分かるように
印をつけることならできます」言うてくれはってなぁ、
そやさかい印のあるその “当たり” を食べてみたんや。
そしたら……全然辛くないねん。
けど、そら仕方ないわ。
なにしろ1回の食事に、タバスコなら半瓶、
唐辛子なら半缶つこてしまうぐらい、味覚障害なんやから。

ついつい持ってきてくれはった店員さんに言うてもうた。
「このロシアンたこ焼き、罰ゲームにならへんで〜」
って。
そしたらその店員さん「どうしたらいいですか?」て、
逆に真剣な眼差しで訊いてくるねん。
なんや気になって事情を訊いてみたら、
そのロシアンたこ焼きを作るのが結構たいへんで、
冷凍のたこ焼きの中にタバスコを入れるらしいんやけど、
たくさんは入れられんさかい、
どうしたら激辛にできるんか知りたい言うてはりました。

だからまたついつい言っちゃいました。
「タバスコは辛ないでぇ、
サドンデス使てみたらどないです?」て。
けど、ちゃんと付け加えましたがな。
「サドンデスてタバスコと同じような液体の香辛料やけど、
その名の通り、突然死んだ人がいるさかい、
その名前がつけられたんやで〜。
そやさかい使わん方がええで」て!

要するに、なんのアドバイスにもなってないがな!


テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

ポケットに名言を  寺山修司

ポケットに名言を

1. 言葉を友人に持とう
(私にとって名言とは何であったか)
《老いた言葉は、言葉の祝祭から遠ざかってゆくが、
不逞の新しい言葉には、英雄さながらのような、
現実を変革する可能性がはらまれている》
という言に賭けるために詩人になったという著者が、
名言が必要なこの時代に、自身の名言を掘り出していく。

2. 暗闇の宝さがし
(映画館の中での名セリフ)
少年時代、映画館の屋根裏で育ち、
映画を観る楽しみが「言葉の宝さがし」に変わった。
『野いちご』『ビアニストを撃て』『審判』『勝手にしやがれ』
『シベールの日曜日』『甘い生活』『柔らかい肌』『軽蔑』
『アスファルト・ジャングル』『あなただけ今晩は』などの
映画の解説と名セリフが紹介。

3. 好きな詩の一節
ラングストン・ヒューズ『詩集』『七十五セントのブルース』、
アルチュール・ランボー『地獄の季節』、
中原中也『この小児』、ギイジャルルクロオ『花ざかりの森』、
谷川俊太郎『かなしみ』、マリー・ローランサン『鎮静剤』、
『チャンピオン』、マザー・グース『童謡』、
サルトル『出口なし』など、ドキッとしつつも頷いたり、
壮大なファンタジーのなかに哀切が刻まれていたり、
ユーモアやペーソスに富んだ詩が並ぶ。

4. 名言
(人生)
人生はいつ始まるのか……
ドストエフスキー『罪と罰』
〜ジョセフ・エル・マンキーウィッツ『裸足の伯爵夫人』

(孤独)
どんなに幸せでも、必ずそばにいる孤独。
その孤独をやさしく口ずさんでくれる一節。
ラングストン・ヒューズ『小さな、しかし、重要な叙情詩』
〜ヘンリー・ミラー『南回帰線』

(恋)
時代とともに変遷する恋のかたち。
恋を語る言葉も……
ジャック・プレヴェール〜アントン・チェーホフ『手帖』

(幸福)
人と人、人と言葉の不思議な出会い。
ジュール・ルナアル〜セベロ・サルドゥイ『コブラ』

(快楽)
性・喫煙・禁断の戯れ・食・酩酊・そして心の快楽。
ドストエフスキー『地下生活者の手記』
〜ドストエフスキー『賭博者』

(冒険と死)
人は誰でも詩人になるときがあるが、
やがて詩と決別する。
詩を捨て損なった者は、詩人のまま生き、
しかし、もし捨てることができていたら、
冒険家になりたかった。
アンドレ・マルロオ
〜ペルトレト・プレヒト『ガリレオ・ガリレイの生涯』

