6月の投稿書籍

心屋仁之助の心配幸せな奇跡を起こす本東西ミステリーべスト言葉の花束 旧約・新約聖書
もやしもん星に願いを流星さがし演じられた白い夜年下の男の子
恐怖・呪い面わたしを離さないで六番目の小夜子からだのひみつ2428  新

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2428 新(ニュー)

2428 新(ニュー)

《もくじ》
1.登場人物紹介
2.PC破壊編
3.ワールドカップ編
4.スィーツのお店編
5.苦悩の日曜日編
6.旅情編第1幕
 番外編
7.桜子さん的月末事情
8.城下(きのした)さんちの烝(すすむ)くん
9.ピンポイント解説
10.反省会
11.キャラ名鑑

会社では姉御肌なのに、家では兄の深河圭一郎(みかわけいいちろう・
28歳)に甘えて言いたい放題の深河純佳(みかわすみか・24歳)は、
圭一郎を言葉攻めで楽しんでいる。

高い管理能力を持つ純佳と、人間関係の調整力に優れている、
唯一同期の城下春海(きのしたはるみ・24歳)の2人は、
社内でも一目置かれたコンビで親友。

宮ノ下桜子(みやのしたさくらこ・20歳)は、仕事ができ、上司に
こびることもなく、後輩に優しい純佳をとても尊敬しているが、
飲み会の二次会や合コンにも出席しない純佳を、ブラコンか
レズだと思っている。
そんな桜子は美乳が自慢なのに、彼氏いない暦3年。
そして “禁断の果実” さながらに、兄妹が付き合っていると思い、
世間体を考えて自分をカモフラージュ(偽彼女)に使いませんか?
と提案する。
その提案に、なぜか狼狽え、苛立ちを覚える純佳は、
絶対ブラコンなんかではないと思いつつ、もしかして……と、
次第に圭一郎を意識していく。

2人とも容姿端麗なのに、彼女も彼氏もいない、仲のよすぎる兄妹の
物語が、全ページフルカラーで描かれたラブコメディWebコミック。

2人姉妹で末っ子 ⁈ のわたしは、小さい頃から 「お兄さん」
という存在に憧れていた。
数年前、長いあいだメール交換をしていた、前職で同じ課にいた
2歳上の先輩は、男ばかり3人兄弟だったためか、いつもわたしを
妹のように心配してくれていた。
けれどお互い会社を離れることになって、次第に疎遠になり、
もう何年も連絡を取り合っていない。
ユーモアとペーソスに溢れた、あの先輩お兄さんに
再会できますよう、願いを込めて!

2428 1巻2428 1巻
(2013/11/27)


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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

信州 の 歴史

小川の庄5


その昔、信州は長野県と筑摩県に分かれていた。
廃藩置県の際、2県が合併して新しく長野県となったのである。

当時、長野県には長野市に、筑摩県には松本市に県庁が置かれていたが、
折りも折り、松本の筑摩県庁が火災に遭ったため、合併された長野県の
県庁が長野市になったといういわく付きの歴史がある。

だからなのだろうか、いまだに「信州の主要拠点都市はどこ?」という
討論が起きることがしばしばあり、松本市と長野市は同じ信州にありながら、
良いライバルなのである。

最近、そんな話題が再燃し、地元放送局で “長野VS松本” なる企画番組が
組まれ、そのなかの「信州の名物は?」という特集に興味を抱いた。

その番組で、道行く人にアンケートを取ってみると、松本は山賊焼き、
長野はおやきという結果になったが、私は “長野VS松本” のしがらみとは
関係なく、おやきが大好き。
そこで、おやきを食すミニトリップに出かけるツアーを立案。

県内でも有名で人気のあるおやき工房が多数あるなか、
小川の庄おやき村を訪ねることにした。

小川村は、なにか用事がなければ立ち入ることのないという
マイナーな噂とは裏腹に、モダンとネイチャーが融合する理想郷だった。

目的の小川の庄は、行き違いができないほどの狭い山道を
登り詰めた場所に位置し、崖と隣り合わせた駐車場には、
意外なほど多くの県外ナンバー車が停められていた。

縄文時代の竪穴式住居を模した建物を眺めて、玄関をくぐり、
廊下を進んで奥の部屋に入る。
大きな鉄板に煙をはきながら、おやきが色よく焦がされている。
おもに小学生くらいの子たちがはしゃぎながら、
おやき作り体験をしている。
部屋中に立ちこめる香ばしい匂いに、お昼時という時間も
ほどよく反応して「ぐぅ〜」と鳴くお腹。

足早に、来た廊下を戻り、食事処に入りおやきセットを注文する。
運ばれてきたお膳に目が釘付けになる。
溢れんばかりの椀子そばと淡竹の煮物、山菜の天ぷらに浅漬けと
エゴ寄せにせいろ蒸しのおやき。
食べきれるだろうかという量と品数にうっとり。

香りよく喉ごしなめらかなおそば、小川村産の生醤油でいただく
てんぷら、そしてメイン、定番の野沢菜としめじのおやきに、
田舎の風情たっぷりの煮物、甘く煮付けた花豆にあっさり味の
浅漬け、種類豊富な味噌漬け、青唐辛子味噌を付けるエゴの
寄せなどに、空腹だったお腹も大満足。

名残惜しく感じつつ、レジカウンターに積まれた、小さなパンフレットを
いただいて、小川の庄おやき村をあとにする。
そのパンフレットを開くと、おやき村住民票を発行してくれると記されていた。
特典としては、同村の行事に参加できること、ネットショップなどでの
買い物が村民価格で購入できるとのこと。
さっそく登録する。
信州の原風景、日本の原点、やっぱり田舎(村)はいいなぁ!

