3月の投稿書籍

酒場を愉しむ作法火の鳥一九八四年 新訳版Jの総て1
3月の投稿書籍
一覧
PAY DAY !!!新装版 蝶獣戯譚
愛される理由、
わかっていますか
信長戦記1
桶狭間の合戦編
四畳半神話大系

四畳半神話大系  森見登美彦

20150329001907c65.jpg

『第一話 四畳半恋ノ邪魔者』
異性から孤立し、学問を放棄し、
肉体は衰弱した大学3回生の春。
愛くるしく生まれたのに、
今は鏡を見るに堪えない。
大学に入る直前には、バラ色の恋を夢見たものの、
いつしか人の恋路を邪魔することに愉悦を覚える
極悪人へと転落していったのは、同学年の
小津の手引きによるものだった。

入学当時、大学構内を歩いていて配られた
新入生勧誘のビラに興味を惹かれ、
映画サークル「みそぎ」に入部した。
そこに地獄からの使者のような
小津がいたのである。

3回生の5月、小津といっしょに
“立つ鳥、後を濁して”
「みそぎ」を自主追放になった。
陰々滅々といっしょに酒を呑んでいても、
小津は図々しくわがままを言う。
なにかと忙しく暮らす彼は、下鴨幽水荘の
2階に住む人物を師匠とあおぎ、
そこを訪ねたついでにこの部屋を
訪問するようになったのである。

サークルから追放され、暗い情熱を煽られるように
小津と約束をしてしまったが、なかなか寝つけずに、
猫から出汁を取っているという噂のある
猫ラーメンを食べに行くと、仙人じみた怪人よろしく、
神業のスピードでスープまで飲み干した男がいた。

その男はなれなれしく話しかけてきたり、
無遠慮に顔を覗いたり、挙げ句の果てに
ラーメン店を出てからもずっとあとをつけてくる。
そして傍らに並んで、訳の分からないことを
滔々と話し、
「自分は神だ、かもたけつぬみのかみだ」と言う。
参道の奥には、下鴨神社の御神燈が輝いていた。

彼は分厚い帳面を取り出してめくり、
名前の書かれたページを指差して、秋になって
出雲に行ったら、この女性・明石さんと貴君か
小津君のどちらかとの縁を結ぼうとしているのだと言う。

翌日、神と名乗る男の言葉に期待する自分に赤面し、
なんとか妄念を抑えつつ、気がつけば、小津との約束・
鴨川デルタ奇襲作戦の時間が迫っていた。

小津といっしょに高野川と賀茂川に挟まれた
鴨川デルタに行き、我々を苛めた城ヶ崎先輩と
相島先輩に、正義の鉄槌を下すべく、
降り注ぐ火花をお見舞いしようと、
新歓コンパで盛り上がる学生たちに向けて花火を放った。
ぎゃあぎゃあ騒ぐ対岸を尻目に、戦略的退却の途中、
報復の花火が背中を襲う。

城ヶ崎先輩の独裁に反発し、小津とふたりで
映画を撮ったが、撮れば撮るほど孤立し、
城ヶ崎先輩のカリスマを助長させていった。

戦略的退却のあと、ふたりで木屋町の
焼き肉屋に入った。
小津が野菜を食べずにタン塩ばかり食しているので
腹立たしく思っていたが、気がつくと彼が姿を消し、
入れ替わりに明石さんが向かいに座って肉を
焼き始めたのである。

デルタ宴会のあと、場所をこの店に移したサークルの
連中がいるから、さっさと食べて、
裏口から逃げてくださいと、彼女は言う。
逃げ足の速い小津はとっくに逃げ出したらしい。

1回生の夏、愚かしくも短いバラ色の夢が
消えたときから、他人の恋路を邪魔する
極悪人に徹した主人公。
野菜嫌いで不気味な妖怪のような容姿、
わがままで傲慢、人の不幸に幸せを感じる小津。
1回下で、理知的な風貌と優雅な所作、
鋭い舌鋒の明石さん。
引退する気配もなく采配を振るい、新入生の
新鮮な乳に目を奪われる城ヶ崎先輩。
タツノオトシゴや大王烏賊まで欲しがる
茄子顔の樋口師匠。
戦国武将のように覇気漲る美人、樋口師匠と
同い年で歯科衛生士、謎めいた羽貫さん。
などの共通した登場人物の並行世界が
『第二話 四畳半自虐的代理代理戦争』
『第三話 四畳半の甘い生活』
『最終話 八十日間四畳半一周』と続いていく。