(朝)
希望と書き換えられるだろう、美しい響きを持った
朝の言葉には大抵薄暗い時代が……
ゲーテ『格言と反省』〜ジェームス・ディーン

(文明)
しだいに人生の肉声をなくしてきた文明と言葉。
むしろ反文明の言葉……
ジーン・ハーロウ〜カバラ戒律

(望郷と友情)
切り離し難い絆のような、望郷と友情。
アンドレ・マルロオ『侮蔑の時代』〜『バンド・ワゴン』

(忘却)
忘れることも、また愛すること。
マックス・ローチ〜ピリー・ワイルダー『サンセット大通り』

(真実)
誇りを賭けるに足る美しいもの……それが真実。
太宰治『晩年』〜バルザック『田舎医者』

(地上的な、苦痛な)
最期に踏む地球とは……
アレン・ギンズバーグ〜『チャップリンの殺人狂時代』

(善と悪)
善なる感じのある喜劇的という言葉。
今は善なるものはかなしく……
1535年、トマス・モア卿〜アントン・チェーホフ『手帖』

(革命)
昔、熱中させた言葉。しかし、その重い言葉は、
みな想い出にかわったのか……
ウラジミール・マヤコフスキー『長靴をはいた雲』
〜ゲオルグ・ゲオルギウ

5. 無名言
(やくざのスラング)
やくざの隠語をカタギのまま口にする。
そこに不思議な呪文性が。

(さみしいときの口の運動)
著者の戯曲『大山デブコの犯罪』の
「さみしいときの口の運動」件りの一節。

6. 時速100キロでしゃべりまくろう
(私自身の詩と小説の中のことば)
他人の言葉ばかり扱っていると、
自分でものを言いたくなったという著者が、
まさしく “時速100キロ” のスピードのごとくしゃべりまくる。

想像力、疎外感、罪の意識、美、無垢な心、平和の恐怖、
永遠の休息、帰巣性、生き急ぐ、
けろりとした娼婦などの観念から生まれた名言たち。

言の葉や言霊と言われるように、魂が宿り、
命を持ったことばが、サブタイトル通り友人となり、
悲喜こもごも、著者の感性が綴られた名言集。


テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

花衣夢衣  津雲むつみ

花衣夢衣

いつもふたりでひとり。
ふたりは鏡に写った自分自身だった。
同じものを見て、いっしょに風邪をひき、
いっしょにいると安心して、世界は充足する。
風を正面から受ける帆で真帆、
船を安全に通す水路を意味する澪、
双子の姉妹。

日本画家の父と美しい母。
父はよく、娘たち双子がモデルの絵を描き、
弟子たちやお手伝いさんもいて、
いつも家は賑やかだったが……

1950年(昭和25年)
戦争から帰還した父は身体をこわして
絵が描けなくなった。
母は和裁の仕事をし、真帆はオブライエンの家で
住み込みのお手伝いさんの仕事、
澪は勤めていた会社が倒産して求職中、
兄の広海は大学に通いながらアルバイトして、
家族5人は暮らしていた。

ひと月に1回家に帰る真帆は、澪と同じ布団で
眠ることに幸せを感じるが、帰宅するごとに
痩せていく父を見るのは辛い。
戦後の混乱期でどこの家も貧しかったが、
沢木家も父を入院させることができないほど
貧しかったのである。

父の診察代をなんとかしようと、母はこっそり、
父が画家として活躍していたころ懇意にしていた
画商の辻堂に援助してもらっているが、
父も薄々そのことに勘づいているらしい。

辻堂から、彼の息子に任せる新しい店の手伝いを
紹介された澪は、さっそくその店で働くことになったが、
外国人客の多いその店で、和服を着た澪は
まるで日本人形のように美しく人気者だった。

店の手伝いをするようになってから、頬を染めて、
毎日澪の様子を見に来るひとりの外国人青年から
デートを申し込れたが、気が弱く純情な澪は、
そのことを真帆に相談し、双子の澪と
見分けのつかない顔を持つ真帆は
1日入れ替わろうと提案する。

しかしそのデートは辻堂の息子が、澪に一目惚れした青年を
そそのかした陰謀だったのである。

そして澪と入れ替わった真帆は、
その青年に陵辱され、妊娠してしまう。
心根が清らかで強い真帆は、こんなひどい屈辱と
苦痛を受けたのが澪じゃなくてよかったと思いながら、
もう澪と同じではなくなってしまったことに涙が止まらない。

堕胎後、仕事に戻った真帆だったが、
出血が止まらなくなり、オブライエンにGHQの病院に
担ぎ込まれて子宮を摘出することに。

真帆を心配したオブライエン夫妻は、レイプ犯の
フランク・ジョンソン上等兵を捜し出してくれたが、
すでに戦死したあとだった。

赤ちゃんを殺してしまった罰を受けたのだと自分を責め、
もう恋も結婚もできないと絶望しながら、
自分ひとりの力で歩いていかなければならないことを
悟った真帆は、金沢にいる加賀友禅職人の叔父に
弟子入りすることを決意する。
そしてそこで恋をするが……

強固な意志と決断力を持ち、強くて優しい真帆。
真帆と顔はそっくりなのに、性格の違う気弱な澪。
お互いの身体に異変が起こると、どこにいても
それを察知する双子の姉妹。
父を愛し、誰よりも美しい母だが、
生活のために身を落とさなければならない貧しさ。
レイプという非人間的な罪を犯す同じ人種とは
思えない、慈愛に満ちたオブライエン夫妻。