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

からだのひみつ 田口ランディ 寺門琢己

からだのひみつ

20代まで、演劇や歌、踊りなどで得られる快感を知り、
夢中になって身体を使っていたが、30代になると身体が
悲鳴を上げはじめ、ようやく身体のことを考えるようになった。
そして40歳のとき、『かわいいからだ』という本に出会い、
自分が身体に支配されていることを悟ったと語る本書の
著者・田口ランディさんが、『かわいいからだ』の著者であり
整体師の寺門琢己氏との対談形式で綴られる。

はじめに               田口ランディ
対話1  子どもの頃のこと
            もう二度と、子どもになんてなりたくない
                                                               田口ランディ
             空想と行動で忙しかった日々          寺門琢己
対話2  〈女〉という謎の大陸
             「母性」が舞い降りてきた        田口ランディ
               出産は「女性のからだの文化」     寺門琢己
対話3  からだと対話する言葉
             からだに聞いてみればよかったのに
                                                                 田口ランディ
             身体言語=地球公用語化計画            寺門琢己
対話4  セックスのひみつ  
            かわいそうなアタシ                    田口ランディ
            骨盤的セックス論序説                      寺門琢己
対話5  〈生きていく〉ことのひみつ
あとがき  寺門琢己


男と女、女と言葉、子どもと大人、アトピーとお通じと口臭、
身体から発せられる言葉、SMと身体開発、命の哲学を
取り戻すことができる身体、人間の文化を創ってきた美意識、
などが小気味好いテンポ、さわやかなスピード感で会話されていく。

「うん、うん」と共鳴したり、 生々しい本音に少し赤面しながら
うなづいたりと、誰しも経験があるだろう、遊びに夢中になっていた
幼い頃から、思春期やセックス、出産と生理痛に育児、老いと死について、
身体と心の仕組みが笑いとともに語られる対談集。

最近、心から切望しているもの。
それは時間。
1日が48時間あったら、庭の草むしりも、キッチン磨きも、
もう少しまともにできるんだけどなぁ、と、非現実的な願いを
抱いてしまう。
けれど、どんなに時間がなくても、決して削らないもの。
それは入浴タイム。

深くなり過ぎないように張った、温めのお湯に身体をゆだね、
「手さん、脚さん、今日も1日がんばってくれて、ありがとう」と、
自分の身体に感謝の言葉をかける。

本書のなかの一節
〈保健体育の時間に、女の子の性教育、生理の教育の時間に、
男の子を集めて、「女の人にはとにかくかわいいねとかきれいだねとか
さんざん言うように」という知恵を授ける〉を読んで、わたしも決めた。
入浴時には「かわいいね」「きれいだね」も付け加えよう!

からだのひみつ (新潮文庫)からだのひみつ (新潮文庫)
(2004/04)
田口 ランディ、寺門 琢己 他

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

六番目の小夜子 恩田 陸

六番目の小夜子

地方のある高校で、3年に1度「サヨコ」と呼ばれるゲームが
行われていた。
「サヨコ」は卒業生から在校生へ、次の「サヨコ」として密かに
指名され、新しく「サヨコ」となった生徒は、始業式の朝、赤い花を
活けることと、学園祭で芝居をすることが「サヨコ」として
課せられた使命であった。
それは決して誰にも悟られず、極秘裏に遂行しなければならない。

始業式の朝、「サヨコ」に指名された“彼女”は不安と恐怖に
蒼ざめながら、花束を握りしめて校舎の玄関に入った。
生徒が登校するには早すぎる早朝にもかかわらず、花の香りが漂い、
物音がしたので、そっと階段を上がっていくと、廊下に漆黒の長い髪と
大きな黒目を持ち、聡明そうでスラリとした美少女が立っていた。

信じがたいことに、前任の「サヨコ」から受け継いだ鍵を使わなければ、
取り出せない華やかな花瓶に、真紅のバラが活けられていた。
なぜ ⁈
“彼女”は驚きと恐怖のあまり、握りしめていたチューリップの花束を
投げ捨て、走り去った。

花宮雅子は春が苦手だが、憧れているバスケ部の唐沢由紀夫と、
気の合う沢木容子が同じクラスになれたことに、ときめきと安堵を
覚えながら、貼り出されたクラス表の最終行に載っていた、
津村沙世子という名前が気にかかっていた。

10組の教室に、鮮やかに活けられた真紅のバラ。
チャイムが鳴り、担任の黒川が転校生の津村沙世子を紹介すると、
雅子は美しい沙世子に見惚れながら、由紀夫の心が
奪われないかと心配になる。
カンのいい由紀夫は、誰も気づかないような、沙世子の
わずかな表情から、なにか嫌なものを感じていた。
容姿端麗で知的な関根秋(しゅう)は、もうひとり「サヨコ」が
現れたことに不信がる。

そして“彼女”も、このクラスにいたのである。

誰が「サヨコ」なのか……
学園祭で演じる「六番目の小夜子」とは……

特異で優遇され、閉じられた空間である学校という狭い世界。
中途半端で弱くて脆い、特殊な生き物のような高校生。
大学受験を控え、悩み多き高校生活が、不安と恐怖を
ともなって描かれた青春小説であり、著者のデビュー作。

六番目の小夜子 (新潮文庫)六番目の小夜子 (新潮文庫)
(2001/01/30)
恩田 陸

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

わたしを離さないで カズオ・イシグロ 土屋政雄訳

わたしを離さないで カズオ・イシグロ

ヘールシャム出身で31歳のキャシー・Hは、11年介護人をしていて、
提供者を選べる境遇だが、今年いっぱいで職を辞そうと思っていた。

ドーバーの回復センターで不遇な提供者の介護にあたるとき、
自然とヘールシャムでいっしょに育ったルースやトミー、
ほかの仲間たちとの楽しかった寮生活での思いがよみがえる。

霧でかすむ野原、丘、ポプラの木立、体育館、白いプレハブ……。
定期的な健康診断、気遣いが細やかでありながら、
奇妙な言動をとる保護官たち……。
体育館での授業、場所の取り合い、うわさ話、笑いころげたり、
怒鳴りあったり……。

絵画や詩、焼き物や彫刻など、自分の作品を出品する
交換会の思い出は、ルースの介護に夕陽を眺めながら
語り合った大切な思い出だった。
ヘールシャムで、絵を描いたり詩をつくったりしながら、
キャシーやルース、トニーたち生徒は、将来の夢を語り合う。
けれど、それはあまりに虚しく……。
なぜなら、彼らは提供者なのだから。

卓越したプロット、個性豊かな登場人物。
数奇な運命を背負って生まれてきた子どもたちの心理描写や
情景が、精緻な筆致で描かれた、ブッカー賞受賞作家の最高傑作。

前職に在籍していたある朝、机の上に本書が乗っていた。
「読了したので、どうぞ」という付箋とともに。

それまで、カズオ・イシグロ氏という作家を存じ上げなかったが、
お名前から、海外に居住している日本人ルーツを
持つ方だろうという予測はついた。
文化や風習の違いからか、翻訳された海外文学は言い回しに
馴染みが薄く、少し不安ではあったものの、そんな心配は無用だった。

静かに始まる物語は、やがて心の恐怖と哀切に満ちていき、
既読本のなかでも、決して忘れ得ぬ衝撃の1冊となった。

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)わたしを離さないで
(ハヤカワepi文庫)