今にも倒壊しそうな木造3階建ての下鴨幽水荘、
鴨川、木屋町、下鴨神社、糺ノ森、
夕陽に照らされた大文字などの京都を舞台に
《全力を尽くしてあなたを駄目にする。
我々は運命の黒い糸で結ばれている》
《このあまりにも説得力のない感じが、
逆に説得力があるといっても、
説得力に欠けるであろうか》
《不機嫌と不機嫌の相互作用が不機嫌を生み、
生まれた不機嫌たちがさらに不機嫌を生み落とす》
という、まるで言葉の手品師のような、
言葉を巧みに操る文章の波に呑まれ、
またまた森見ワールドにどっぷり浸かってしまう1書。

四畳半神話大系 (角川文庫)四畳半神話大系 (角川文庫)
(2008/03/25)
森見 登美彦

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

信長戦記① 桶狭間の合戦編  かわのいちろう 合戦考証 / 藤原 京


信長戦記1 桶狭間の合戦編

『第一話 是非もなし』
尾張国新守護代(おわりのくにしんしゅごだい)
織田上総介信長(おだかずさのすけのぶなが)は、
元の守護代両家を打ち倒して、事実上尾張の頂点に
のしあがった、酷薄で苛烈な男である。

室町幕府の斯波氏(しばし)が守護として治める尾張で、
織田家は守護代を務める家柄だった。
一奉行職にすぎなかった信長の父・
織田備後守信秀(おだびんごのかみのぶひで)は、
今川勢を駆逐することで、守護代家を上回る
勢力を築いていったのである。

信秀が42歳で急死してから、19歳の信長は
離反する国人衆や一族衆、ほかの守護代家や
今川勢との戦いに明け暮れていた。

しかし信長は、小姓・岩室長門守(こしょう・
いわむろながとのかみ)や池田勝三郎恒興
(いけだしょうざぶろうつねおき)、
丹羽五郎左衛門長秀(にわごろうざえもんながひで)に
向かって言う
「いくさは大嫌いだ、多くの人と財が掛かり、
失うものが多すぎる」と。
そして「できるなら、武衛(ぶえい)様の下で、この国を
治めることに専念したい」とも。

鳴海城主の山口氏は信秀の死後、今川側に寝返り、
すぐ南の大高城もこれに呼応したため、
鳴海・大高は対今川勢との最前線になったのである。

東海道一の弓取りである今川治部大輔義元(いまがわ
じぶたいふよしもと)は剣術に優れ、相手が誰だろうと、
決して油断しないことが天運をも掴み取るのだと、
若い信長に闘志を燃やす。

清洲城では、武衛・尾張守護職斯波義銀(よしかね)が
駿河衆と結託して信長ら弾正忠家(だんしょうちゅうけ)に
謀反するという噂を聞いた信長が、義銀を国外退去とし、
今川を攻める覚悟を決める。
戦に好きも嫌いもない、是非もなしと。

それが世にいう桶狭間の合戦である。
それは追いつめられた若い信長の、決死の戦であった。

そして信長の戦は続いていく。
『第二話 焦燥』『第三話 決断』『第四話 反撃の狼煙』
『第五話 天運』『第六話 決着!桶狭間』
『第七話 北方の脅威』

『特別コラム』『戦国用語解説』まで載っているのが嬉しい、
戦国歴史コミック第1巻。

信長戦記 1(桶狭間の合戦編) (SPコミックス)信長戦記 1(桶狭間の合戦編) (SPコミックス)
(2009/12/28)
かわの いちろう

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テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

愛される理由、わかっていますか 口に出しては言えない57項   櫻井秀勲

愛される理由、わかっていますか 口に出しては言えない57項

正直な気持ちを伝えたり、相手の心にストレートに
ぶつかることができないのが恋愛であり、
自分を磨いたり着飾ったりする「偽り」を
演出することも、恋愛には重要である。

愛される理由は偶然ではなく、「時機」をうまくとらえ、
「知恵」を駆使することで、
愛を手にすることができるのである。

もくじ
1章 「自分の気持ち」はこうして伝えなさい!
2章 愛される生き方、愛されない生き方
3章 演技がうまくなければ、「いい恋愛」はできない
4章 「男の心理」「男のホンネ」の読み方
5章 もっと素敵な自分をつくるために
   ーー愛される女性の十カ条