失意のどん底での力強い生き様と愛と哀しみが
描かれた大河ロマンコミック第1巻。

作者のお名前を目にしたとき、
とても懐かしい思いにとらわれた。
小学生だったころ、漫画は極上のおやつだった。
月に1回の漫画月刊誌の発刊日には、
授業もそぞろで下校時間を待ちわび、
帰宅するやランドセルを放り投げて、
本屋さんに走ったものだ。

そして真っ先に開くのは、
津雲むつみさんの作品。
これほどまでに美しい女性が存在するのだろうかと、
子ども心に、作者が描く作品のなかの
美に魅入っていた。


テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

天切り松 闇語り 第一巻 闇の花道 浅田次郎

天切り松 闇語り 第一巻 闇の花道

『第一夜 闇の花道』
闇がたりとは、
六尺四方から先へは届かない夜盗の声音。
その日雑居房にやってきた老人は、
低く抑揚のない『闇がたり』を始めた。
その老人は天切り松という。

大正6年夏。
妻を死なせ、娘を女郎屋に売り飛ばした父・平蔵は、
倅を盗っ人の修業に出すために、炎天下のなか、
松蔵を連れて親分宅に向かった。
そして松蔵は仕立屋銀次の子分である
抜弁天の安吉に弟子入りしたのである。
数えで9つの歳だった。

立派なお屋敷に着いたふたりは、両脇に
精悍な若者に囲まれ、紗の羽織を着た品の良い
紳士に迎えられて、鯣(するめ)のように平伏した。
おどおどした父とは対照的に、肚の据わった松蔵は、
臆することなく安吉親分に質問し自己紹介する。

主人は優しく松蔵を脇に座らせると、平蔵に言う。
「この子は私が貰いうけますから、
今生の別れと思ってください」
安吉は、平蔵がつれあいを死なせ、娘を女郎部屋に
売り飛ばしたことを知っていたのである。

絽縮緬(ろちりめん)を着た色白で美しい女・おこんが、
大金を包んだ袱紗(ふくさ)を平蔵の前に投げ、書生が
それを平蔵の懐にねじ込み、腕をつかんで引き立てる。
赤い球をくわえた龍の彫物が睨む安吉の胸で、
松蔵は泣き伏した。

天切り松は天井を見上げ、留置人に向かって言う。
「2,000人という手下(てか)を持つ銀次の縄張りを
預かる抜弁天の部屋住みになったのは、
大変(てえへん)なことだった。
安吉親分はそれは立派なお人で、
あっしもあれほどの器量人は知らねえ」と。
年配の看守も『闇がたり』に聞き入っていた。

安吉は、大臣でも華族さまでも五分に渡り合い、
仲間うちの信望も厚い。
ことに財布の中身だけを抜いて空財布を戻す
「中抜き」という離れ業は、目細の安をおいて
他にゃいねえ。『中抜き』に遭った人は有りがたがり
祝杯をあげるという天切り松の話に、みな唖然とする。

銀次をパクったあと、子分たちの悪さに
手が追えなくなった警察は、安吉を跡目に立て、
東京中の拘摸(もさ)や泥棒(のし)をまとめ上げた。

部屋住みになった翌年、松蔵は東京地検の辣腕検事で、
白井という名前から “おしろい” と
綽名(あだな)される男に会った。
「銀次が出所するから、彼を引退させて欲しい」と
持ちかけた “おしろい” の話を、安吉は
「銀次はふたりといない神さま」だと、にべもなく断る。

そして花見のころ、そうそうたる仕立屋一門の親分衆が
集まった上野の改札に、銀ねずみの大島を着流した
貫禄ある銀次が、デッキに姿を現したのだ。

銀次が安吉に、9年間一家を仕切ってくれたことへの礼を
述べ、ふたりの手が触れようとしたとき、私服刑事たちが
割って入り、銀次の手に手錠が打たれた。

銀次は安吉の陰謀を疑ったが、実は “おしろい” と、
安吉の兄貴分にあたる親分衆たちが
企んだことだったのである。
安吉は親分衆に縁切りの仁義を切り、
その夜のうちに抜弁天の邸を引き払った。

安吉親分に寅弥、書生におこん、栄治もみな黒づくめの
盗っ人装束で、札束を懐のたもとに詰め込んで坂を
駆け下り金吹雪をぶんまいた。
「腐れ銭ァ、一文も残すんじゃあねえ」という親分の言葉通りに。

今を盛りの夜桜の下、
「金輪際、桜田門たァ縁を切る。盗られて困らぬお宝を
ちょうだいしようじゃねえか」の渋い声音とともに、
闇の花道を走り出した。

そして天切り松は「それが俺らの舞台の始まりだった」と語った。

『第二夜 槍の小輔』
大親分銀次を刑務所に逆戻りさせた原因をつくった
おこんの切なく純な恋が……

『第三夜 百万石の甍(いらか)』
理不尽の甍に立つ、媚びることもへつらうこともしない
男ン中の男、伝説の怪盗・黄不動の栄治には、
複雑な出生の事情があった。
天下の花井組花清の妾腹の実子・栄治の
真のおとっつぁんは……