(2008/08/22)
カズオ・イシグロ
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

単行本 と 文庫本

単行本と文庫本


過日、部屋のデッドスペースに仕上げた小さな図書館。
その際見つけてしまった、 同じタイトル、同じ著者名が表紙に
書かれている単行本と文庫本。

数ページ読んで、「あれっ?」と、気づくことはよくある。
本屋さんで本を手に取り、数行読んで、好きな文体や文調であれば、
レジに向かう。
そして腰を落ち着け、じっくり読みながら、既読だったことに気づくのである。
またやっちゃったと呆れつつ、2冊目の本は、たいがい本好きの友人に
「良かったら、もらって」と渡すので、同じ本が2冊あることはない。

それが、本を整理するまで気づかなかったということは、普通に
単行本を読んで、しばらくときが経ったのち、以前読んだことを
思い出さずに、2冊目の文庫本でもラストを迎えたということ ⁈
「本が恋人!」と言いつつ、内容の断片も記憶に
残っていなかったなんて……

我が本への愛情に不信感を抱きつつ、ちょうどそのとき
読んでいた小説の文中に、同じように読んだことを忘れて
同じ本を買ってしまったと書かれていた。
その一文に歓喜・狂喜・共鳴し、素敵な文章を紡ぐ小説家の
方でさえ、そんなことをしてしまうんだぁと、落ち込み気味の
精神は一転して安堵感に包まれる。

不思議なもので、気持ちが楽になると、失敗もそうでは
ないようなポジティブシンキングに変わる。
同著書同タイトルの単行本と文庫本が並んでいたら、
それはそれでサマになるかもという気がして、我が家の小さな
図書館に、単行本と文庫本を恋人どおしのように寄り沿わせる。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

恐怖・呪い面 〜実話都市伝説 山口 敏太郎

恐怖・呪い面 〜実話都市伝説

一 死体
それは小学校低学年のころのことだった。
同級生のM本さん、K山さんとともに、徳島市立八万小学校に
登校中、校舎の裏手にある深い川に、奇妙なモノが浮いていた。
マネキンかと思い、石を投げて確認すると、それが裏返り
切断された死体が浮かび上がった。
これが、オカルト作家山口敏太郎のスタートである。

二 手首
八万小学校は創立100年を超える古い学校だった。
下校前の清掃時、教室の横の便所からヒステリックな声が聞こえ、
行ってみると、奥の便器に手首が浮いていた。
同級生に対処を迫られ、排水弁を足で押すと、ふやけて
白濁化した手首は回りながら流れていった。

三 昭和50年代初頭
まだ自然溢れる時代だった。
終業チャイムが鳴り、帰り支度をしていると、同級生の佐川から
「空き家探検に行くぞ。おまえは妖怪対策だ」と声をかけられ、
連棟式住宅のいちばん端の家に向かった。
その家は女が風呂場で手首を切ったが死にきれず、
放火したと噂されていた。
風呂場に入ると、壁から床にかけて変色した血の痕があり、
天井は焼け焦げていた。
佐川が不謹慎にはしゃいでいると、両肩に重みを感じ寒気がした。
異様なムードと敵意、憎悪の念。

佐川と目が合い、同時に振り返ると、全身赤づくめの女が立っていた。
ふたりで女に突撃したが、なんの手応えもなく通り抜けてしまった。
香水の香りを残して、窓から転がるように逃げ出した。
これが何十年におよぶ怪異のはじまりだった。
そして三十一話に及ぶ異界の世界が展開していく。

四 銀色な奴
五 おっぱしょ石
六 おっぱしょ石 VS 人間
七 見えない、見えない
八 足折
九 白い手
十 お狸さま
十一 ずるずる
十二 足ぶらぶら
十三 死神
十四 チックとタック
十五 うなぎ
十六 祠
十七 首
十八 青梅の妖怪
十九 全裸の生霊
二〇 筋が良い
二十一 生き人形
二十二 広島のお墓
二十三 生首が笑う
二十四 亀山社中結成
二十五 逝ってしまった
二十六 出口王仁三郎
二十七 岐阜のお化け屋敷
二十八 偶然の一致
二十九 ぷりんちゃん
三〇 バンコクの幽霊
三十一 呪い面
あとがき-マジカルワンダーランド・日本

呪いの連鎖、不可解な出来事、謎の異変、奇妙な現象、不気味な死、
次々に起こる怪異は単なる偶然なのか、あるいは怨念による呪いなのか?
著者が実際に見聞し、真の怪異証言をもとに綴られた実話怪談。


恐怖・呪い面~実話都市伝説 (TO文庫)恐怖・呪い面~実話都市伝説 (TO文庫)
(2013/06/01)
山口敏太郎

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

年下の男の子 五十嵐 貴久

年下の男の子

川村晶子は買うつもりなど、つゆほどもなかったマンションを
買ってしまった。
5か月間悩んだ結論、価格3.800万円、池袋から30分、
2LDKの新築マンションである。
マンションを買ってしまったら、何かを認めることになる。
だから決して買うまいと思っていたのに。

全国の支社や工場を合わせれば2,000人以上の従業員を誇る銘和乳業で、
勤続15年、宣伝部広報課長補佐の37歳。
課長補佐といっても単なる肩書きに過ぎず、社内広報とPR業務が
主な仕事であるが、とりたてておもしろいことがあるわけではなく、
淡々と平穏に過ぎる日々。
そんな連休明け、応接室で青葉ピー・アール社の横山部長が
深く頭を垂れ土下座していた。
その横には若い男の子児島が頭を下げている。

青葉ピー・アール社に依頼した、フリーペーパーに載せる
健康バランスドリンク「モナ」の広告ゲラが、校了確認できずに印刷され、
定価表示が抜け落ちていたのである。
急場凌ぎで、抜けた定価欄にシールを貼ることになり、晶子と児島が
夕方から板橋の製本所で、その作業をすることになった。

一浪して早稲田大学に入り、3年生の夏に中堅の広告会社に内定が
決まっていた児島は、山でバイトをしながら生活していた数か月のあいだに、
その会社が倒産してしまった。
なんとか青葉ピー・アール社に契約社員として潜り込んだということなどの
話をしながら、午前4時30分ようやく10,000部のシールを貼り終え、
「モナ」は予定通り朝の情報番組で取り上げてもらえた。

「モナ」の売れ行きは上々で、週末に会社の近くの店で祝勝会が開かれた。
その会で、マンションを買ったことが女子社員に知られてしまったことを知り、
まだ結婚や出会いを諦めてはいない自分の気持ちを再認識した晶子は、
何かを始めなければと思って会社に向かう。

広告失態の件で、お詫びに児島からメールで食事に誘われていたのを
断った晶子だったが、もしまた児島からメールが届いていたら、
なにかのきっかけにしたいと思ったのである。