TPOに応じて演じ分ける
デートのあとの別れ際のふるまい
「NO」のテクニック
男性の潜在欲求を理解し、くすぐる
言うべきか言わざるべきかの見極め
上手に心を切り替える
「雄」としての保護欲をかきたてる
気づかぬふり
上手に断る気配り
誤解の効果
夢を壊さない別れ方
実像と虚像をバランスよく
心的飽和に用心
「とりあえず彼氏」も必要
「待て!」のお預けテクニック
色気のある息遣い
儚げな演技
恥ずかしそうなそぶり
知的な媚態
相手の型を知った誘い
さりげない甘え方
暗示を与えてプレゼントさせる
一流ホテルを待ち合わせ場所にする
和服で演出
お酒で艶技
はじめは初々しく
ときには尽くされ型で
嘘でも涙
長い髪の効果
二面性の使い分け
誰にも負けない分野を持つ
「バカ」を装う
多くの話題を縦横に駆使
自己評価を下げる
美人には知性が必要
自分の性格を引っ込める知恵
など、興味深い内容が満載。

きれいごとばかりではない愛であるから、
騙されたり泣いたりすることもあるだろう。
けれど人間は愛し愛されるために
存在しているのだから、愛する勇気を
失わないで欲しいと語る著者が、
愛される秘訣や幸せへの答えを綴った恋愛教科書。

愛される理由、わかっていますか―口に出しては言えない57項愛される理由、わかっていますか―口に出しては言えない57項
(1996/03)
桜井 秀勲

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

souvenir

Book Cover

「はい、お土産!」
と、透明なセロファンにラッピングされた物体を
わたしに手渡し、東京から友人がやってきた。

「あ、ありがとう! でも、なに?」
セロファンは中身を隠すことなく、
その姿を透かしているのに、
それがなんなのか想像もつかない。
まるでカラー上質紙で作られた卒業証書のように
丸められたそれは、インディゴブルーの
輝きを放ちながら、「わたしはだ〜れ?」と、
囁いているようにすら見える。

「開けてもいい?」と、
返答の分かりきった質問をして、
ラッピングをはずす。
その紙は、A4サイズよりひとまわり大きく、
上部中央には切り絵のように切り取られた蝶が
羽を広げていた。

「それ、ブックカバーなんだよ」という彼女の言葉に、
多少の驚きを覚ええつつ、小さな図書館から
厚めの文庫本を持ってくる。
そのお土産のカバーをかけて本を開くと、
活字が写る視界の片隅で蝶が舞う。
本を閉じれば、蝶が読んでいたページにすっぽり収まり、
ブックマークと化す。

な、なんて優れもの!
気品と深みのあるインディゴブルーの色も、
心落ち着く読書にはぴったり!

お土産やアニバーサリープレゼントなどの贈り物は、
贈る相手をよく理解していないと、
本当に喜ばれる品を選ぶことはできない。
わたしのいちばん欲しがっているものを
チョイスしてくれる、そんな友情のありがたさと、
優れもののブックカバーに感動し感謝する。

本は絶対 “紙の本” と、ずっと思っていたが、
最近は安さと管理の手軽さで、
Kindleの日替わりセールにて、電子書籍ばかり買っていた。
でも、このブックカバーに包まれた本を読みたい。
明日は久しぶりに本屋さんに行ってみよう!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

【新装版】蝶獣戯譚  ながてゆか

新装版 蝶獣戯譚

『序章 やいばのした』
江戸時代初め、戦国の世を暗躍していた
忍びたちのほとんどがお役ご免となり、
彼らのなかには盗賊や人斬りなどの
外道に堕ちる者もいた。
於蝶(おちょう)は、その咎人(とがにん)を
狩る忍びだった。

1635年江戸吉原、呉服問屋の多賀屋が
押し込みに遭い、主の吉蔵と番頭ふたり、
それにひとり娘のお菊まで殺された。
下手人は、於蝶が一人前の忍びに育て、
男にもした丈太(じょうた)だった。

仲間の磊蔵(らいぞう)は心配するが、
於蝶は言う、「寝た男だろうと、
道を外した忍びは狩る」と。

そしてまた丈太が押し込みに入ったところに、
家人になりすまして待ち伏せていた於蝶が、
「心をなくした忍びは、忍びじゃない」と
言い放ち、丈太を狩る。

忍術兵法書『万川集海(まんせんしゅうかい)』の
言葉、「忍びはそもそも盗賊の術に近し」。
優秀な能力は、誤った使い方をすれば、
害悪になる。
だから精神の鍛錬が大切なのである。
忍びそのものが凶器なのだから道を
外した忍びは始末されなければならない。

於蝶の手にかけられた丈太はようやく思い出した。
於蝶に会って、最初に教えられた言葉
「刃(やいば)の下に心を置くから忍び」ということを。
そして丈太は於蝶の腕のなかで息絶えた。