『第四夜 白縫華魁(しらぬいおいらん)』
父・平蔵に、吉原に売られた松蔵の姉・おさよ。
偶然にもおさよのいる遊廓の倅で慶応の
中学生・康太郎と友だちになった松蔵は……

『第五夜 衣紋坂(えもんざか)から』
説教寅こと寅弥が松蔵の姉・白縫太夫を助けるため、
戦成金邸に忍び込み、闇から虎大尽の股ぐらに出刃を
おっ立てて説教し、奪った五千円でおさよを見受けするが……

事業家のような威風と華族のような品位を漂わせ、
肚が据わり頭の切れる、抜弁天一家の親分・安吉。

気っぷがよく、色白の驚くような別嬪で、
ゲンノマエ(玄の前)という玄人でも気づかないスリの
仕事をするおこん姐さん。

長髪で時代遅れの壮士風である書生、
帝国大学贋(にせ)学生の常次郎。

腕っぷしの強さと気っぷの良さが一家の名物、
口うるさく手が早いが、貧乏人に脆い。
お大尽ばかりを狙い、説教をたれる強盗(たたき)で、
ずんぐり体型、身なりも面構えも
明治の無頼漢そのものである若頭の寅弥兄ィ。

松蔵が粗相をすると、慰めてくれる優しい兄ィ。
屋根に登り、瓦をはずして天井裏から忍び込む、
屋根を舞台に見得を切る天衣無縫の芸、
天切り松の師匠で一味の稼ぎ頭の栄治兄ィ。

大正という、江戸と東京がせめぎあう不確かな時代の闇に、
葬り去られた歴史の匣(はこ)をひもとき、義理に堅く、
情けに脆い江戸っ子・抜弁天一家の精鋭たちの
粋でいなせで悲喜こもごもの話『闇がたり』。

あこぎな女衒(ぜげん)も改心させ、
ガラの悪いマルボウの刑事にも怯まずやり返す。
聴衆はひとつになり、留置人も看守も刑事さえも消灯時間を
気にやみながら、『闇がたり』の世界に呑まれてしまう、
傑作怪盗小説シリーズ第1巻。


テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

リボンの騎士 手塚治虫

リボンの騎士

昔むかしのお話。
広い空の果てに、いつも神さまを悩ませる、
いたずら天使のチンクが住んでいた。

明日生まれる子どもたちの性別を決めるため、
神さまが青と赤のハートを飲ませていると、
いたずら好きのチンクはひとりの子どもに
青いハートを飲ませ、それを知らない神さまは
その子にさらに赤いハートを飲ませてしまった。

そのことに気づいた神さまはたいへんお怒りになり、
下界に行ってその子が女の子として生まれたら
男の心を抜き取るよう、チンクに命じる。

チンクがワクワク心躍らせて天国から下りていくと、
下界ではこのくにのお世継ぎがお生まれになると、
お祭り騒ぎ。
ところが王女が誕生したことを聞いた博士は、
ひどいズーズー弁で「王〜ズさまのお生まれ〜」と
触れまわったため、国民は王子誕生と
勘違いしてしまったのである。

王も今さら言い直すことはできないと
困惑しているところに、お世継ぎをひと目見たいと
ゲジゲジ大公と呼ばれている
ジェラルミン大公がやってきた。
王女であることが知られれば、ジェラルミン大公に
天下を取られてしまうと、王と王妃は王女を王子として
育てることにしたのだった。

15年後、15歳になった王子(女)サファイアは、
1日の半分は綺麗なドレスを着た王女として、
もう半日は凛々しいマントを羽織った王子として
過ごしていたが、王妃はそのことに
たいへんお心を傷めていた。

一方、いまだにサファイアが王子であることを
疑っているジェラルミン大公は、
虎視眈々と王の座を狙っている。

本心は綺麗なドレスを着て女の子でいたいと
思っているサファイアは、謝肉祭の夜、
亜麻色のカツラとドレスを纏い、お祭りにでかけた。
その美しさは、その場にいた人々の眼を奪い、
サファイアはとなり国の王子・フランツ=チャーミングに
ダンスを申し込まれる。

それから1か月経ち、サファイアはフランツ王子のことが
忘れられず、武術大会を開催して王子を招待しようと
計画したが、それを聞いたジェラルミンはサファイアを
試合にだして相手に毒を塗った剣を持たせ、
サファイアを殺そうと企む。

