7月の投稿書籍

レ・ミゼラブル悩める上司に贈る女性
リアルワールド天使のひと言ブトゥーム
ホテルカクタス夢辞典で知るアントキノイノチピンポン1月の裏側
小心者 でもサラリとライオンハートビットコイン解説本もう一度デジャ・ヴピンポン 第2集

サムネイルをクリックすると元記事にジャンプします

ピンポン 第2集 松本大洋

ピンポン 第2集

主な登場人物は
右シェイクで両面裏ソフトカットを主戦型とする、
片瀬高等学校1年の月本誠(スマイル)。
笑わないことからスマイルとあだ名を持つ月本は、
相手選手の心情を考慮したプレイをしてしまう甘ちゃん。
同じく片瀬高等学校1年、右ペンで表ソフト速攻型を
主戦型とする星野裕(ペコ)。
スマイルとは卓球道場でいっしょに育った幼なじみ。

40年前にバタフライジョーと異名をとり、強く華麗なプレイをした
片瀬高等学校卓球部の顧問、小泉丈。
小泉は負傷した幼なじみに同情して試合に負け、引退する。

右中国式ペンで裏ソフトドライブ攻撃型を主戦型とする、
中国人留学生の孔文革(コンウェンガ)。
中国ナショナルチームから落とされ、あとがない。

右シェイクで裏ソフトドライブ主戦オールラウンド型、
天才ドラゴンと呼ばれる、最強エリート集団である
海王学園2年の風間竜一。
卓球道場タムラでいっしょだった、海王学園1年の
佐久間学(アクマ)。

いよいよインターハイが幕を開けた。
スマイルは初戦を5分で片づけると豪語し、その言葉通り、
短時間で大鵬高校の江上を倒すが、「暇つぶし、気晴らしの速攻
というだけで、卓球に人生をかけるなんてナンセンス」だと、
相変わらず卓球に対して冷淡である。

そのあと孔文革との3回戦は、21 : 9 で第1セットを落としても、
鼻歌を歌いながらリズムを取っている様子は冷静そのもの。
鼻歌をそのまま続けながらの第2セットをスマイルが奪い、
第3セット、孔文革を追い込んだスマイルのプレイは、
孔文革のコーチが放った「負けたら、おまえは終わりだ」
という言葉を聞いてから、一変し……

個性豊かな登場人物たち。
それぞれの思いと卓球の厳しさ。
スピード感あふれ、迫力満点のイラストが映える、
スポ根友情コミック、シリーズ第2集。

ピンポン(2) (ビッグコミックス)ピンポン(2) (ビッグコミックス)
(2012/09/25)
松本大洋

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

もう一度デジャ・ヴ 村山由佳

もう一度デジャ・ヴ

【chapter 1】
陸上部に所属する高校2年生の矢崎武志は、自転車で
合宿所に向かう途中、突然飛び出してきた車を避けようと、
みずから横転して右側頭部打撲と靭帯を伸ばす怪我を負った。
幸い、病院でのCT検査で異常は見られなかったが、
夏じゅう家での安静を強いられることになってしまった。

そんな夏休みも終盤を迎えようとしていた夕餉のあと、
居間でテレビを観ていたときのことである。
星一徹そっくりで、チャンネル権のある父の選択した
テレビ番組を、家族そろって鑑賞していた。
それは秘境を探検する特集だったが、そこに映し出された風景を、
訪れたこともない、その光景を武志は知っていたのである。
鎮守の森、洞窟、その先にある祠、黒髪塚という名前をうわごとの
ように口ずさむ武志を、薄気味悪そうに見ている母と姉。

そして番組スタッフが祠の足もとの穴を塞いでいる一枚岩を
動かそうとしているとき、武志は怒りとともに「やめろ!」と叫び、
ソファに倒れてしまった。
画面に映る穴から取りだされたぼろぼろの黒布。
激しい頭痛に襲われながら、その黒布には、昔美しい黒髪が
包まれていたことを、武志は確信していた。

〈 一の章〉
黒曜石のような瞳に怒りをたぎらせる武家の女は、骨太で
しなやか、強靭な体躯のはやて等一味にさらわれ、懐剣で喉を
突こうとしたところを、はやてに阻止される。
彼女の元結が切れ、黒髪が流れ落ちるのと同時に、
赤いかんざしが滑り落ちた。
はやてはそのかんざしを拾い、女にさるぐつわをかませるよう、
男たちに命じた。

【chapter 2】
休み中に薬を塗りマッサージを施した甲斐があり、
武志の足はかなり回復していた。
あの不思議な体験をした翌朝、陸上部のライバルで悪友の
狩野達也がお見舞いに来てくれたが、武志は異常なほどの
熟睡ぶりで、いっこうに目を覚まさなかったらしい。
熟睡したはずの武志が目覚めると、酷い疲労感を覚え、
辛い夢を見ていたように感じていた。

体育教師の大仏(おさらぎ)は、武志と狩野を目のカタキにし、
その日も腕立て50回とうさぎ跳び校庭30周を命じた。
やっとベルが鳴り、悪役の顔をした大仏に殺意を抱くような
憎しみを覚えた瞬間、またあの感覚と頭痛に襲われた。
大仏が目のカタキにするのは、前世の恨みかもしれない。
前世の記憶……という言葉が鳴り響く。

〈 二の章〉
南部藩、野の宮奉行・尾上覚之氶の屋敷に、妻のおりんを
連れ去ったという書状が届く。
そこには、おりんの命の値段と、沙霧を生きて返されよ
という一文が記されていた。

光が丘西高のマドンナ小島夕子、頭がいいわりにはいいヤツである
小林正人、悪友の狩野達也、悪役体育教師の大仏たちが歴史の波に漂う。
平穏な現代と厳しい戦国時代が交錯し、前世の記憶がよみがえったとき、
明らかになる真実とは……
激しい恋、信じる想い、深い愛情。
生まれ変わりながら、めぐり逢い続ける永遠の恋。

「狩野は僕のことを愛しているんじゃないだろうか」
「男のコカンにかかわる」
などの、おちゃめなユーモアに緊張が弛緩しつつ、時空を超えた
壮大なときの空間に、神秘あふれるロマンスファンタジー。