会社に着き、パソコンを立ち上げると、信じられないことに
児島から再度食事のお誘いメールが届いていた。

児島が選んだレストラン、東池袋にある西風館(ならいだて)は、
和のテイストを取り入れた創作フレンチの、落ち着いた店だった。
食前酒、前菜、ワイン、メインと進みながら、大手ゼネコンの現場で
働いている父は不在がち、10歳上の兄は高校卒業後にコックの修行で
家を出て、あとは祖母に母と姉・妹の女家族で育ったから気遣いを
覚えたという児島は、話題も豊富でよく気が利く青年だった。

食事が済んで、東池袋から電車に乗って池袋で別れる際、児島の
「また誘ってもいいすか?」という言葉の意味をはかりかね、
晶子は戸惑う。
そして深い意味はないと、自分に言い聞かせる。
言い聞かせつつ、なにかを期待してしまう。

フットワークよく突き進む若い子の行動に、理解不能な晶子だったが、
引越しの日、車まで出し、休日を潰して手伝ってくれた児島が、
少しずつ晶子の心に入り込んでいく。
昼食も夕食もいっしょに摂り、会話がなくても苦痛ではなく、
話が弾めばもっと話していたいと思う。

ひとりになって、たまたま触れた腕に胸が鳴ったことを思い出して、
慌てて否定する、年甲斐もなくと。

14歳という年齢差に戸惑う不器用な晶子。
戸惑う晶子をよそに、まるで噛み合わない会話のように、
めげるでもなく、ひたすら真っ直ぐな若さの児島くん。

晶子を思うひたむきで真剣な児島くんと、どうしても払拭できない
年齢差への気持ちを抱える晶子が付き合いはじめるが……

社会的立場も少しずつ確立されていくのと逆行するように、
結婚が遠のくような微妙なお年頃の女性と、今どきの若者らしく
率直でルックスも良く、優しい力強さもあわせ持つ年下の男の子。
揺れ動く心と対峙しながら、真の幸せとはなにかが描かれた恋物語。

4年前の師走、今住んでいる家に引っ越した。
費用をできるだけ抑えようと、タンスやベッドに冷蔵庫などの大物以外の
家財道具は自分で運ぶことにし、それらを日々せっせと移動させること1か月。
そのなかで決めた転居日には、新しく購入した電化製品の搬入や
電話回線の移転、引っ越し業者さんの依頼などを1日で済まそうとしたため、
旧居所のアパートと新居を行ったり来たり、それぞれの指示も
しっちゃかめっちゃかでパニックになってしまった引っ越し騒動。

本書の「なにもかもいっぺんに済まそうとして、電器屋、家具屋、
引越し業者、水道局員がはち合わせ、現場は戦場になってしまった」
という記述が、4年前を彷彿とさせる。
そう、わたしも晶子が自戒するように「実務的なレベルが低い女」なのである。

本書は、晶子の気持ちに共鳴しながら、個人的にさまざまな場面で
伏線に自分が重なる1書である。

年下の男の子 (実業之日本社文庫)年下の男の子 (実業之日本社文庫)
(2011/04/05)
五十嵐 貴久

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

演じられた白い夜 近藤史恵

演じられた白い夜

劇団ガソリンボーイズの主催者である陣内匠は、麻子の夫であり、
麻子にとって唯一の創造主。
麻子は、冒険好きな匠が無名の新人や、演劇とは畑違いの人を集めて
舞台を創る合宿に参加するため、雪深い地へ向かった。

電車を降りると、白いワゴン車で迎えにきていたのは舞台監督の
水上慎二で、麻子と同じ23歳。
慎二の運転で山道を進み、到着した合宿所は、人里離れた
元ペンションらしいログハウス風の建物だった。

ぶっきらぼうで大阪弁丸出しの匠に迎えられ、
割り振られた2階の部屋に入る。
彼の手から離れた舞台に出演して2か月。
彼がどう観てくれているのか、不安な気持ちは、
匠のひと言で安堵に変わる。

全員が揃った夕食の席で自己紹介が始まる。
長い足と鋭い目を持ち、音楽をやっていた西口洋介。
ハスキーボイスと童顔で踊りをやっている嶋原真澄。
高身長でショートカット、一重まぶたで、テレビ関係の
仕事をしていた柏田日登美。
ノーメイクでロングヘア、小柄で小動物系、女性のみの
劇団を主催している手塚時子。
ゆるいスパイラルパーマと彫りの深い顔に、スタイル抜群で
広告関係のモデルをしていた真鍋祥子。

食事が済み、全員がリビングに移動して、匠が芝居の説明を始める。
本格推理劇は役者のランクによって、犯人が分かってしまう。
そのためこのような人選をし、通しではなく、その日ごとに
台本を渡していくので、犯人も被害者も知らないまま稽古が
進んでいくことになる、と言って、匠は役についての説明書が
入った茶封筒を渡し、それぞれが各部屋に戻っていくが、
麻子と慎二だけは残ってカップを片付ける。

窓の向こうでは、ふわふわと雪が降っていた。
麻子が雪は慎二のようで、氷は匠に似ていると、漠然と感じているとき、
上から響く男女が言い争っているヒステリックな声。
男性は西口洋介のようだが、女性は声だけでは判然としなかった。
立ち聞きもしのびなく、2人も部屋に戻ることにする。

麻子は匠の部屋に行き、慎二が好きになったかもしれないと、
自分でも曖昧な気持ちを伝えるが、匠が動揺する様子はなく、
逆に麻子は彼の強い支配を感じただけだった。
彼は自分を物としてしか見てくれず、心さえ自由に操れると
思っているのだ。

翌日、稽古が始まった。
タイトル『マウス』
猫を飼うことのできない猫好きが集まる掲示板で知り合った仲間5人が、
オフ会で船に乗り、ある島に渡る。
オフシーズンのその島は、今は無人島で、そこにいるのは5人のみ。
一泊してから、帰京のため船を待つが、定刻が過ぎても
定期便は現れずに電話も不通。
仕方なく5人は翌日まで、船を待つことにする。
そして翌朝、まあこが首にスカーフを巻かれ、死体で発見される。

稽古も2日が過ぎた翌々日の朝、まあこ役の柏田日登美が、
降り続く雪のなか、藤棚の下で死んでいた。
そばにはちぎれたスカーフ。
警察に電話をかけるがなぜか通じず、車もエンストを起こし、
稽古場である山荘は陸の孤島となってしまったのである。

劇中の惨劇が現実となって再現される恐怖のなかでさえ、
あたまをもたげる執着と野望。
登場人物それぞれの思惑や不安、芸術という特殊な世界で、
精緻な心理描写が光る演劇ミステリー。