かつての忍びは役目を終え、公儀に
取り立てられた一部を除く者は市井に融合し、
世の流れについていかれず道を
踏み外したはぐれ忍びを狩る忍び。
太平になった世のなかに、戦国の残り火は
ひっそり燻り続けている。

『第一章 廓の蝶』
『第二章 沫雪惨歌 其の一』
『第二章 沫雪惨歌 其の二』
『第二章 沫雪惨歌 其の三』
『第二章 沫雪惨歌 其の四』

羅刹(らせつ)のような自分の姿に戸惑い、
もうひとりの、狩人ではなく、人間としての
心の声に躊躇しつつも、
「まだ狩人をやめる訳にはいかない」という、
その事情とは……

吉原の惣名主・庄司甚右衛門のもと、
胡蝶という源氏名で色街・吉原の
看板遊女を演じる於蝶。
磊蔵とともに、妖艶で情が深い於蝶が、おびえ、
戸惑い、呪われた生き物だと心を凍らせながら、
狩人として生きていく忍びコミック第1巻。

新装版 蝶獣戯譚(1)新装版 蝶獣戯譚(1)
(2013/09/20)
ながてゆか

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テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

PAY DAY ‼︎! 山田詠美

PAY DAY ‼︎!

真夏のサウス・キャロライナ。
16歳の双子の兄妹は、庭のポーチで
未来を案じている。

アフリカ系とイタリア系の両親、
教師の父と証券会社に勤める母による暮らしは、
異人種間に生まれた苦痛など、
双子に感じさせることなく、
彼らは伸びやかに育った。
ところが少しずつなにかが変化していき、
黒人の父と白人の母が声を荒げて
罵り合うようになったのである。

兄のハーモニーが路上で弾き語りをして
小銭を稼いでいることを知って、母のソフィは
激怒し、ふたりの仲はどんどん悪くなり、
夫婦も険悪な雰囲気になっていった。

両親は去年の夏に離婚し、
父と兄のハーモニーはニューヨークの
マンハッタンからロックフォートに移り住んだ。
妹のロビンは、近くにスターバックスがないと
生きていけないと、ニューヨークの母のもとに
残る選択をしたのである。

夏休みをノース・キャロライナで
過ごすことにしたロビンを、
空港まで迎えに来てくれた父と兄。
1年ぶりの彼らの懐かしい匂いに
胸が詰まる。
そして車のなかで、ハーモニーは呟く、
マムが恋しいと。

ハーモニーは夏休み中、ウォールマートで
雑用の仕事をし、そこには祖母のアリシアも
働いていた。
湾岸戦争から帰ってきてから、いつでも
酒に酔っているか寝ているウィリアム伯父さん。
ニューヨークとは一変して自然に囲まれ、
親密なジョンソン一家で、ロビンは
新鮮な夏休みを過ごすことになった。

母からはときどき電話があったが、
ハーモニーの受け答えは素っ気ないものだった。
その姿を見て、ロビンは母と兄はよく似ていると思う。

父に連れられ、ボードウォークの脇にある
バナナカフェに行ったときに、バーカウンターで
ヤンキースの帽子を被っていた青年・ショーンと、
偶然サブウェイで再会し、ロックフォート川の
桟橋でお互いのことを語り合いながら、
サンドウィッチを食べた。
その日から毎日彼と会い、ロビンの夏休みは
さらに新鮮になったのである。

ロビンがニューヨークに戻った少しのちの9月11日。
険しい顔で父が学校までハーモニーを
迎えにやってきた。

家に着くと、祖母とウィリアム叔父が
テレビに釘付けになっていた。
画面からは、2機の旅客機が母の職場がある
高層ビルに突っ込む映像が映し出されている。
母とロビンは……ハーモニーはそのことで
頭がいっぱいだった。
なにか重大なことを忘れている……
そのことばかりにとらわれていた。

こんなとき、ハーモニーの気持ちを落ち着かせてくれる、
楽にしてくれるのは、ヴェロニカの声だ。
同級生のマーカスと中古車センターを訪ねたとき、
事務所のデスクに向かっていたのが、
そこの経営者の妻・ヴェロニカだった。

胸を詰まらせながらヴェロニカとの付き合いを
回想していると、祖母がロビンと連絡が取れたと
走り出てきて、ハーモニーを抱きしめる。
その日の夜、ロビンと話をすることができた。
マンハッタンから出られるようになるまで、
ボランティアとマムを探すと言うロビンの声を聞いて、
ハーモニーはマムの姿が脳裏を巡り絶望する。