もう一度デジャ・ヴ (JUMP j BOOKS)もう一度デジャ・ヴ (JUMP j BOOKS)
(1993/06/04)
村山 由佳、志田 正重 他

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

避暑地 軽井沢 と 暑い メキシコ

kome-04.jpg  

軽井沢を訪れるのは、今年2度目。
もちろん全国的に、避暑地として名高い観光地であるから、
涼しいイメージはあるけれど、わたしにとって今年の軽井沢は
「寒い!」印象が強い。

前回は4月。トレッキングが最優先目的だったので、
身体を動かせば暑くなるだろうと、上半身はインナーにシャツと
ウィンドブレーカー、下半身はタイツに短パンという出で立ちで
歩き始めたものの、朝早かったせいか、寒さに耐えられず、
ザックからトレッキングパンツを取り出し、重ねばきした。

今回は7月。
梅雨らしい曇天とぱらつく小雨模様ではあっても、
さすがに7月、まさか寒いとは思いもせず……
が、天気予報での予想気温は16度。
フレンチスリーブのカットソーに、レースのボレロという
夏そのものの装いは、やはり寒い!

それでも今回はショッピングが主な目的だったので、
お店に入ってしまえば、寒さも感じることなく、
ニューオープンセールを満喫。
増設された通りや、雨の景観を充分楽しんでから、
夕方軽井沢を後にする。

さて、夕飯はどうしよう?と考え、ふと浮かんだメキシカン。
田舎ではあまりメジャーではないのか、信州には
数少ないメキシカンレストラン。
わたしの薄っぺらな情報網では、県内でメキシコ料理店が
ある市町村は、白馬村と箕輪町に長野市のみ。
ちょうど帰り道だし、途中下車して、今晩の夕飯はメキシカンにしよう
……と、長野インターで降り、メキシコを目指す。

そのメキシカンダイニングコメスタは、長野市の中心部にあった。
店内は明るく、注文を取りにきてくれたホールの女性も綺麗で明るい。

オヤジの定番セリフ……「とりあえずビール!」
……ではなく、コロナ!を注文。
お料理は、トルティーヤチップスにワカモレとサルサソース、
ナチョスに熱々エビのアヒージョとバゲット、ブリトーなどなど。

締めは何と言っても、メキシコが誇るお酒、テキーラの原酒を、
ショットグラスで一気に煽る。
いえいえ、まさか!
そんなに酒豪ではありませぬ。
丸めた親指と人差し指にすっぽり埋まりそうな、ミニサイズの
グラスに入ったテキーラ・アガバレスを舐めるように味わう。
チェイサーがテキーラを追いかけながら、
食道を滑り落ちる感触に夢心地。

軽井沢とメキシコ。
地球の裏側まで旅した梅雨の1日。
次回の世界裏側探訪は箕輪町かなぁ……

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

世界で一番わかりやすい 権力から解放される新たな通貨 ビットコイン解説本 足立明穂

 ビットコイン解説本

急速に広がっている、デジタルの仮想通貨であるビットコインは、
日本でも今年2月に販売を開始しながら、同月の末には取引所の
Mt.GOX(マウントゴックス)が民事再生法を適用したり、中国やインドでは
取引禁止になったり、逆にビットコインを買いたいという人が急増したりと、
いま世界で注目度が高い。

ビットコインの急騰はキプロスの金融危機が発端で、欧州連合から
金融支援を受けるために課せられた預金の課税を回避するため、
預金をビットコインに替えたことが、発熱の要因である。

共産主義の中国では個人資産の制限があること、多民族で移民も
多いことから、インターネットで海外へ持ち出せるビットコインに人気が
集まるようになったが、その後中国政府はビットコインの商取引を禁止。

アメリカでは新しい通貨のルール化に取り組み、ノルウェーでは
通貨ではなく、資産扱いで課税を考え、インドでは犯罪防止のため、
取引所を閉鎖させた。
日本は調査を開始したという状況で、まだ一般的でないが、
世界では身近なビットコイン。

本書は通貨の仕組みからはじまり、電子マネーとの違い、
ポイントサービス、発行や管理に関して、ビットコインが
どのようなものか、丁寧に分かりやすく書かれた解説書。

銀行での窓口現金化からATMでのカード使用へ、モビットくんに
インターネットバンキング、クレジットカードにおサイフケータイなど、
刻々と変化していくマネー形態。
いずれ紙幣や硬貨といった現金が、この世界から姿を消す日も、
そう遠くはないのかもしれない。

ビットコイン解説本ビットコイン解説本
(2014/02/01)
足立 明穂

商品詳細を見る


テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

ライオンハート 恩田陸

ライオンハート

『エアハート嬢の到着』
1978年 ロンドン
ロンドン大学の教授であるエドワード・ネイサンが行方不明になり、
同僚のチャールズ・モリスが大学職員2人と警官をともない、
エドワードの家を訪ねた。
綺麗すぎるほど整頓された家の、どの部屋にも
エドワードの気配はなかった。
最後に入った書斎には、時代がバラバラの複製画が5枚が飾られ、
落ちていたハンカチには
from E. to E. with love と飾り文字が縫い取られ、
不思議な紋章の付いた便箋には、
LIONHEARTと書かれていた。

1932年 ロンドン近郊
アメリカから飛行機に乗ってやってくるアミリア・エアハートを見たいがため、
人が溢れるハンワース・エア・パーク。
輝く金髪と碧色の瞳の美しい少女はこのなかに本当に彼が
いるんだろうか?という不安にかられながら、辺りを見回す。
20歳ぐらいで長身、黒髪に黒い瞳だと、彼は言っていた。

突然人混みが切れて、一筋の道が開けた。
その先にたたずむ、広く銀色に浮かんだ背中に黒髪の男。
少女は歓喜に震え叫んだ。
「エドワード」

エドワードは仰天しながら、少女の澄んだ美しさに魅入っていた。
そして人違いだと言うエドワードに、
「今回は12歳だけど、エリザベスよ、エドワード・ネイサン」
と少女は答え、エドワードは戸惑う。

少女は、「45年前、ロンドン大学の教授だったあなたに出逢い、
今日のことを教えてもらった。
だからあなたを見つけてハンカチを返すことができる。
明日の『デイリー・スケッチ』の見出し『レディー,リンディー』を見れば、
あたしの言ったことが信じられるわ」と言って、ハンカチを渡し、
それはあなたが45年後にくれるはずだとも言う。
そのハンカチには、from E. to E. with love と縫い取りがあった。