ジェラルミンの陰謀により王は死に、サファイアと王妃は
棺桶塔に幽閉されるが、サファイアの優しさに
ほだされた牢番が彼女たちを逃し、
ジェラルミンの息子プラスチック新王体制のもとで、
近衛兵たちはやりたい放題、街を荒らしている。
そしてついにリボンの騎士が登場する。

カバそっくりの馬やかわいい動物たち、
ネズミがサファイアに食物を運んできたり、
ゴミ置場と間違えて牢番にゴミをかけたり、
コケティッシュなイラストと、
織り交ぜられたジョークに気持ちが和む、
あまりにも有名な手塚治虫の代表作。

リボンの騎士 1リボンの騎士 1
(2014/04/25)
手塚治虫

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テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

アロハ魂 小林聡美

アロハ魂

ハワイといえば、芸能人がよく行くリゾート地だとか、
日本語が通じる外国だとか、そんなイメージが強く、
ダサい感覚も拭えずに、ここ数年ハワイ旅行を避けてきたと
語る著者自身が、初めて体験した、それまで知らなかった
ハワイの新しい魅力を紹介する。

目次
『アロハのはじめに』
『ヒロへの道』
『ヒロに到着』
『ヒロの朝ごはん』
『アロハシャツ』
『カバとツナミとマンジュウ』
『スパイダーロールとおとうさんのとんかつ』
『ワッフルとファーマーズマーケット』
『フリフリチキンと幸せのフラ屋敷』
『ボルケーノ見学』
『やさぐれジョーバ』
『ヒロからコナへ』
『ロスト・イン・ザ・ゴルフ場』
『マイケルにロミロミされる』
『ルアウ・ショウ』
『アフイホ・ハワイ』

ハワイ島のコナ空港からヒロへ向かう。
途中のドライブインに寄り、かねてから
楽しみにしていたマラサダを注文。
マラサダとは四角い形をした揚げパンらしく、種類も
プレーン、チョコ、苺ジャム、ババリアンクリームと豊富だ。
地元メニューのサイミン、チリライス、ロコモコも注文して、
テラス席のテーブルに並べると、その光景は豪快そのもの。

燦々と輝く太陽のした、ドライブインをあとにして、
目的地へとさらに進む。
無限に続くと思われるパーカー牧場を抜けると、
ジャングルを切り開いたように広がる海と空。

ハワイ島には非日常の安らぎと、ダイナミックな世界と、
計り知れないパワーが共存していた。

スローモーションな昼下がり。
とてつもなく大きなバニアンツリー。
昔、日系人たちが造ったリリウオカラニ庭園。
花の髪飾りとムームーを着た、フロントの
お姉さんがいるヒロ・ハワイアンホテル。
ハワイ諸島でいちばん大きな山・マウナケア。
ハワイ人たちの聖地・ココナッツアイランド。
天井に設えた扇風機が甘い香りを拡散させる
レストランでのヒロの朝食・パンケーキ。

ホテルの部屋やへその緒アイランド、マラサダに
パンケーキやワッフル、カラフルな饅頭に
スパイダーロール、イケメンなオレンジ屋、溶岩に咲く花、
ショッピングモールでガラス窓を覗き込む
著者の写真の数々も、ハワイの香りを運んでくれる。

アロハにムームー、ウクレレにフラ、気さくで陽気なヒトたち、
キラウエア火山天然スチーム、無限に続く空と海、
歴史とロマンが物語るパワースポットなどなど。
ドラマやコマーシャルで拝見する小林聡美女史の、
あの口調のまま、ユーモアや笑いも込められた、
臨場感あふれるハワイ島が語られた旅エッセイ。


テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

桜姫華伝 (1) 種村有菜

桜姫華伝 (1)

平安時代、和泉の山荘。
14歳の桜姫は生まれたときから帝の息子である
王良親王(おうらしんのう)・青葉と
許婚(いいなずけ)の関係にあった。
両親も兄も亡くし、王良親王の援助で
暮らしている桜姫は、愛のない結婚など嫌だと
言いながら、実は親王の文を心待ちにし、
何度も読み返していたのである。

そんな折り親王の使者が桜姫を迎えに現れたが、
その使者こそ親王だった。
その夜は満月だったため、人喰いの
もののけ・妖古(ようこ)が、桜姫を喰らうために
襲ってきた。

巫女の白夜から、かぐや姫の孫だと告げられた、
桜姫の運命を印した命字(みことじ)は「滅」。
だからかぐや姫の秘剣「血桜(ちざくら)」で
妖古を滅ぼすことが、自分の運命だと信じる桜姫は、
青葉と人買いから譲り受けた女童(めのわらわ)の
朝霧(あさぎり)と白夜を守るために、
秘剣・血桜で妖古と対峙する。