リスが木々を行き来し、庭にアライグマが
出没する穏やかなアメリカ南部。
人も自然も軽みを持たない南部の地を
好ましく思うロビン。
ロビンの日常を倦ませない、魅力的なショーン。
教会でキーボードを弾く、ハーモニーの年上の
ガールフレンド・ヴェロニカ。

身体まで喜びで溢れる、礼拝で踊り歌うゴスペル。
神の許、心の底から愛していると感じる、
双子のロビンとハーモニー。

ひとは日々の生活のなかで、ささやかな出来事に
幸せを見出していく。
PAY DAY (給料日)も、幸せを感じる1日!

身体より先に心が疲れてしまい
アルコール依存症に罹った伯父も叫ぶ
「イーッツ ペイデイ‼︎」

デリケートな人種問題、ついこぼれてしまった
取り返しのつかないひと言。
双子の兄妹が、大切な人をうしなう喪失感と後悔に
苛まれながら、恋をし、人と出会い、
成長していく物語。
著者の卓越した表現に、日本語の美しさがきらめく、
書き下ろし長編小説。

PAY DAY!!!PAY DAY!!!
(2003/03/25)
山田 詠美

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

イチゴ狩り

いちご

この季節、山いちめんに咲き誇る日本平の桜を愛で、
斜面に整然とビニールハウスが並んだ久能石垣で、
駿河湾を眺めながらイチゴ狩りをする。
数年前までは、毎年恒例のイベントだった。

けれど転職してから極端に休みが少なくなってしまったため、
なかなか静岡県まで足を延ばすことができず……
だから脳のなかはイチゴが溢れていっぱいになってしまう。

そんな、天気図が寒色系から暖色系に入れ替わるちょうど今、
季節の変わり目、ひょんなことからいちご栽培ハウスに、
そう、いちご狩りに行くことになった。

食べられなければ食べられないで、
イチゴでいっぱいになる頭は、
これから食べられると思うと、またイチゴが脳を埋める。
結局、わたしの薄っぺらな頭、初春はいつでも
イチゴだらけなのだと自戒しつつ、
ビニールハウスのドアをくぐると、甘い香りにうっとり。

入園料を支払うのももどかしく感じながら、
ヘタ入れトレイとミルクを片手に、
いく通りにも広がって並んでいるイチゴ棚の
あいだに飛び込む。

真紅に輝く実、びっくりするような大粒の実、
甘味が凝縮されているような小粒の実。
それぞれに顔の違うイチゴを、
休む間もなく次々に口に放り込む。
周りの目を介することなく、意地汚くむさぼる。

毎年、100粒を目標にし、
たぶんそれは充分達成していたと思う。
でも、今年は……
イチゴを口に運ぶ手のスピードがゆるみ、
そろそろ限界かなぁと感じてトレイを覗くと、
真っ赤な実のなくなった無惨な残骸を目算すれば
せいぜい50個ほど……
いちご狩りに行かれなかった数年のあいだに、
大食だった胃も変化してしまったのかもしれない。

よぉし、1年間胃を鍛えて、来年は100粒に再チャレンジだぁ!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

Jの総て1  中村 明日美子

Jの総て1

1952年、オハイオ。
J 10歳……美しい少年。
下町生まれでリトルロックの J は、
初めてマリリンモンローを見て、
彼女の美しさに魅了される。

学校帰りに映画館に寄り道しては、
南部出身のカトリック教徒である母に
怒られてお尻を叩かれていた。
そんなとき、自動車工場の機械技師である父は
そっととりなして、母のお仕置きから
J を救ってくれるのだった。

母は厳しかったが、父は J のヒーローで、
家族3人楽しい日々を過ごしていた。
ところが工場の自動化が進み、
リストラされた父は酒浸ってアル中になり、
母は働きに出た。

J 13歳。
父が大好きな J は、父にキスされ、
もっと強く抱いてほしいと願う。
そして、熱いキスのあとには……
そこに帰ってきた母は、父に拳銃を向け……

J は孤児院に引き取られ、
声が出ないまま14歳になった。
仲間のイジメに1年間我慢してきたが、
限界を感じて声を荒げて叫ぶ、
自分から動かなくてはと、みずから
決意するかのように。