エドワードは混乱し、不遇な人生からの妄想かもしれないと思う。
少女は混乱させてごめんなさいと謝って、また話し出す。
「ふたりはそれぞれの人生のどこかで何度も出逢い、でもいっしょに
いられるのは、ほんの僅かな時間だけ。
その訪れは謎で、あなたは今日はじめてあたしに会って、今日
出逢えなかったら続かなかった。会えてよかった」と。

世界恐慌で父の会社は倒産し、両親兄弟を亡くして、借金を背負い
大学も追われた現実を思い出したエドワードが、トラックに
飛び込もうとした瞬間、エリザベスが身代わりになった。
エドワードの腕のなかで、血を流しているエリザベスは声に
ならないような震えた声でささやく、
「45年経ったらあたしを見つけて」

エリザベスにとって、エドワードはライオンハートだった。
そして『春』『イヴァンチッツェの思い出』『天球のハーモニー』
『記憶』へと続いていく。

時代が流れ、場所が変わっても、ふたりが必ず出逢う、
ロマンあふれるファンタジーラブストーリー。

文中で、エドワードが少女に質問する。
「ねえ、エリザベス。なぜきみと僕なんだろう?」
エリザベスは答える
「分からないわ。でもあなたでよかった。あなたを見つけるたびに、
あなたでよかったと思うの。世界が金色に弾けるの」
神さま、わたしにも金色に弾けるような……
運命の……

ライオンハート (新潮文庫)ライオンハート (新潮文庫)
(2004/01/28)
恩田 陸

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

小心者 でも サラリ と かわせる 「断る」 心理 テクニック 内藤諠人

小心者 でも サラリ と かわせる

プロローグ 断っても大丈夫、必ず「嫌われる」わけではない!
第1章 思わず納得させる断り方の鉄則
第2章 職場で嫌われない断り方の基本
第3章 いくら仕事でも許せない相手の撃退法
第4章 恋人に絶対嫌われない断り方
第5章 男女関係「別れ上手」は断り方次第
第6章 「手強すぎる相手」の攻略法
第7章 心理テスト「あなたの断り方」検定
おわりに

笑顔、心を惹きつける話力、人気者を観察して一流に触れる。
ポジティブになるための快眠、スムーズな人間関係を保つための
方法、相手に合わせる会話、宴会でのデュエットの断り方。
会社の上司や取引先、恋人や夫婦、友人など、譲歩したり
交換条件を出したりしながら、相手に不快感を与えないよう、
あるいは納得させてしまうような断り方のテクニックが、
心理学を踏まえ、思わず「う〜ん!」と唸ってしまう
ユーモアあふれる具体例をあげ紹介されている。

断ることが苦手な日本人。
断りにくいのは、相手の気持ちを考えているからであり、
それは気配りということになる。
大切なことは、断る以前に周りから好かれる環境づくりを
しておかなければならないということ。

本書のなかの一文
〈人から好かれるというのは自分の居心地の良い場所を
つくるということである〉
人間が生きていくということは、意識と無意識にかかわらず、
周りの人を傷つけていくことであり、だからこそ、できうる限り、
周りの人への気遣いを心がけたい……と願いながら、
きっとそれは叶わぬ儚い希望。

本書は、人と人との関係を大切にする方法と、多くのしがらみに
縛られながらも、自分の意志を明確にして、断る力をつけるための
解決法がまとめられた人生の実用書。

卓越したユーモアセンスと、非凡な発想に、感嘆が漏れる。
なかでも殊に興味深く、真剣に熟読したのは、
『第4章 恋人に絶対嫌われない断り方』
『第5章 男女関係「別れ上手」は断り方次第』だった。
『第7章 心理テスト「あなたの断り方」検定』も、ぜひお試しあれ!

小心者でもサラリとかわせる「断る」心理テクニック小心者でもサラリとかわせる「断る」心理テクニック
(2010/08/31)
内藤 誼人

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

北アルプス の 雪解け湧水 力水 (ちからみず)

北アルプスの水3

なんの匂いだろう?
微かに、でもその存在をそっと知らしめるような、
清楚で気品がある、そう、白檀に似た香り。

ここは常念岳と蝶ケ岳の登山口から、10分ほど登った、
ナラの木が繁る樹林帯。

今日のトレッキングの目的は、湧き水の「力水」からいただく
北アルプスの雪解け湧水。

小川に沿って歩いていくような、水の豊かな山道。
ところどころ行き当たる、その小川にかかる小さな橋を渡って、
一歩の重さを踏みしめながら進む。

樹齢何百年はあろうかと思われる大木の横で、傍目には勝負に
ならないと思われるのに、自分の勝利を確信しているように葉を
広げるシダの勇姿に、どこか自分の姿を投影しているような
滑稽さに、つい自嘲の笑みがこぼれてしまう。

偉大な自然のなかで映るのは、常に真実の姿。
それがトレッキングをはじめて、信州の大自然に触れることの
できた、思わぬ副産物であり、真髄かなぁ。
などと感慨に耽りながら歩いているうちに、「力水」に到着!

山肌から溢れ出る、尽きることのない清らかな水は、まさにご神水。
ザックをおろし、カップを取り出して、「力水」に近づく。
流れる湧水をカップに注ぎ、ひとくち含むと、舌に絡みつくような、
とろりと優しい舌触り。

持参したペットボトルを満杯にし、ザックに戻す。
バーナーでお湯を沸かし、コーヒーを淹れる。
ナラから排出される濃厚な酸素と、ご神水で清められた深い香り。
あ〜、信州人に生まれて良かった〜!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

月の裏側 恩田陸

月の裏側


柳が揺れる掘割をどんこ舟が下る名勝、九州の
水郷都市・箭納倉(やなくら)。
小さな堀が縦横に巡り、湿度が拭えない街。
童子のような顔を持つ、大手レコード会社のプロデューサー
塚崎多聞は、眼光鋭い元大学教授の三隅協一郎から思わせぶりな
電話をもらい、新人発掘を兼ねて、この街にやってきた。

協一郎は「これから行く場所を覚えていてくれ」と言って、住宅街を進み、
1軒のありふれた日本家屋を見ながら、「1年以上前、あの家の住人で、
73歳の女性が行方不明になった」と言う。