少し前にデッドスペースを利用して作った、
我が家の小さな図書館。
その上部に、無造作に置かれていた本書。
大好きな著者の『演じられた白い夜』。
読んだ記憶はなかった。
家族の誰かが、そこに置いたのかもしれない。
心は弾んだ。
また史恵ワールドに没頭できると、勇んで手に取り読み始めた。
ところが6ページに差し掛かったところで、すでに雪の上で
冷たくなっている女性のシーンが脳裏を満たした。
なんのことはない、いつものごとく、既読だったことを
忘れていただけだった。
にもかかわらす、引き込まれるように再び近藤史恵の
世界にはまり込んでいた。

演じられた白い夜 (実業之日本社文庫)演じられた白い夜 (実業之日本社文庫)
(2012/12/05)
近藤 史恵

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

山菜と家庭菜園とエンゲル係数

白馬3 白馬8 白馬12

先日100円ショップで、クリアファイルを買い、レジで
「108円です」と言われときに、
あ〜、消費税が8%になったんだ〜!
と、今さらながら消費税増税を実感。

相変わらず、ぼんやり生きてるなぁと自省し考える。
消費税は上がっても、収入が増えるわけではない。
ということは、収支のバランスが崩れてしまう。
必然的に、支出を抑えねばという結論に至る我が家の家計事情。

そこで、当主であり財務大臣の政策は、エンゲル係数を下げること。
少しでも食材費を節約しようと、庭にはキュウリとトマト、ミョウガや
大葉などの苗を植え、休日には山菜を採りに行く。
もちろん、野菜たちの成長の楽しみや、森林浴に収穫の
醍醐味という副産物も忘れない。
というわけで、晴天の土曜日、イラクサを摘みに白馬へ!

イラクサはイラクサ科イラクサ属の多年草で、葉と茎に刺毛があるため、
作業用などのゴム手袋をはめないと、とても痛い思いをするらしい。

その日は気温30度近い暑い1日だったが、さすがに白馬に広がる、
しんとした杉林は、静謐な空気が満ち、火照った肌にひんやり心地よい。

成長未満のような、ウグイスのさえずり。
思い出したように鳴き出すカエルの合唱。
なんの悩みもなく、のびのび育ったオニゼンマイ。
可憐なスミレ草や、小さいながら心奪われる二輪草。
萌える草の匂い、清々しい樹の香り。

信州の原風景を、視覚と臭覚と感覚で確かめながら、
さらに群生しているイラクサを摘む悦びに浸る。
数歩歩けば、イラクサの群れに遭遇するので、30分も経たないうちに、
満杯の袋が3個も出来上がった。

さすがに食べきれないと思い、ご近所と仕事関係の方におすそ分けし、
残りは大きなお鍋で2回に分けて湯がく。
不思議なことに、お湯を通すと刺毛が消えるので、茹でたあとは、
素手で触れることができる。

山菜の女王と言われるだけあって、香りは高貴という形容がぴったり。
口に含むと、ほんの少しの苦味と、やっぱりほんの少しの独特なエグミ⁈
とりあえず、今日はポン酢とかつお節でおひたしにし、明日は酢味噌和え、
明後日はちょっと風変わりにバター炒め……
と、しばらくイラクサ三昧の日々になりそうだなぁ。

流星さがし 柴田よしき

流星さがし

『流星さがし』
高層ビルに圧倒されながら、成瀬歌義は
「東京なんかに負けへん」と意気込む。
京都で人権派の桑沢弁護士事務所でアルバイトしていた歌義は
研修のため、大弁護士事務所のあさかぜ法律事務所に
勤めることになり、上京したのである。

歌義の中学時代の恩師である浅間寺龍之介は教職を辞し、
今は作家専業になって京都北山に住み着いている。
近所に住む中野ひさ子は、龍之介に毎日煮物を運んでは、
いっしょにお茶を飲みながら、東京の私大に進学した娘、
美晴が心配だと嘆く。
都会生活から夫に従い、田舎暮らしになりながらも大らかで
明るいひさ子を好ましく思う龍之介は、東京で美晴がトラブルに
巻き込まれたら相談するといいと、歌義の連絡先を教える。
アメリカ在住で歌義の恋人・まり恵に、
少し後ろめたい気持ちを抱きながら。

あさかぜ法律事務所には、東京育ちで東大在籍中に
司法試験合格という頭脳明晰で、歌義より2歳歳下の高木敬次、
テレビドラマに出てきそうな優秀な女性弁護士で、
コスプレを楽しんでいるかと思わせる清州真紀がいた。

勤務しだして10日しか経っていないのに、失敗続きの歌義が、
2人に慰められたり指導されたりしているところへ、若くて可愛い女性が
歌義を訪ねてきた。ひさ子の娘・中野美晴だった。

相談内容は、離婚調停中であるバイト先のエブリデイズ・
アイスクリームの店長が、5歳になる息子の親権も養育権も認められず、
会うことさえできなくなりそうな状況をなんとか
回避できないかということだった。

美晴と店長がどんな関係なのか気になりながらも、力になりたいと
思う歌義が詳しく話を聞いてみると、鍵は息子の
「流れ星がたくさん流れていた」という証言だった。

関西と関東という文化の違いを乗り越えようとしている美晴の姿や、
真紀の仕事に対する真摯な態度や優しさに触れ、人の奥深い心の痛みを
感じるようになる歌義が、持ち前の正義感や反骨精神、
困っている人を見ると粉骨砕身してしまう心意気で、
あらゆる問題に奮闘し、弁護士として成長していく。

『流星さがし』『泥んこ泥んこ』『離婚詐欺師』
『わたしの愛したスッパイ』『白い彼岸花』の5編からなる
さわやかな青春ミステリー。

獅子座流星群、双子座流星群、ジャコビニ流星群などの
トピックスには異常に反応してしまう。
ニュースなどで、その響きが耳に届くと、家事などそっちのけで
モニターの前を陣取り、一言も漏らさぬよう、アナウンサーの
声に神経を集中させる。
何月何日何時ごろ、どの方角に多く出現するか、しっかり脳に記憶する。
そしてワクワクしながらときを過ごし、近くの小高い山の
頂きに登って広がる夜空に包まれる。

数年前、大好きな作家の新刊『流星さがし』が平積みされていた。
当然、躊躇することなく手に取ったが、
タイトルに気持ちはさらにときめいた。

流星さがし流星さがし
(2009/08/20)
柴田 よしき

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

ミッフィー の トイレットペーパー

ミッフィ

「あれっ?、なんかへん!」
そう感じたのは、トイレのドアを開け、
吊り棚にストックされた2ロールのみになったトイレットペーパーを
目にしたときだった。

なにか忘れているような、
あるべきものが、そこにないような、物質的な喪失感のような感覚。


ふと、昨日買い物をしたスーパーの映像が浮かぶ。
ミッフィーの絵が描かれたトイレットペーパーが
特売されていたのを見て、カゴに入れた食料品とともに、
レジに持っていった。

支払いを済ませ、すぐ後ろのカウンターに
カゴとトイレットペーパーを運んだ。

そこまでは、ミッフィーが
いっしょだったことは確かだった。

けれど、それを車に運び入れた記憶も、
家のなかに持ってきた記憶も……ない!