そして名門カレンズバーグ高等中学校の
理事長・ミス.カレンズバーグが J を養子に迎え、
彼は中等部の生徒が寄宿するガリラヤ寮で
暮らすことになる。

バー・アルコホリックで、女装して
マリリンモンローを歌い、学校では級長のロイ、
同じ寮生のチャップ、市長の息子で
4年生のモーガンらと交友を深めていく。

J が校内でタバコを吸っているところに、
カルパリ寮の舎監であり、首席で理事長の
甥のポール・アンダーソンがやってきて、
タバコを巻き上げるが、逆に J に唇を奪われ、
うろたえる。
ポールは「君にはしかるべき処置が必要だ」と
言って、J を カルパリ寮に移してルームメイトになる。
そしてふたりは愛し合うようになるが……

数奇な運命を背負いながら、マリリンモンローに
憧れる少年が、女性よりも女らしく、女性以上に
男を翻弄し、傷つきつつ自由奔放に生きる
愛の物語、コミックシリーズ第1巻。

Jの総て (1) (F×COMICS)Jの総て (1) (F×COMICS)
(2004/06)
中村 明日美子

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テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

一九八四年[新訳版]  ジョージ・オーウェル 高橋和久訳

一九八四年[新訳版]

茹でキャベツと古マットの匂いがする玄関ホール。
壁には、「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」
というキャプションの付いた、黒い口ひげと
いかついが端正な容姿の巨大な顔のポスター。

その顔に見つめられながら、
39歳のウィンストン・スミスは階段を上がり、
7階にある部屋に入った。
テレスクリーンからは銑鉄の生産高に関する
数字のリストが読み上げられている。

窓から見える世界は寒々として、いたるところに
ビッグ・ブラザーのポスターが貼られ、
〈イングソック〉との文字が見え隠れしていた。
遠方の空には警察のパトロールヘリが、
人々の部屋の窓を監視している。
それはともかく、問題なのは〈思考警察〉だった。

テレスクリーンは受信と発信両方を行い、
ウィンストンの声も姿も〈思考警察〉に
捕捉されてしまうので、ウィンストンは常に
テレスクリーンに背中を向けているのである。

彼は窓から外を眺めながら、子ども時代の記憶を
たどろうとするが……無駄だった……記憶は
書き換えられてしまうのだから。

そして1kmほど先に建つ、巨大なピラミッド型の建物・
真理省の塔には3つのスローガンが浮かんでいた。
〈戦争は平和なり〉
〈自由は隷従なり〉
〈無知は力なり〉

ロンドンには真理省を合わせ、巨大な建造物が
4棟……報道・娯楽・教育及び芸術を担う真理省、
戦争を管掌する平和省、法と秩序の維持を
担当する愛情省、経済問題を引き受ける
潤沢省……などが点在している。

ニュースピークではそれらを〈ミニトゥルー〉
〈ミニバックス〉〈ミニラヴ〉〈ミニブレンディ〉と呼ぶ。

オセアニアの公用語であるニュースピークは、
イギリス社会主義のイデオロギー上の要請で考案され、
イギリス社会主義の信奉者の世界観や
心的習慣を表現する媒体の提供のみならず、
イギリス社会主義以外の思考様式を
不可能にすることを目的としていた。
政治的・知的自由は存在せず、語彙の削減自体を
ひとつの目的として、絶対必要不可欠な語しか
残されなかったのである。

ウィンストンはテレスクリーンの死角に座り、
日記を書き始めた。
それは死刑か強制労働収容所送りになり得る
危険なことであり、運命を決めるような
行為だったのである。

1984年4月4日と綴りながら思う。
1984年も、自分の年齢も定かではない。
そして〈二重思考〉のニュースピークに思い当たり、
重大なことを企てたことを痛感しながら、
パニック状態のまま書き進めているうちに、
なぜ日記を書こうと思ったのかが浮かび上がった。

それは〈二分間憎悪〉の準備中、思いがけず
ふたりの人物に出会ったからである。
ひとりは目鼻立ちのすっきりした黒髪の女性・ジュリア、
もうひとりは大柄で逞しく、残忍な表情を浮かべた
〈党中枢〉の一員オブライエンだった。

情報のすべてが政府によって管理され、
人の記憶も自由に書き換えられてしまう
英国真理省記録局で、歴史の改ざんという
仕事に就いていたウィンストンだが、
決して党に忠誠を誓っていたわけではなかった。

そんなある日、黒髪の美女・ジュリアから
手紙を渡され、ふたりは密かに逢瀬を重ね愛し合う。
そして反政府地下活動に惹かれていくが……

拷問による思想犯罪者の破壊・洗脳、二重思考、
思考警察、一党独裁、イギリス社会主義などの
政治的背景のもと、全体主義国家により
分割統治された近未来の恐怖が描かれた、
「読んだふり本」第1位の最高傑作新訳版。