またしばらく進み、そしてまたありふれた家を指し、「7か月前、
70歳の女性が行方不明になった」と言う。
15分ほど歩いたところで、今度は「4か月前、65歳の女性が
失踪した」と言う。
いずれも消えてしまった女性たちに、外出した気配はなかったらしい。

その後ふたりは小料理屋に入り、協一郎が「不思議なのは」と口を開く。
「数日後、3人が記憶をなくしたまま戻ってきたことだ」と続けたのである。

翌日ふたりは朝食を済ませ、船着場から舟に乗った。
舟が中堀に向かって角を曲がり、木造二階建ての立派な家が見えると、
協一郎が「以前住んでいた家だ」と言い、多聞はびっくりして、
引っ越した理由を尋ねる。
協一郎は「堀に面していたから」と答える。

セピア色の映像のなかを、ゆっくり時間が流れるように舟が進みながら、
突然多聞はひらめき言葉にする
……行方不明になった3人の共通点、3軒とも堀に面している……

1時間あまりの川下りを終えたふたりは、終点近くの鰻屋に入った。
そこに協一郎から呼び出されたN日本新聞の高安則久がやってきて、
多聞に語りかける。
「3年前、先生の弟さん夫婦が失踪され、そのことを取材したのが、
先生との出会いです」と。

それから高安が持ってきた、行方不明になった女性のインタビューテープを
聞いて、多聞は低く断続的に響く音が気になり、そのテープを借りることにする。
女性たちはみな、行方不明になっていた数日間の記憶がないと言うが、
ひとりだけ「地面にあおむけで空を見ていたような気がする。
うまく言えないけれど、世の中には説明できないようなことも
あるんじゃないか」と言ってテープは終わった。

雨は小降りになっていた。
高安は支局に戻り、協一郎と多聞はレコードを取りに堀の家に向かった。
かけたはずの鍵はかかっておらず、不審に思いながら足を踏み入れる。
廊下を進むと、そこに立っていたのは協一郎の娘・藍子だったが、
多聞の顔には驚愕の表情が浮かんでいた。

閉ざされた空間と、それを包む大きな世界。
世の終わりのような雲の色が広がる箭納倉の街。
テープに入っていたあの音は……
堀の家で多聞が目にしたものは……
掘割が縦横に走る水辺の下には、いったい何が……

感覚と感情の巧みな表現。
心に忍び寄る、いい知れぬ恐怖に細胞のひとつひとつが
呼応する長編傑作SFホラー。

舞台である箭納倉(やなくら)のモデルは、九州の水郷・柳川。
信州、松本平から安曇野にかけても、柳川と同じように、
水の豊かな街である。
北アルプスからの雪解け水が、そこかしこで湧水をなす。

数年前に開店した和洋菓子老舗の安曇野店にも、
アルプスの伏流水があふれている井戸がある。
そのつくばいを覗き込めば、透き通った水面に映る自分の顔。
食い入るように見つめながら自問する。
そこに映ったわたしは本当の、ほんものの自分なのだろうか……


月の裏側月の裏側
(2013/12/06)
恩田陸

商品詳細を見る



テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

ピンポン 第1集 松本大洋

ピンポン1

右シェイクで両面裏ソフトカットを主戦型とする、
片瀬高等学校1年の月本誠(スマイル)。
同じく、右ペンで表ソフト速攻型を主戦型とする星野裕(ペコ)。
幼なじみの2人は、オババが開いている卓球道場タムラで、
ラケットを握り大きくなった。

ほとんど笑顔を見せないスマイルは、小さい頃から
よくいじめられていたが、さり気なく助けてくれるのが
ペコだった。
スマイルはそんなペコをヒーローだと思っている。

片瀬高等学校で卓球部に所属する2人は、右中国式ペンで
裏ソフトドライブ攻撃型を主戦型とする、中国人留学生の
孔文革(コンウェンガ)の偵察をするため、部活をさぼり
辻堂学院高校に向かう。
ところが体育館に人の気配はなく、2人は勝手に球を
打ち始めてしまう。
外にいたウェンガには、卓球台とラケットから奏でる音だけで
プレイの様子が分かるほど、高い実力の持ち主であるにも
かかわらず、自分には才能がないと思い始めている。

そしてスマイルと手合わせをしたいと館内に入ってきたウェンガは、
スマイルではなくペコに請われて試合を始めたが、
ペコはスコンク(完封)で負け、自信を挫かれてしまう。
ウェンガはスマイルの才能を見抜くが、闘争心がないことを
残念に感じる。

コーチの小泉丈はスマイルに勝負への執念を植え付けるため、
マンツーマンの早朝練習を命じるが、卓球も勉強も暇つぶしだと
思っているスマイルは、朝練に来ない。
栄養バランスを考え、お弁当まで作ってくれる小泉に、スマイルは
苛立ちを覚える。

そんな折り、右シェイクで裏ソフトドライブ主戦オールラウンド型、
天才ドラゴンと呼ばれる、最強エリート集団である海王学園2年の
風間竜一が、練習を見学したいとやってきた。

スマイルを特訓する小泉は、まるで強くなろうとする意識のない
スマイルに試合を挑む。
スマイルが勝てば今後いっさい干渉しないが、小泉が勝ったら
絶対服従と、自分の犬になることを条件に。

面白ければいい、何かを犠牲にするような卓球はしたくないと
思うスマイル。
一等賞になりたい、世界チャンプを目指していると豪語するペコ。
スマイルに恋してハニィと呼ぶ小泉コーチ。

卓球を通して成長していく高校生の様子がユーモラスに描かれた、
スポ根友情コミック、シリーズ第1集。


ピンポン (1) (Big spirits comics special)ピンポン (1) (Big spirits comics special)
(1996/06)
松本 大洋

商品詳細を見る

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

アントキノイノチ さだ まさし

Evernote Camera Roll 20140713 084035

父親とふたり暮らしの永島杏平は3年生の秋に高校を自主退学して、
1年あまりのあいだ、引きこもりのような生活を送っていたが、
その後CO-OPERSという、亡くなった人の部屋を片付ける仕事に就いた。