青葉の屋敷に着いたふたりは、心を開き
惹かれ合うように見えたが、「滅」と書かれた命字を
こっそり女房の淡海(おうみ)に盗ませた青葉は
その一字を見て、「姫を生かしておくわけにはいかない」と、
桜姫に矢を向ける。

紅で手のひらに背中合わせの月を描き
「出でよ血桜 ‼︎ 桜降臨 ‼︎ 月下天誅 ‼︎ ご意見無用 ‼︎」と叫んで
秘剣・血桜を出して妖古と闘う桜姫。
平安時代が舞台のファンタジーコミック第1卷




テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

Birthday present と 太郎 次郎くん と 反省

Birthday.jpg

我が家から車で数分の場所にある、
ランチやお茶を楽しませてもらえる、
珈琲専門店兼イタリアンカフェ。
そのお店から、毎年誕生日が近づくと届く
「誕生日プレゼント」のポストカード。
それは飲食代10%オフ&
セレクトケーキプレートサービスという
嬉しい贈り物だった。

○○歳になった先月、いただいたカードを
そっとバッグに忍ばせ、そのカフェを訪ねた。
開店直後で昼食には少し早い時間だったためか、
まだそれほど混んでなく、すぐ席に案内された。
そしてカードを提示しながら、
いつものランチコースを注文する。

しばらくして笑顔を絶やさない女性スタッフの方が
運んでくれたのは、こんがり焼かれた薄めの
バタートーストが乗ったシーザーサラダ。
続いて海老とホタテのクリームパスタ。
友人とシェアしながら、お皿に残った最後の
ひと巻きを口にしたときにやってきたピザは
定番のマルゲリータ。
出されるタイミングも味も絶妙!

久しぶりのイタリアンを満喫したあと、
コーヒーの香りを楽しみながら友人と話をしているときに
現れたのは、パテシエらしい純白のユニホームを
まとった長身の男性だった。
手にはお待ちかねのプレゼント。
テーブルに置かれたプレートを覗き込むと、
中央にはふわふわの紅茶シフォンケーキ、
その周りにはチョコクリームで書かれた
happy birthday の文字、それにパチパチきらきら
はじけて光るゴールドスパークラー。

思わず「美味しそう!」のひと言。
でも……
やわらかいシフォンケーキをフォークですくい、
happy birthday のチョコクリームをからめて
口に運び、考えてしまった。
毎年いただく、このプレゼント。
いつしかもらってあたりまえと思う
自分を発見してしまったのだ。
だから「美味しそう!」は発しても、
「ありがとうございます」が出てこなかった。

右手を友人の膝に乗せ、“反省” のポーズ。
感謝の気持ちを忘れがちになっている自分。
いかん! いかん ‼︎

帰宅し何気なくテレビのスイッチを入れる。
映し出されたのは、あまりにタイムリーな
日光猿軍団の映像だった。
画面の向こうにいる太郎次郎くんに手を伸ばして、
もう一度ポーズをとる。
反省!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

チーム  堂場瞬一

チーム

昭和記念公園に隣接する自衛隊立川駐屯地から
スタートした箱根駅伝の予選会。
1位から10位までの入賞に城南大学は入らなかったが、
11位の美浜大と12位の城南大は、10位の
青山学院大とのあいだに1分の差もなかった。

城南大学4年、陸上部主将の浦大地(うらだいち)が、
悔しさに押しつぶされそうに感じていると、
何人もオリンピック代表になるような選手を育てながら、
箱根駅伝を経験したことのない「悲劇の名将」と
あだ名を持つ、美浜大陸上部監督の
吉池幸三(よしいけこうぞう)から、声をかけられる。
「終わりじゃないぞ」と。
出場を逃したチームから好タイムの選手を選ぶ
学連選抜で、箱根駅伝に出ろというのである。

結果発表が終わり、浦はベンチに腰かけて
ぼんやり考えていた。
学連選抜、寄せ集めのチームで、いったい
何を背負って走るというのか?
そこにやってきたのが
門脇亮輔(かどわきりょうすけ)だった。

長野の高校時代のチームメートで、
港学院大陸上部の門脇は、すでに故郷の信州で
高校教諭になることが決まっていた。
港学院大も総合18位で箱根駅伝には出られないが、
個人のタイムは良かったという門脇に、
浦は学連選抜でいっしょに走ろうと誘ってみる。
しかし、ただ一蹴されただけだった。

門脇を誘ったものの、去年の大会は自分のせいで
シード権を逃してしまったことに罪悪感を拭えない浦は、
苦い思いを持て余す。

城南大連続出場32回の記録は、今年で途切れた。
だから箱根は戻るべき場所なのである。

寮でのミーティングのあと、ウエイトトレーニング用の
ベンチに腰を下ろすと、坊主頭になった青木が
部屋に入ってきた。
2年前まで有望な選手だったが、
膝に致命的な故障を起こし、主務に転身した青木も
声を荒げて浦に言う
「学連選抜で走れ!おまえが走らないと、
俺たちの箱根が終わらない」と。