「読んだふり」ではないが、
そのとき話題になっている本を読んでいることを
知られるのが恥ずかしくて、話題の本は読めない。

少しときが過ぎれば過ぎたで、時代遅れのように
思われるのも恥ずかしくて、結局ブレイクしている本は
読む機会を逸してしまう。

でもさすがに、村上春樹著『1Q84』は気になり、
我慢できず、刊行前に
『BOOK1』『BOOK2』を予約し、
発刊日と同時に読み始めた。
『BOOK1』で盛り上がり、最終ページをめくって
頂点に達したところで『BOOK2』に入ったけれど、
読解力の乏しいわたしは謎が深まるばかりの展開に、
読了した感想は……『BOOK3』はいつ出るの?……だった。

だから、とにかく少しでもその謎の手がかりを
見つけたくて、書店さんに寄り、『1Q84』に関係する本を
漁って、巡りあったのが本書である。
そして『一九八四年』の世界に没入し、精神的恐怖の渦に
巻き込まれたのは、もう何年前のことだっただろうか……

追記、その後『BOOK3』が刊行となり、当然即購入して、
わたしのなかの『1Q84』は読了となった。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
(2009/07/18)
ジョージ・オーウェル

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

火の鳥  手塚治虫

火の鳥

大地の吹出物である火山が血や肉を
空間へぶちまけ、動物たちは逃げ惑う。
ギリシア神話でバルカンと呼ばれる
火山の神が怒ると、その怒声は
大気と海を荒らし、地は焼けただれる。

その煉獄に、不死鳥とか火の鳥と呼ばれる、
たくましいひとつの命があった。
火の山が火をはくと現れる、その鳥の生き血を
飲めば、永遠の命を得ることができるという。

ナギのねえや・ヒナクは、もう助からないかも
しれないと思えるほど弱っていた。
夫であるウラジは彼女を救うため、火の鳥を
捕まえに行ったが、戻ってきたときには無残にも
息絶えていたのである。

村人たちはウラジを勇士と讃え、村一番の
弔いをしようと用意しているところに、
海辺に打ち上げられた男がいた。
グズリと名乗る男は、職業は医者で
海の向こうから旅をしてきたという。

ヒナクを治すことができれば命を助けてやると
言われたグズリは、村人たちに青カビを集めさせ、
それをヒナクに与えた。
夜が明けると、まるでそれに呼応するかのように、
ヒナクは目を覚ましたのである。

ヒナクは、優秀な医者であるグズリは命の恩人だと
心から感謝し、彼を引き取って、弟ナギの
教育を頼んだのだった。

3か月が過ぎ、グズリは多くの村人たちの
病気を治して、皆から尊敬され、
ヒナクと夫婦になった。

ところがグズリは、実はヒミコの命により、
いくさ人をおびき寄せるために送り込まれた
間者だったのだ。
猿田彦率いるいくさ人に、村人は皆殺しにされ、
ひとり生き延びたナギは猿田彦にヤマタイコクへ
連れていかれたのである。
それは猿田彦がナギの弓の腕を
見込んでのことだった。
弓の修業をし、国一番になったら、火の鳥を
射止めろと、猿田彦はヒミコの弟・スサノオから
譲り受けた弓をナギに渡したのである。

一方、ヒナクを愛してしまったグズリは、
ヒミコを裏切り、ヒナクを抱えて逃げるために
火の山へ登っていった。

隙をみては復讐を企てるナギだったが、
猿田彦には歯がたたず、彼がヒミコの命に
逆らうことができずに村人を皆殺しにしたことを知り、
ナギの憎しみはいつしかヒミコへと移っていった。
そして猿田彦とは深い絆で結ばれていく。

ナギはヒミコを暗殺する計画を実行し、
弓で狙われたことに激怒したヒミコは、
猿田彦をまだらバチの穴倉へ押し込めてしまう。
ナギは身体中ハチに刺された猿田彦を救い出し、
小舟に乗ってクマソの国へ向かうのだった。

年老いて老けたヒミコは、永遠の美と命を求めて
火の鳥を捕まえるため、ヨマ国からトレードした
天弓彦(あまゆみひこ)を従え、
ナギたちを追いかけていく。

クマソ村でナギが火の鳥を見つけて必死に
追っていくと、驚いたことに火の鳥が
話しかけてきたのである。
「私たちは心から心へ話しかけられる。
あなたがたは何が望みなの?
人間より短い一生の虫たちは与えられた
時間のなかで生きる幸せを見つけている。
それが幸せなのではないの?
そのことが分からなければ、
あなたは死ななければならない」と。