墨東高校をやめた理由は、ずっと親友だと思っていた松井新太郎が、
面従腹背であることに気づき、とても嫌いになってしまったからである。

はじめての現場は、1か月以上も発見されずに76歳で孤独死した
男性の部屋だった。
主任の佐相さんに伴われて訪れた6畳1間の部屋には、シングルベッドと
ビニール製の洋服掛けと、こたつがそのままになっていた。
佐相さんに教わりながら、家財道具を「ご不要」と「ご供養」に
分けられた段ボール箱に詰めていく。

遺体は運ばれたあとだったが、1か月も放置された身体に湧いた蛆が
羽化して蝿となり、行き場を失った無数の死骸があふれる部屋。
それを見て固まってしまった杏平が、世相に励まされながら
段ボール箱を開けると、ビニール袋に包まれた巾着の中から、
ブラジャーとパンティが5セット出てきたのである。

貴重品に手を触れてはいけないが、遺族に見られたくないと
思われるものはなかったことにしてもいいという佐相さんの言葉を受け、
杏平はそれを「廃棄」の段ボール箱に入れる。
部屋の片付けは、最後に新品のタオルで拭いて終了となった。
まだ病が完治していない杏平だったが、一所懸命拭き掃除をする
佐相さんを見ていると平穏な気持ちになる。

父が山男で、小さい頃から山歩きをしていたこともあり、
杏平は高校に入学して登山部に入部した。
1年生の秋、登山部のミーティングのあとに部員たちと喫茶店に行き、
生徒会役員の仕事があるため遅れてきた松井が、そこでいつものごとく、
松井のライバルである菊田の母親が万引きしたと、
巧妙な嘘を交えた噂話を始めた。
そしてその嘘は真実にすり替わる。
その件がきっかけとなり、菊田からは誤解を受け、松井からは
警戒されるようになった。

心を病んで高校を退学してから1年半ほど経ったころ、杏平が
通院している病院の事務長の細川さんが、父の学生時代の
友人だったこともあり、病院での簡単な仕事を手伝うようになった。
そのうち病気も回復傾向が見られ、やはり父の山岳部の後輩である
古田さんが経営するCO-OPERSで働くようになったのである。

高校2年の終わりごろ、同級生の山木信夫が立ち上げたブログに、
3台の携帯電話を使って中傷メールを送り、“ヤマキ熱帯風ソース” を
炎上・閉鎖させたのも松井だった。
そして山木は怒りのあまり、松井を襲撃し警察沙汰になったあと、
自殺してしまった。

杏平は高校退学後、自律神経失調症から精神失調が進み、
鬱症状、失語症となっていった。
1年以上、鬱々と日々を過ごしていたある日、父が言った。
杏平はグリル童話のように、魔法にかけられちゃったんだ。
でも、魔法はいつかとける。必ず戻してやる、と。
杏平はその言葉に胸が少し軽くなるのだった。

中学2年のとき、母が男と駆け落ちして出ていっても、
きっと杏平を思って泣いているから、お母さんを恨む気持ちには
なれないと言った父は、失語症を患う杏平にとって、唯一尊敬し、
話をすることができる理解者だった。

狡猾な嘘と嫌がらせを受け、膨らんでいく殺意。
心を病み、辛い高校時代の回顧と、亡くなった方の部屋を
片づける今の仕事でのできごとが交互に綴られ、ついに心が
破綻する原因となった戸隠登山の告解へと続いていく。

天国へ送り届けたいのは荷物ではなく、亡くなった人の心。
その心を助け出しに行く、残した思い出を救い出しに行くという
天国への引っ越し屋さんであるCO-OPERSでの仕事。

そこに遺体があったことを物語る、どす黒い痕。
ゴキブリの死骸が埋まった漆黒の床。
そんな凄まじい状況でも、粛々と作業をこなすCO-OPERSの
社員たちに囲まれ、笑うことを少しずつ取り戻しながら、
生きることの重さを感じていく、命と心の物語。

文中の「山登りで難しいのは無事に下りること」の一節。
登山はまだまだ自信がないが、今年に入ってトレッキングを
はじめて、春に登った美ヶ原。
少し怖かった下りの勾配。その光景が、本書に出てくる
戸隠登山の場面と重なった1書。


アントキノイノチ (幻冬舎文庫)アントキノイノチ (幻冬舎文庫)
(2011/08/04)
さだ まさし

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

夢辞典で知る魂のメッセージ 坂内慶子

Evernote Camera Roll 20140713 081618

生を生き抜いてほしいと願って解決法を示唆してくれ、
人生の伴奏者となって、次元を超え場面を紡ぐ夢。
夢のメッセージを受け取り、自己決定するのが成長の極意であり、
地球は修行の場。
感情を覚えることがメインテーマで、それが夢の役割である。
本書は人生において、そのときどきに大事なことを知らせてくれる夢を
話し、検証し、現実に反映させることが夢を活かすことであると、
下記の1章から6章で夢について解説されている。

目次
1 夢の目的
2 霊性の成長を願って夢に取り組む
3 夢に取り組む前に知っておくこと
4 夢への取り組み
5 メッセージの取り方
6 超意識の夢意識を活かす

そして「アーチ」から「湾」まで、あいうえお順に、
夢がもたらしてくれるメッセージが綴られていく。

例えば「海」は、命の母胎であり、癒し効果がある。
夢に海が出てきたら、実際に海を訪れダイナミックな
エネルギーを体感しよう。
「悲しむ」は、現実で出せなかった感情を夢が代行してくれ、
癒しの機能が働く。
「キス」は、恋への憧れ。恋に恋しているか、いずれ恋人になる
予知夢。人恋しさの表れ、裏切りや口封じの意味も。

夢と向き合い、夢を人生のヒントにして、魂を磨く。
夢日記の書き方やアドバイスなどももらえる実用性の高い1書。

ごく稀にではあるが、テレビドラマや映画の世界がそのまま夢に
再現されたような、拳銃を持った強盗に追われる夢を見ることがある。
必死で逃げようと走るけれど、まるで水中で脚を動かしているように、
なかなか前へ進まず、叫ぼうにも声が出ない。
怖い思いの強い夢はいつまでも記憶に残る。

そこで「殺される」夢のメッセージを開いてみた。
心が強くなったことで、新しい自分への挑戦と受け取る。
逃げることなく感情を味わい尽くすこと。生かすも殺すも
自分次第と書かれていた。
その夢を見た当時、本書に出会っていたら、怖い夢に怯えることなく、
魂を磨くことができたかもしれない。