慌ててレシートを確認する。
ちゃんと “ミッフィートイレットペーパー” と印字されていた。
「うん、わたしの記憶は正しい!」
「いやいや、そこじゃなくて、それからミッフィーはどこへ?」
「あっ、そうでした」
ひとりでボケにツッコミつつ、レシートに記された番号をプッシュする。

「あの〜、昨日トイレットペーパーを購入したんですが、
もしかしたら置き忘れてしまったかもしれないのです……」と、問い合わせると

「そうですか、調べてまいりますので、少しお待ちいただけますか」と、
スタッフの方は快く応対してくれた。

それからしばらくして戻られ
「ミッフィーの……」という回答に、わたしは聞き終わるのも待てず、
かぶせるように

「そうです!ミッフィーのトイレットペーパーです!」と、興奮して答えていた。
そして、夕方いただきに行くことを約束し、お礼を言って電話を切った。

仕事の帰り道、そのスーパーで買い物をして、ミッフィーをいただいて帰宅する。
この世の中、捨てたもんじゃないな〜!
カウンターに置かれたトイレットペーパーなど、誰かが素知らぬ顔で
持っていったとしても不思議ではないのに、誰もそんなことはせず、
お店の方もちゃんと保管していてくれた。

なんだか温かい気持ちになって、ミッフィーのトイレットペーパーを
シャンパンタワーならぬ、ミッフィータワーにして遊んでしまった。


でも……と思う。
この、注意力散漫で忘れん坊の体質、なんとかせねば ‼︎



さくらんぼ日記 5

さくらんぼ1

つ、ついに収穫しました〜!
ほんの5粒ですけど……

わたしの生家は街なかにあるため、壁1枚が隣家との境界線で、
そのうえ玄関を出ると、そのままアスファルトにつながるという、
土のない環境だった。
だから必然的に “大地の恵み” への憧憬が深くなってしまう。

ちょうど梅雨に入るころの、この季節になるとよみがえる。
小学校の通学時、学校までの途中に建っていた、1学年下の男の子の家。
その家の庭に、たわわに実っていたさくらんぼ。
少し顔を上げただけで、目に飛び込んでくる赤く熟したさくらんぼを見て、
呆然と立ち尽くしてしまった、少し切なく羨ましかった思い出。

ようやく庭のある家に引っ越して4年、念願のさくらんぼ収穫の悦びは、
ん十年間の憧れそのもの。
数日前から、赤味が強くなってきたさくらんぼの実を見るにつけ、
そろそろかなと思いつつ、逸る気持ちを抑えられずにいたところ、
たまたまテレビで、さくらんぼ狩りの番組が流れていた。
広いさくらんぼ園が映し出され、レポーターの方が実のとり方を訊いている。
農園のオーナーが言うには、茎の根元には翌年の花芽が付いていて、
それをとってしまえば、来年実が付かなくなってしまう。
だからさくらんぼをとるときには、実だけをとるとのこと。

桜桃忌も間近いということもあるのだろうが、あまりに
タイムリーな情報にまたまた感激。
そのありがたい教訓をしっかり脳に置いて、さくらんぼを摘む。
それほど大きくない木には、まだ少し黄色いものも合わせて、
20個ほどの実が付いていた。
そのなかから真っ赤に色づいた5個を選んで指でそっとつまむ。

軽く洗ってクリスタルのぐい呑みに飾れば、
まるで宝石のような輝きに感慨もひとしお。
食べてしまうのがもったいないと思いながらも、
ひとつぶを手にとって口に入れる。
わずかに感じる渋みと、爽やかな酸味に優しい甘さ。

ふとカレンダーに目を遣れば、今日は6月13日。
太宰治が入水した日である。
太宰先生も、天国でさくらんぼを召し上がっているのかなぁ……

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

星に願いを。 川口 晴

星に願いを。

鈍色の海をのぞみ、高台にたたずむ箱館の病院で看護師を
している青島奏(かな)は、毎夜仮眠室で急患が
運ばれてくる夢を見る。
気の合う同僚、石川里美は奏の良き理解者であり、ふたりは
よく元気になった患者の話をしながら、看護師という職業の
手応えに悦びを感じるのだった。

ただ、3年前に救急で運ばれ、一命はとりとめたが、視力と声を
失った天見笙吾のことを考えると、割り切れない気持ちになる。
笙吾は口笛は吹けるが声を出せず、視力を失っているのに、
まるで周りが見えているように気配を察することができる。
匂いでその人物を感じるらしい。
事故で両親を失い、ひとり生き残った笙吾は、病院から寮の1室を
借り受け、絶対音感を生かして譜面起こしで生計を立てている。

特別扱いは控えなければと思いつつ、奏は笙吾の定期検診に
毎回立ち会うほど、笙吾の視力が気になってしまう。
何度も箑吾の部屋を行き来し、髪を切ったり、目が不自由だとは
思えない手際良さで淹れてくれるコーヒーを飲みながら世間話をしたり、
笙吾が高校のころからの行きつけ“ジンさんの店”で、
トマトジュースを飲んだりして過ごすうちに、ふたりは徐々に
特別な存在になっていく。

桜が咲きはじめていた。
“ジンさんの店”からの帰り道、笙吾は宝くじを買っている奏の
声に気づき、ふたりは宵闇のなかを散歩する。
そのとき、ふたりの頭上を流れ星が弧を描いて落ちていった。
奏が笙吾に目を治すため「いつか、いっしょにアメリカに行こう」
と、囁く。

それから奏は病院へ向かい、ハーモニカの練習をしてから
帰ることにした笙吾が国道に出たとき、歩道にハーモニカを
落としてしまった。
笙吾は手探りで探すしかなかった。

病院に着いて、着替えを終えた奏の耳に、廊下を急ぐ
足音が近づいてくる。
ロッカーのドアがノックされ、師長に呼ばれる。
「急患。急いで!」
廊下に出た奏の目の前をストレッチャーが近づいてくる。
信じられない光景、運ばれていたのは笙吾だった。