火の鳥は空高く飛びたっていったが、
そこで偶然グズリと出会い、ナギはヒナクが
出産したことを知る。
そして亡くなったと思っていた姉との、
悲願の再会を果たしたのである。

舞を踊り、文字も理解する、賢くIQの高い火の鳥は、
ある時期、みずから火の壺に飛び込み、
全身を焼いて生まれ変わるという。
決して死ぬことなく、何千年も生きながらえている
火の鳥を、不死の命を求め、ナギと猿田彦、
グズリやヒミコが追っていく。

赤塚不二夫登場というユーモア、壮大な自然の描写、
尽きぬ人間の業、生命とはなにかが描かれ、
数多く映画化・アニメ化された、手塚治虫の代表作。

火の鳥 1火の鳥 1
(2014/04/25)
手塚治虫

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テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

ひな祭り

ひな祭り


重陽の節句といえば、9月9日の菊の節句が
広く知られているが、もともと重陽は陽(奇数)を
重ねる意で、1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、
9月9日の5節句があると、
たしか中学の国語の授業で教わったような……

なかでもやっぱり女の子の節句、
ひな祭りが近づいてくると、心はウキウキ。
買い物にでかければ、スーパーの棚に
色鮮やかな菱餅や淡い色の雛あられなどが並び、
生花コーナーには優しいピンク色の桃や
幸せ色の菜の花が周りをその香りで包んでくれる。

一昨年は塩漬けの桜の花と菜花を飾った
手まり寿司、昨年は三色菱餅をかたどった
ちらし寿司でお祝いした。
今年は?……と思案しているとき、
ふいに浮かんだ大好きなアボカドを使った
ちらし寿司ケーキ!

料理の醍醐味は、季節にあった食材を使って、
季節を模造することかなぁ……
そこに想像力と夢と希望が見え隠れする楽しさ。
もちろん、口に入れてしまうのが
もったいないと思いつつ、
すべてを壊して胃に収めるサド的快感も。

あ〜、BGMも忘れずに……
♫ 灯りをつけましょ、ぼんぼりに〜、
お花をあげましょ、桃の花〜♪

お内裏様とおひな様のように、
いつかそんなパートナーと人生を
歩めるよう、祈りながら……

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

酒場を愉しむ作法  [著]自由酒場倶楽部 [監修]吉田 類

 酒場を愉しむ作法

日本の酒文化は、歴史との関係が深い。
共同体の結束や神事での飲酒習慣から
成り立ってきた日本の飲酒文化は、
大勢で呑むことも多いが、
たとえひとり酒であっても隣り合えば、
会釈や会話が肴にもなる。

ひとり酒の醍醐味といえば、
なんといっても旅酒。
いなか町での郷土料理と地酒で、
郷に交わり癒される。

お店を見分けるポイントのひとつは店構えであり、
玄関には店主の心の有り様がうかがえるのである。
その日の気分や飲み方によって
行きたい酒場も変わる。
本書には、それを見つけるコツ、お薦めのお店の
雰囲気や特徴、歴史や所在地などの詳細情報と、
日本酒の種類や製造方法、ビールやワインなどの
薀蓄も綴られる。

積み重ねられた歴史のうえに構築された、
その街独特の雰囲気を持つ盛り場。
文化人が集う場所だったり、外国色が強い
エリアだったり、庶民的なお店が多かったり、
安らぎの場に赤提灯の街、露天風呂に浮かんだ
小さなお盆に乗った日本酒など、
呑兵衛には興味深い情報が満載の1書。

詩人に俳人、歌人に小説家、その傑作作品と、
文学や歌舞伎、絵画や浮世絵、
古事記や万葉集にもゆかりあるお酒。
古い歴史を持つ人とお酒は、
古代から現代に至るまで、その関係は奥深い。

我がお酒人生といえば、
友人とふたり、あるいはグループで呑む機会は
たびたびあったが、残念ながらひとり酒の
経験はない。
老舗から立ち飲み屋やオイスターバー、
角打(かくうち)に激安店まで載っている紹介を
ナビに、そしてお酒の歴史が綴られた章をアテに、
ひとり酒の旅に出かけてみようか!

酒場を愉しむ作法 (ソフトバンク新書)酒場を愉しむ作法 (ソフトバンク新書)
(2010/09/18)
自由酒場倶楽部

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テーマ : 本の虫
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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。