今夜は自分がどんな夢の世界に漂うのか、夜が待ち遠しい。


夢辞典で知る魂のメッセージ夢辞典で知る魂のメッセージ
(2013/02/01)
坂内 慶子

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

認知症 と アロマ の 香り

アロマ2


友人から、こんな話を聞いた。
……認知症というのは、発症する30年前から、その準備が始まる。
つまり、70歳で認知症と診断された場合、その人が40歳のときから、
徐々に脳が蝕まれていく。
だからその30年間で、いかに発症を遅らせることのできる
なにかができるかどうかが大事……なのだと。

それからほんの数日後、認知症を特集したテレビ番組で、
認知症予防にアロマの効果が実証されたと、
脳医学の先生が語られていた。
アロマの香りで、脳に刺激を与えることが、発症を遅らせ、
罹患後の治療にも効果的だという。

具体的には、昼間は脳を覚醒させるために、ローズマリーと
レモンを 2:1 の割合で、夜は脳を休めるため、ラベンダーと
オレンジを同じく 2:1 の割合で焚くというものだった。

それまでは、アロマランプで好きな香りを焚いていたが、
その2つの話を聞いて、夜用昼用と使い分けるため、
もう1つアロマランプを買い、愛用している無添加化粧品の
サイトから、足りない精油を注文する。

昼間は仕事場に、夜は寝室でアロマランプを点ける。
最近頻繁に襲われる仕事中の睡魔は、ローズマリーと
レモンの香りにたじろい気味。
仕事が終わって安らぎの時間である夜は、ラベンダーと
オレンジの香りが精神安定剤と化す。
そしてランプから伸びて、暗闇を照らす幻想的な
灯りのなかで、深い眠りにいざなわれる。

祖母は60歳でアルツハイマーと診断された。
遺伝性が高いと言われる認知症は、常に不安材料となって、
わたしの脳の片隅に君臨している。

けれど寝室の照明を消して、眺めるその幻想的な灯りは、
不安を払拭してくれる、まるで希望の光のように見えてくる。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

ホテルカクタス 江國香織

ホテルカクタス

ある街の東のはずれにある、ホテルカクタスという名前の、
古い石造りのアパート。
小さな中庭で、いつもお昼寝している老黒猫。
住人は3階に帽子、2階にきゅうり、1階に数字の2。
3人は仲が良く、夜にはきゅうりの部屋で楽しく過ごしていた。

2は1年中、手に入るという安心感のあるものを好む性格なので、
人にうちとけるのが苦手だ。
もともと帽子が住んでいたところに、2が引っ越してきて、
その後きゅうりがやってきた。
きゅうりは運動好きで、日々部屋で身体を鍛えていたため、
真下に住んでいる2は騒音や落ちてくる埃に我慢できず、
勇気をふり絞ってきゅうりに苦情を述べにいった。
ところがきゅうりに迷惑をかけているという意識が
見受けられないことから、釈然としない2はきゅうりを連れて、
帽子に相談にいくことにした。

すると帽子はきゅうりの騒音は気にならないと言い、成り行きで
3人は2の部屋へ遊びに行くことになってしまったのである。
帽子ときゅうりはお酒を、2はグレープフルーツジュースを
飲みながら過ごしていると、きゅうりが突然天井を掃除し始め、
2は感激して、きゅうりを見直したのだった。

それから3人は2の部屋に集まるようになり、2は役場勤め、
きゅうりはガソリンスタンドで働き、帽子は短期の仕事をしたり、
骨董品を売り買いしていることを知る。

2はふたりが来ると嬉しく、帰ってしまうと寂しいのに、部屋が汚されて
がっかりするという複雑な気持ちに戸惑い、思いきってそのことを
相談すると、気のいいふたりがお互いの部屋を見比べ、
その後集まる場所がきゅうりの部屋になったのである。

掃除をしたことがなく、たいへんな読書家で博打打ちの帽子。
おおらかで素直だが、物事を深く考えないきゅうり。
寂しがりやで几帳面、人にうちとけるのが苦手な2。
不思議な世界に紛れ込んだような、3人が仲良く過ごす穏やかな日常。
けれど、やがて別れのときが……
そう、この世に不変など存在しない。

惹きこまれてしまいそうな、どこか郷愁を覚える挿し絵とともに
描かれた、優しさが満ちた大人のメルヘン。

ホテルカクタス (集英社文庫)ホテルカクタス (集英社文庫)
(2004/06/17)
江國 香織

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

BTOOOM-ブトゥーム- 01 井上淳哉

BTOOOM-ブトゥーム- 01

20連勝、星4つ、世界ランク10位。
爆弾のみのオンラインゲーム『BTOOOM』で、坂本竜太は
世界1位を目指し闘う。
都内のマンションで両親と同居している22歳、無職。

ふと気づくと、パラシュートが引っかかったまま、竜太は木に
ぶら下がっていた。
なぜ?
『BTOOOM』ゲームをしていて……
思い出せない。
ケータイは圏外、手の甲にはガラスが埋め込まれている。
虫だらけ、南国の森?

バッグには見覚えのない数個のBIM(爆弾)。
海岸に人影を発見し、助けを求めたが、かえってきたのは
投げられた爆弾。
それは『BTOOOM』ゲームそのものだった。
「冗談じゃねぇ!」と思いながら、追われる竜太は、バーチャルの
世界から現実の『BTOOOM』の殺人ゲームに巻き込まれていく。

CONTENTS
第1話 START
第2話 境界線
第3話 リアル
第4話 深く重く
第5話 罠……
第6話 サバイバル
で構成された、爆殺ミステリーコミックシリーズ第1巻。