そのときメールの着信音が鳴った。
本気でひとの心配をしてくれる永遠のライバル、
中央大学の広瀬翔(ひろせかける)からである。
「選抜で走るよな、待ってる」

自分以外の人間が、浦の出場を望んでいる。
浦は箱根に出る資格があるのだろうかと、
自分を戒めながら、走りたい気持ちが
台頭してくるのを抑えらない。

箱根駅伝はただ走ればいいというものではない。
学連選抜の監督になった吉池は、今回が
最後のチャンスだと張りきるが、選手たちは
仲間に対する背信行為という戸惑いのなか、
浦がチームリーダーとなり合宿が始まった。

選抜メンバーには、抜きん出た実力の持ち主だが、
むき出しの刃物のような危険性も併せ持つ
東体大の山城もいる。
掴みどころのない飄々とした吉池監督のもと、
キャプテンに選ばれた浦は思い悩む。
自分のために走るのではなく、誰のために、
背負う大きななにかがなんなのか、戸惑う選手たちを
まとめることが、チームとして結果を出すことが
できるのだろうか……

衆目に晒される緊張感、高低差、特有の海風、
気温や天候など、ほかの駅伝とは違う特殊なコースで、
襷だけではなく、夢を目標を繋ぐ箱根。

背負う重荷が限界を超える原動力となり、
全員が同じ一点を見つめて突き進むチーム。
それは寄せ集めのチームだとしても変わらない。
襷をつなぐことの重責。

スポーツ選手にとって切り離すことのできない
故障への恐怖と焦り、そして心との闘い。
生まれ持った天性の能力と、強い精神力の
持ち主が、その恐怖と対峙したときに気づく、
駅伝の意味。
魔物が棲むという箱根駅伝を通して、
襷に込められたものが何なのか、
独りの思いとチームとが絡み合い、
そこから生まれた例え難い感情が描かれた、
身体の痛みを体感できる感動のスポーツ小説。

チーム  堂場瞬一

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

リバーシブルマン Reversibleman ナカタニ D.

リバーシブルマン

今年、東京都内で猟奇死体が3件も発見された。
それは殺しなのか自傷なのか判然としない、
凄惨で奇妙な死体だった。
まるで人間が脱ぎ捨てられたように
裏返っていたのである。
ちまたでは、伝染病説や臓器売買説、
生きたウラガエリがいるという噂も飛び交っていた。

形成外科を開業していた両親を3年前に亡くした
北原琉奈は、大好きだった唯一の肉親である姉を
イカレたストーカーヤローに殺され、仇を討つために、
ヤクザのロクの手を借りながら、
ヤツを探しまわっていた。

ウラガエリとは、なにもできなかった
オモテの自分に怒り、本当の自分になるための
出口を作るために自分を切り刻むこと。
そして肉の塊が皮膚化して元の姿に戻るが、
それは人の姿を借りたバケモノなのだ。

琉奈は何度もウラガエろうとする身体を、
みずから阻止してきたのである。

ウラガエリの目的は、忠実に自分の欲望を
かなえることであり、それは人間の欲望のみを
満たす生物学的変態だった。

組のシマを荒らす組織を暴こうとして突き止めた
クリニックに、若い女性の猟奇死体があり、
そこでロクと琉奈は出逢い、
姉の酷い死体と遭遇した琉奈は、
そのときからソレが始まったのだ。

自力でウラガエらぬ意思を持つ人間は、医師から
人間用チャックをもらい、オモテとウラの運命を
行き来するリバーシブルマンになるという。

決してバケモノにはならずに自分のままで、
姉の無念をはらす、強い意志を持つ琉奈と、
その昔、ひとりでアジアンマフィアのアジトに
乗り込んで斬りつけられ、内蔵を引きずりながら
チャイニーズをおっかけた伝説のヤクザ・ロクが、
ウラガエリを調教する牧場を持つ組織と闘う、
グロテスクな描写ながら痛快感さえ覚える
ホラーコミック第1卷。

リバーシブルマン Reversibleman  ナカタニ D
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テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

スクープ 今野 敏

スクープ

『第一章 スクープ』
東都放送ネットワーク、通称TBNの報道局社会部の
遊軍記者で、『ニュース・イレブン』の
スタッフのひとりである布施京一は、
六本木でタレントの友坂涼が中心となって
覚醒剤パーティを開いているという情報をつかんだ。
それから2か月ほどBAR「カメリア」に通い、
布施は友坂涼に近づいていったのである。