奏は、処置室でただ立ち尽くしていた。
ボスミン、カウンターショック、心臓マッサージ……
笙吾の手から床にハーモニカが落ちた。

失意をさまよう奏。
しかし、流星群がやってくる夜、不思議なことが……

映画『星に願いを。』のノベライズ本。
ピュアな恋が奇跡を呼ぶファンタスティックラプストーリー。

星に願いを。 (竹書房文庫)星に願いを。 (竹書房文庫)
(2003/04)
川口 晴

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

もやしもん 石川雅之

もやしもん


沢木惣右衛門直保(さわきそうえもんただやす)と
結城螢(ゆうきけい)は、東京の農大に入学し、
沢木の祖父と知り合いの、樹慶蔵(いつきけいぞう)教授と、
教授門下の農大院生長谷川遥に出会う。

肉眼で菌が見える沢木は、教授がアザラシを土に埋めて
発酵させた土中発酵菌群や、長谷川の足に住む白癬菌、
密造酒犯の貧乏学生、2年生の川浜拓馬と美里薫が造る日本酒の
ヒオチ菌(日本酒造りで失敗の一因になる火落ち菌)を見つける。

金策のための密造が失敗した川浜と美里は、菌が見えるという
不思議な力を持つ沢木に、自分たちの寮にウヨウヨ滞在している菌を
活用して、お金儲けの方法を考えて欲しいと頼み込む。
そこで冬虫夏草を見つけた沢木は、ふたりにその培養を
してみてはと提案する。

浮遊する菌を指で掴む沢木、沢木の幼なじみで造り酒屋の
息子結城、カナディアンイヌイットの発酵食品キビヤックが
好きな樹教授、水虫持ちの怖い院生長谷川、密造するほど
酒好きのヒゲ男美里、美里とつるむデブ男川浜。

生ゴミ処理機も、油を使わずに唐揚げが作れる電子レンジも、
あらゆる文明の利器が端を発しているという農学。
最先端を走る学問を通して、個性豊かな登場人物たちの
大学生活が始まる。


本書は
どぶろくやホンオフェの作り方
ピクルスや漬け物は乳酸発酵
灰はバイオサイエンスの先駆者
麻は石油に代わる代替エネルギー
ミミズ研究の第一人者は、進化論のダーウィンであり、
ミミズが生態系を支えている虫
菌の持つさまざまな可能性
などなど、ためになる情報が満載。

かわいらしいイラストで描かれた、A・オリゼー、A・ソーエ、
ペティオコッカス・ハロフィルス、S・ラクチス、L・ブルガリクス、
L・ヨグルティなど、菌満載のコミック農大物語。


もやしもん(1) (イブニングKC (106))もやしもん(1) (イブニングKC (106))
(2005/05/23)
石川 雅之

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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

決定版 図説 旧約・新約聖書

決定版 図説 旧約・新約聖書

旧約聖書と新約聖書の総称であり、キリスト教の
教典である聖書。
世界で約21億人の信徒を有するキリスト教。
その信徒数の多さから、教典である聖書は、
世界で最多の人に読まれている書物である。

巻頭カラーには
天地創造、アダムとエバ、ノアの箱舟、バベルの塔、
ダビデとゴリアテ、モーセの十戒、受胎告知、イエスの洗礼、
聖マタイの召命、イエスの奇跡、最後の晩餐、ゲツセマネの祈り、
ユダの接吻、イエスの磔刑、イエスの復活、イエスの昇天など
聖書の名場面が、鮮やかな画とともにキャプションで
解りやすく説明されている。

旧約聖書はユダヤ教の教典で、イエス出現以前の人間と神との
契約について、新約聖書はイエス出現以降の神と人間との
契約について記されている。

第1部 『旧約聖書』
第1章 人類史はこうして始まった
第2章 イスラエル王たちの繁栄と苦悩
第3章 神に選ばれた人たち
第2部 『新約聖書』
第1章 イエスという男の物語
第2章 イエスの弟子たちの行跡
第3部 聖書の有名な言葉

聖書は、神の言葉とわざによる、荘厳な天地創造で始まる。
神は7日間で、光と闇、大空と水、大地と海、植物、太陽、月、星、
魚介、鳥、獣、家畜、そして神に似せた男女の人間を創造した。
この7日間が、現在の7曜制の起源である。

神は大地(アダマー)の塵でアダムをつくり、エデンの園に住まわせ、
生命の木と善悪を知る木の実だけは食を禁じた。
そしてアダムの肋骨でエバをつくり、2人はエデンの園に住んだが、
蛇にそそのかされ、善悪を知る木の実を食べてしまう。
そのことを知った神は、労苦をアダムに、出産の苦しみをエバに与え、
2人を楽園から追放する。

冒頭から、ついつい唸ってしまいそうな興味深い内容に、一気に読破。

あれは高校生のころだった。
少し辛い経験をした直後、まるで神からの使者のように我が家を
訪れてくれた女性に、半年ほどキリスト教の伝導を受けていた。
定期的に来訪され、聖書の一節を抜粋して、神の教えをご教示いただく。
そして嬉しいことに、なんと聖書までいただいたのである。
けれど読解力のないわたしにとって、ひとりでその聖書の内容を
理解するのはかなり困難なものだった。

本書は難解な表現はいっさいなく、解りやすい図説とともに、
楽しみながら大きな存在に触れることのできる一書である。

決定版 図説 旧約・新約聖書 この一冊で聖書がまるごとわかる!決定版 図説 旧約・新約聖書
この一冊で聖書がまるごとわかる!

(2013/05/08)
月本昭男
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言葉の花束 愛といのちの770章 三浦綾子

言葉の花束 愛といのちの770章

本書は、敬愛する三浦綾子さんの全著作から厳選された言葉が
まとめられた1冊。

人間、この信じ難いもの……孤独と虚無
自分の人生では自分が主役……自覚と生き甲斐
良心に時効はない……罪意識と自我
言葉は人を殺し、人を生かす……人間関係と言葉
病気も失恋も立派な履歴……生命と苦難
無事であることが奇跡……謙遜と感謝
愛は「死ね」とはいわない……国家論と教育
夫と妻に休日はない……結婚と家庭
「好き」は感情、「愛」は意志……愛の難しさと美しさ
で構成された770章。

敬虔なクリスチャンである著者の言葉は、慈愛に満ちて
温かく心に沁み入り、ときに厳しくわが身への猛省をうながされ、
迷い悩みさまよったときの道しるべとなる。
言葉の重みと新鮮な感動、既読の作品に再び出逢えたときの
懐かしさもよみがえる。
生への、人への、世界への真摯な想いに触れることのできる、
タイトル通り、珠玉のメッセージが綴られ、清らかな香りが漂う言葉の花束。

言葉の花束―愛といのちの770章言葉の花束―愛といのちの770章
(1998/06)
三浦 綾子
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東西ミステリーベスト100 文藝春秋編

東西ミステリーベスト100 文藝春秋編

『週刊文春』が1985年にとった、約400名のアンケート結果を
もとに刊行した『東西ミステリーベスト100』の大改訂版。

◆国内編
【総合ランキング】
国内編 第1位〜第102位
【特別座談会】
「東西ミステリー」徹底分析!
大森望×大矢博子×杉江松恋×千街晶之
【作品解説】
全102作品の「あらすじ」と「うんちく」
【文庫版おまけ】
103位からの国内ミステリー100タイトル

◆海外編
【総合ランキング】
海外編 第1位〜第100位
【特別座談会】
「東西ミステリー」徹底分析!