BTOOOM! 01 (BUNCH COMICS)BTOOOM! 01 (BUNCH COMICS)
(2009/10/09)
井上 淳哉

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

天使のひと言 全労済 編

天使のひと言

生活協同組合である全労済が、子どもの明るい未来に
つながるよう、募集した〈ひと言〉。
337点の作品が載った本書は

第1章 親が「はっとした」子どものひと言
【私の子ども編】①子どもの言葉に大いに耳を傾けよう 斎藤茂太

第2章 なぜ? どうして? わかんない!
【私の子ども編】②子どもという人間 如月小春

第3章 みんな大好き!
【私の子ども編】③もう一つの扉が開くとき 三田寛子

第4章 思わず誰かに話したくなって
【私の子ども編】④少年とアンジュール 落合恵子

第5章 子どもの心は無限大
【私の子ども編】⑤子どもが私にくれたもの 南 美希子

第6章 子どもは大人社会のバロメーター
【私の子ども編】⑥一つの想い出 林 望

第7章 私たちの意見・夢・希望

で構成されている。

子どもの口から出た、きらきら煌めくような言葉が綴られ、そのときの状況や
気持ちなどが、お母さんやお父さんの手によって解説されている。

彼らの心の目の鋭さにドキッとしたり、優しさに胸がいっばいになったり、
その成長に驚愕と感動を覚えたり、幼いながらたくましく感じたり、
気がつけば「子どものひと言」に夢中になってページをめくっていた。

子どもの素直で純真無垢なひと言が、大人になってしまったわたしたちに、
輝きと感動と安堵と驚きと嬉しい涙をもたらせてくれる1書。

天使のひと言―ホロリ、ドキリ、クスリ…はっとしたわが子のつぶやき (祥伝社黄金文庫)天使のひと言―ホロリ、ドキリ、クスリ…はっとしたわが子のつぶやき (祥伝社黄金文庫)
(2000/07)
不明

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

母の日 の 苺

いちご4


先々月、今年の母の日は、何を贈ろう?
変わりばえないとつまらないし……
と悩みながら、カタログを見ていて、すんなり「これ!」と感じた贈り物。
それは鉢植え苺だった。

実家は街なかにあることもあり、隣家とは長屋のような造りで、庭がない。
だから植物を楽しむとしたら、鉢植えか切り花ぐらいである。

そんな理由と、食い意地の張っているわたしの好みを押し付け、
視覚だけではなく、味覚も楽しめる鉢植え苺にしたのである。

それから、ときどき実家を訪れる機会があると、
必ず苺の成長ぶりを確認する。
そんな様子を見て、娘を慮ったのか、それとも苺に飽きたのか、
あるいはもともとあまり嬉しくなかったのか、
「家へ持っていって庭の土におろしたら?」と、母が言う。

わたしは即答二つ返事で、ありがたくいただくことにした。
そして贈り先から贈り主に出戻るという、不可解なルートを
辿ってやってきた苺は、晴れて我が家の一員となった。

さくらんぼにキュウリとトマト、ミョウガに大葉、
そして苺が増えた光景を眺めながら、しみじみ思う。
我が家の庭も、少しずつ田舎色にふさわしくなってきたなぁ!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

リアルワールド 桐野夏生

リアルワールド

主な登場人物は高校3年生の仲良し4人組。
10月4日生まれ。感受性が鋭く臆病。
自分を守るため異名を名乗るホリニンナ(山中十四子)
「あだー」が口癖、クールで面白く頭脳明晰の
テラウチ(寺内和子)
エキセントリックなほど好き嫌いが激しく男らしいが、
実はレズビアンであるユウザン(貝原清美)
育ちがよく可憐な少女だが、実は遊び人のキラリン(東山きらり)
それに、ダサくて陰気で進学校の落ちこぼれのミミズ

杉並区外れの住宅街にサイレンが響く。
隣家からは、なにかが割れる音がした。
一昨年引っ越してきた隣の家族構成は、アスコットタイを
締めている父親と、真っ赤な口紅を塗っている母親、
ホリニンナと同い年で有名進学校に通う男子高校生。
猫背で覇気のない、その高校生を、ホリニンナはミミズと呼んでいる。

ホリニンナが塾に行こうと家を出ると同時に、隣からドアの
閉まる音が聞こえた。
見ると、楽しそうな表情をしたミミズが現れ、「暑いっすね」と、
始めてホリニンナに口を利く。
意表を突かれ、思わずさっき耳にした禍々しい音のことを訊いてみたが、
ミミズは何かの間違いじゃないかと言って、足取り軽く歩き出した。

睡魔と闘う授業が終わり、携帯電話を取り出そうとバッグを探るが
見当たらず、駐輪場には自転車がなかった。
家に帰るとテラウチから、あんたの携帯にかけたら変な男が出たよと、
家電をもらう。
それから血相を変えた母親が帰宅し、隣の奥さんが殺されたと言いながら、
ホリニンナの無事を確認して安堵していた。

警察がやってきていろいろと質問されたが、ミミズが母親を殺したのかも
しれないと感じつつ、ホリニンナは何も聞かなかったし、誰も見なかったと
答えた。
母親を殺したのに楽しそうな表情をしたミミズの、そのとき
どんな気持ちだったのか知りたかったのだ。

家電から自分の携帯番号を押すと男が出て、自転車と携帯電話を
借りたと言う。
その声は「暑いっすね」と言ったミミズの声に似ていた。
その夜、まるで尊属殺人を犯したミミズの逃走幇助を
示唆しているような夢を見た。
そしてそれは、高校生4人を巻き込んだ現実となっていくが、
その先には残酷な結末が……

許される場所を獲得するため、エセ名前や扮装で武装する高校生たち。
周りの目に映る、ヴェールで覆われた自分と、真実の姿。
巧みな心理描写で、心の闇と醜い心を鮮やかに描いた長編小説。

リアルワールド (集英社文庫(日本))リアルワールド (集英社文庫(日本))
(2006/02/17)
桐野 夏生

商品詳細を見る




テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

悩める上司に贈る女性に響く15の心得 〜女性のキモチと行動編〜 高野美菜子

悩める上司に贈る女性に響く15の心得


専業主婦、仕事一筋、仕事と育児の両立など、女性の生き方も
人それぞれであるが、少子高齢化が進む現実を考えると、
今後女性の戦力は不可欠になる。
本書は女性部下の心を掴み、優秀な人材に育てるための
アドバイスが具体的に解説されている。