そこで友坂涼からパーティに誘われ、
カラオケ屋で拾ってきたという20歳そこそこの女性ふたりと
赤坂の高級マンションに行き、
そこが城央銀行の頭取・宗田英介(そうだえいすけ)の
所有だということをつきとめる。
そのネタを警視庁捜査一課の部長刑事・黒田裕介に
流した数日後、また「カメリア」で友坂涼に誘われ、
女性タレントにスボーツキャスターと、
拾った女たちというメンバーでパーティーが始まった。

布施は部屋をそっと抜け出し、当番デスクの鳩村昭夫に
「生中継の用意をしてほしい」と電話し、
黒田部長刑事にも連絡を入れる。
アナウンサーには友坂涼の名前と宗田英介の
マンションということを強調するよう指示を出しておく。

そして生放送で独占スクープとして、数人の刑事が
友坂涼たちを連行する決定的な映像が流れた。
そのニュースは大きな反響を呼び、宗田英介にも
捜査の手が伸びることになった。
そう、布施はまた大きなスクープを抜いたのだ。

色あせたジーパンとジージャン姿で、眠たげな眼を向け、
無関心を装いながら、鋭い洞察力と取材力を持ち、
「おやおや……」が口癖。なにごとにも動じず、
飄々とした不思議な魅力を持つ布施京一。

上品な出で立ち、メインキャスターをつとめている
渋くてベテランの鳥飼行雄(とりがいゆきお)。
ミニスカートから伸びる美脚、美しく知的な
女性契約キャスターの香山恵理子。
紺色のスーツ、報道畑一筋で生真面目な
当番デスクの鳩村昭夫。

青年のような風貌で自分を気骨ある記者だと信じているが、
周りからは少し迷惑がられている東都新聞社会部の
遊軍記者である持田豊。

ヨレヨレのスーツに垢染みたネクタイ、
目立ちはじめた白髪に凄味のある眼で布施を睨む
部長刑事だが、布施がヤクザに捕まると
どこからともなく現れて助けてくれる
スーパーマンのような黒田裕介。

『第二章 傷心 HEART BREAK』
東名用賀インター付近で玉突き事故。
死亡者のなかに、若手女優の沢口麗子の名前が……

『第三章 遊軍記者』
東都新聞社会部の遊軍記者である持田豊は
情報源を得るために、不良中国人に金を使い、
ようやく賭博の現場に案内してもらえることになったが、
それは命懸けでヘタすれば命の保証もなく……

『第四章 住専スキャンダル』
全裸の若い女を3人の男が押さえつけ、白い腕に注射する。
ダブルベッドの上で、彼女は恐怖にのけぞり
苦しみに悶えながら息絶えた。
部屋のすみには、その様子を見つめている裸の中年男。
その後のワイドショーでは、都内のホテルで
元アイドル歌手の栗原弘美が遺体で発見されたと
リポーターがわめいていた。

『第五章 役員狙撃』
黒田部長刑事は「カシマ電器役員狙撃事件」の
合同捜査本部に参加し、ようやく仕事を終えて
「かめ吉」で、神聖ともいえる1杯めのビールを
開けたところだった。
そこにやってきた持田記者が黒田の隣に腰をおろし、
「関西系の暴力団がからんだ総会屋をカシマ電器が断り、
それを怨んだ暴力団がカシマの役員を
狙撃したんじゃないですか?」と訊いてくるが……

『第六章 もてるやつ』
ワイドショーは元アイドルで今は女優として活躍している
折原沙枝(おりはらさえ)と、若い女性に人気のある
俳優の朝霞勇次(あさかゆうじ)とのビッグ・カップル誕生の
話題で大騒ぎだった。
だが布施は、番組の終わりに短く伝えられた
22歳ホステス殺しの方に関心を示し、
鳩村の制止も聞かず取材に出かけていく。

『第七章 渋谷コネクション』
フリージャーナリストの間島憲久(まじまのりひさ)は、
テレクラでようやく見つけたリナと名乗る少女と
渋谷の109前で待ち合わせた。
彼女は長く形のいい脚と、しっかりお化粧した顔から
二十二、三歳に見えたが、
笑顔にはあどけなさが残っていた。
そこに武器を持った5人の少年に取り囲まれ、
間島は一斉に攻撃されて意識を失う。

「ニュース・イレブン」の会議中、項目表にあるオヤジ狩りの
件に眼を落としていた布施は、
「しばらく姿を消すかもしれません」と言って、
鳩村が止めるのもきかず部屋を出ていってしまった。
高校生にドラッグが蔓延し、
布施にはヘッドハンティングの噂が……

六本木、新宿、渋谷、さまざまな怪情報が飛び交う深夜の酒場。
嘘と本音が交錯する夜の世界で、布施は遊軍記者という
文字通り本気の遊びと、事件の当事者と同化し、
鋭い勘でスクープをものにしていくサスペンス連作短編集。


スクープ   今野 敏スクープ 今野 敏



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プロフィール

Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。