大森望×大矢博子×杉江松恋×千街晶之
【作品解説】
全100作品の「あらすじ」と「うんちく」
【文庫版おまけ】
101位からの国内ミステリー104タイトル
【先輩後輩対談】
北村薫×折原一 わが青春の「東西ミステリー」(完全版)
【1985年版総合ランキング】
国内編
海外編
で構成され、
古典から現代ミステリーまで、国内・海外を合わせて202冊が網羅。
各作品ごとにあらすじやうんちくなども楽しむことができる1冊。

1日が48時間あればと願うような忙しない現代社会。
そのなかにあってなんとか捻出する、貴重な読書時間。
星の数ほどある書籍のなかから、良書や好みに合う本を
選ぶのは難しい。
新聞やテレビ番組などの書籍紹介を参考に、購入することが
多いわたしにとって、本書はこれから読むための指針となると同時に、
ランキングされていた既読書は懐かしさとともに、
再度愉しめる興味深い良書となった。

東西ミステリーベスト100東西ミステリーベスト100
(2013/11/08)
文藝春秋・編
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

恋とお金と夢に効く! 幸せな奇跡を起こす本 佳川奈未

幸せな奇跡を起こす本

本書は
『恋に奇跡を起こす魔法のパワーの法則』
『夢に奇跡を起こす魔法のエネルギーの法則』
『お金に奇跡を起こす魔法のソウル&ウィルの法則』の
大きく3章に分かれて構成されている。

幸せな奇跡を起こすために大切なことは、敏感に自分の気持ちに
アンテナを張り巡らし、夢を描き、エネルギーを発すること。

起こりうる出来事にはすべて意味があり、停滞、キャンセル、アクシデントは
宇宙が導いてくれるメッセージで、宇宙は大きな愛で夢をサポートしてくれる。

快感の想像で波動レベルをアップし、強固な気構えで幸運の波に乗る。
主人公になれるピュアな心で夢をイメージし、アクションのステップを踏んで、
実現のステージを迎えるために、快適な心の状態を維持して波動を高める。

偉大な心の力が、夢と奇跡を実現させてくれると語る。

なんだぁ、具体的な方法論はなにもなく、精神論のみ?
と、意気消沈しながらも、なにかが引っかかっていた。

昔、ある人から聞いたことがある……結局、人生は本人が思い描く、
そのままの道を辿る……のだと。
だから、思いを強く持てば、夢は叶う。

今、その言葉がふいによみがえった。
そして自分の今までの人生を振り返ってみると、確かにその通りだった。
強く願ったものは、自分の手中にある。

では、今後わたしの望みは……?
タイトルにあるように、恋とお金と夢!
それらを得るため、思いを強く抱き、キラキラ輝きワクワクする心を!
本書は、それが実践できそうな、不思議な力を持っている。

【大活字シリーズ】恋とお金と夢に効く! 幸せな奇跡を起こす本【大活字シリーズ】恋とお金と夢に効く!
 幸せな奇跡を起こす本

(2014/02/26)
佳川奈未
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

心屋仁之助の心配しすぎなくてもだいじょうぶ 心屋仁之助

心屋仁之助の心配しすぎなくてもだいじょうぶ

職場・友人・彼・子どもなどに関する、飛び抜けて
相談数の多い人間関係の悩み。
そんな相談をもちかけられたときは、自分の心を
助けてあげることを助言する。
自分を救えるのは自分だけと、性格リフォームカウンセラーの
著者は語る。

1章 みんな「わかってほしい」「認めてほしい」だけ
ー「すねている」から気持ちがまっすぐに伝わらない
2章 もっと甘えてもバチは当たらないよ
ー自分の「弱み」を出したほうが人間関係はうまくいく
3章 心配のしすぎは、やめよう
ー「空気を読むのをやめる」と世界が広がるよ
4章 誰も悪くないのに、苦しくなるのはなぜ?
ー心の“古傷”を抱きしめる
5章 ちゃんとモメないと本音はわからないよ
ー⭐︎社交辞令ばかりの人間関係⭐︎では、つまらない!
6章 「ま、いっか」で人生がガラリと変わる
ー他人も自分も「許す」と器がグンと大きくなる

相手がなにを分かってほしいのか。
それは共感したい、してほしい。
相手が思っている真髄に気づくことが受け止める力。
それらを踏まえ、具体的にどう言葉を返せば、関係が良好な状態を
保てるか、実際のエピソードを取り混ぜながら解説されている。

ときどき、この人とはウマが合わないと感じることがある。
相手の人間性は認めたうえで、話が噛み合わないとか、期待した答えが
返ってこないとか、価値観が違うなどと思うときである。
生まれた場所も育った環境も違うのだから、考え方も違って
当たり前なのに、自分の正当性を誇張するばかり、相手がなにを
言いたいのか、なにを分かってほしいのか、考えられる余裕がない。
「感情の剛速球」「甘え下手」「心の内乱」「被害者意識」「やつあたり」
「熟成された本音」など、思い当たるふしに苦笑しつつ、自分の器の
小ささに気づかせてくれる1書。

まだ社会人になったばかりの頃、フレンチのマナー講習会に
参加したときのこと。
講師の先生はこう教えてくださった。
もし、隣に座っている方が、ナイフとフォークを間違えて使っていたら、
あるいは順番を違えて使っていたら、あなたも同じように
間違えてください。
マナーとは、周りの人に恥をかかせない思いやりなんです。

本書に触れながら、マナーの心を聞かせていただいた講師の
先生の言葉がオーバーラップしていた。

心屋仁之助の心配しすぎなくてもだいじょうぶ心屋仁之助の心配しすぎなくてもだいじょうぶ
(2014/01/23)
心屋 仁之助
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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。