はじめにー
心得1. 女性は上司が思うほど弱くない
心得2, 女性が職場で流す涙のワケとは
心得3. 女性は彼氏色に染まる生き物だ
心得4. 女性の仕事に影響を与える両親の存在
心得5. 女性は同性には特にシビアである
心得6. 女性がやる気になる魔法の言葉
心得7. バリバリ女子はマイナーだという事実
心得8. 女性が毎日チェックする上司の◯◯
心得9. 一年後の表彰より一週間後の小さなご褒美
心得10. 女性が役職につきたくない本当の理由
心得11. 上司は果たして敵か味方か
心得12. 女性の母性本能をくすぐれ
心得13. 実はちゃんと叱って欲しいんです
心得14. 女性の愚痴への正しい対処
心得15. ある時期から訪れる仕事ブレーキ
あとがきー
著者プロフィールー

妊娠出産という神秘と、壮絶な痛みに耐える強さを持つ女性は、
実はたいへん強い生き物である。
上司がやる気を育てるという考え方を持ち、男女関係なく鍛えれば、
能力を発揮できる女性スタッフに育つと、著者は語る。

ページをめくれば、いくつかの重要なアドバイス。
・女性が泣いたときの対処法。
・仕事にも影響がでがちな彼氏との関係に対する対処法。
・愛情のあまり、娘を心配して仕事を続けることに両親が
反対したときの対処法。
・リーダーを決める場合などに重要な、女性のコミュニティ情報を
知るには?
・女性をやる気にさせるひとこととは?
・バリバリ働きたいと思わせるには?
・鋭い女性の視線、特に気をつける点は?
・やる気を持続させ、目標達成へのモチベーションをあげる手段とは?
・役職につきたいと思わせるには?
・女性が安心感を得て働けるようにするには?
・母性本能を引き出すには?
・上手な叱り方とは?
・部下と円滑なコミュニケーションをとるには?
・優秀な女性部下を育てるには?

女性だけではなく、また会社内だけでもなく、人と人が交わる家庭や
友人・ご近所づきあいにも通じる、人間関係を円滑にするバイブル書。

悩める上司に贈る 女性に響く15の心得~女性のキモチと行動編~ (ナチュラルリンクbooks)悩める上司に贈る 女性に響く15の心得~女性のキモチと行動編~ (ナチュラルリンクbooks)
(2013/12/03)
高野美菜子、ナチュラルリンク出版 他

商品詳細を見る


テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

まんがで読破 レ・ミゼラブル ユゴー・作

レ・ミゼラブル


空腹のため、たった1つのパンを盗んで19年の懲役刑を受けた
ジャン・バルジャンは出所後、ミリエル司教館のドアをくぐり、
自分が前科者だから、どこの宿屋も泊めてくれない。
1晩宿泊させて欲しいと懇願する。
ミリエル司教は風邪をひくからとタオルを差し出し、もう1人分の
食事を用意させてくれた。

温かい慈悲心に戸惑うジャン・バルジャンに、ミリエル司教は言う。
「私はあなたを信用します。あなたも私を信用してください」と。

前科者を示す通行許可証を出すと囚人扱いされ、罪を償っても
罪人の烙印は消えないと嘆くジャン・バルジャンに、ミリエル司教は
「これからどう生きるかが重要です。希望を持ちなさい」と言って、
寝室へ案内してくれた。

投獄中の過酷な労働と看守の酷い仕打ちの夢で目が覚めた
ジャン・バルジャンは、食器棚にあった銀食器をカバンに忍ばせ、
そっと出て行く。

朝になり、憲兵がジャン・バルジャンを連れてやってきて
「この男は、持っていた銀食器を司教さまからいただいたと嘘を
つくのですが、本当ですか?」と訊くと、ミリエル司教は
「確かに私が差し上げました」と答え、燭台まで差し出して、
ジャン・バルジャンに「あなたは悪と縁を切った。
私はあなたを信じています」と言う。

ジャン・バルジャンはミリエル司教に心より感謝し、改心の涙を流す。
ところが、落としたコインを拾おうとした男の子を、泥棒だと思って
怒鳴ってしまい、その子は逆にジャンを泥棒と勘違いして、
ジャン・バルジャンは再び追われる身となってしまうのである。

数年後、「正直な人間になるのですよ」というミリエル司教の言葉を
胸に抱いたジャン・バルジャンは、マドレーヌと名乗り、
モントルイユの市長となる。
労働者だったジャン・バルジャンは、やがて工場を買い取り
アクセサリーを製造して町を発展させた。
そしてその利益を町の人々に分配して、市民の尊敬を得るように
なったのである。

しかしそこへ赴任してきたのが、しつこくジャン・バルジャンを
追いまわす冷酷な刑事、ジャベールだった。

工場にはファンティーヌという女性が働いていたが、
ジャン・バルジャンの知らぬところで解雇されてしまう。
彼女には養女に出したコゼットという娘がいるが、その里親である
テナルディエ夫妻からいろいろ理由をつけては大金を請求され、
ついに娼婦に身を落とし、病に倒れる。

理不尽な理由でジャベールに捕らえられそうになったファンティーヌを、
ジャン・バルジャンが救い、娘のコゼットを連れ帰ると約束する。

19世紀なかば、ヴィクトル・ユーゴーが執筆したロマン主義
フランス文学の大河小説がコミカライズされた1冊。

その昔、松本駅からあがたの森(旧制松本高校)に通じる、
通称 “電車通り” の途中にあった市民会館。
十数年前、老朽化した建物は取り壊され、今は松本市芸術館として
生まれ変わった姿で、人々に慕われている。

お芝居やコンサート、講演会などに利用されているその芸術館で、
数年前に『レ・ミゼラブル』の公演のポスターもよく目にしたことを思い出す。

館の会員になっている母は、定期的に公演を観に行くらしいが、
あるとき旅行と重なってしまい、行くことができないからと、
チケットをもらったことがあった。
久しぶりの観劇は、目の前に舞台がある臨場感と、役者さんとの
一体感に興奮したことを覚えている。

また『レ・ミゼラブル』の公演があれば、コミックからの知識を
温めながら、お芝居の感激を得るため、観劇に行こう!と思う。

レ・ミゼラブル (まんがで読破)レ・ミゼラブル (まんがで読破)
(2009/01/30)
ユゴー、バラエティアートワークス 他

商品詳細を見る

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

カウンタ
Kindle 電子書籍の購入
電子書籍リーダー
honto 電子書籍の購入
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
06 | 2014/07 | 08
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
検索フォーム
カテゴリ
リンク
おすすめ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
プロフィール

Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。