8月の投稿書籍

二流小説家陽気なギャング謎解きはディナ青 の 炎有頂天家族東京タワー
二流 のコピー 陽気なディナー青の炎有頂天家族東京タワー
神様から一言フリーター家を四日間の奇跡ブラームスは重力 ピエロかのこちゃん
神からフリータ4カ間ブラームスのコピーapierrot.jpgkanokoのコピー
40フォーティー不自由な心天使の梯子隠蔽捜査ラ ン容疑者Xの献身
40フォーティ不自由な心天使の梯子のコピー

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先日、持病の頭痛とアレルギーの薬をいただくため、かかりつけの診療所を訪れた。
待合室で『新世界より』に夢中になりながら、ふと右隣りを見やると、身体の大きさから、
たぶん6~7歳と思われる男の子が、わたしと同様、本に夢中になっていた。
よくよく見ると、絵本ではなく、活字びっしりの書籍を読んでいる。
きっと賢い子なんだなぁと思いながら、なんだかとても嬉しくなり、ついつい声をかけてしまった。
「本、好き?」
彼は不思議そうにわたしの顔を見つめ、無言のままうなずいてくれた。

電車のなか、喫茶店の座席、銀行の待ち合い椅子など、周りで読書をしている光景を見ると、
心が温かくなる。

そんな自己満足を果たすため、たくさんの方に本のおもしろさを知っていただきたいと、
このブログを始めましたが、書籍の内容より、読んでいたときの状況やら、自分の気持ちなどが
前面に出ているようで、お忙しい時間をぬって訪問してくださる方に、
申し訳ない気持ちにもなります。

ただ本が好きで、書くことが好きなわたしは、
今とても充実した日々に感謝の気持ちでいっぱいです。
どうか独断と偏見、自分勝手な解釈の拙文をお許しくださいますよう。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

容疑者Xの献身 東野圭吾

容疑者Xの献身

あまりにも有名なガリレオシリーズ第3弾。

おもな登場人物は、数学の天才でありながら、家庭の事情で高校の数学教師を
している石神哲哉。
べんてん亭で働き、石神が住むアパートの隣室に越してきた花岡靖子と、
その娘で中学生の美里。
そして天才物理学者の湯川学と草薙刑事。
実は、湯川と草薙、それに石神は、帝都大学の同期生だった。

穏やかに暮らす靖子と美里のもとへ、靖子の2番めの元夫である富樫があらわれた。
ふたりは富樫から逃げ続けていたが、居所を突き止められてしまったのだ。
またも暴力を振るう富樫に、渾身の力をふるって抵抗し、ついに殺害してしまった靖子と美里。
茫然と立ちすくむふたりに聞こえてきたノックの音。
ドアを叩いたのは、隣人の石神だった。

あいさつ程度のつきあいしかない花岡母娘を、石神は深く愛し感謝していた。
彼女たちを救うため、偽装工作に奔走し、警察の目を欺くため、みずからも犯罪に
手を染めていく天才数学者。

感動と切なさに胸があふれ、活字が滲んでいくラスト。
でも、そこまで愛せる人に巡り会えた石神は、最高の幸せを勝ち得たのではないだろうか。

容疑者Xの献身 (文春文庫)容疑者Xの献身
(文春文庫)

(2008/08/05)
東野 圭吾
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

虎猫と三毛猫……ルリ

Luly.jpg

先日、学生のころの友人とイタリアンレストランでランチと、久しぶりの再会を
楽しんだ帰りしな、ドアを開け外に出ると、お店の壁際に小さなトラの仔猫が2匹、
仲良くおとなしくお座りしていた。
彼らを見ていた友人から
「そういえば、池袋のアパートに遊びに行ったとき、小さなネコちゃんがいたよね?
名前はルリちゃんだっけ?」と聞かれ、
その記憶力に驚嘆しつつ、ルリのことがよみがえる。

生後1か月で、知人から譲ってもらった三毛猫。
とてもお利口な猫。
わたしがトイレに行くと、いっしょに付いてきて、タイルの床にしゃがみ、用を足す。
お腹が空くと、わたしの脚に小さな身体をスリスリして、文字通り猫なで声でご飯をおねだりする。
東京から生家に戻る際の引越し作業中、いつもと違う状況に異変を察知し、ソファーに座ったまま
丸い瞳からこぼれた涙。

シティキャットからカントリーキャットになった数か月後、お腹が地面に付きそうになった
ある日のこと、わたしが帰宅し部屋に入ると、ルリは苦しそ うに円を描きながら這いずっていた。
そろそろ生まれるのかもしれないと、背中やお腹をさすっていたが、トイレに行こうと立ち上がる
わたしのスカートの裾を噛んで離さない。
まるで「行かないで」と言っているかのように。
わたしはなんとか尿意を脳から追い出し、付き添うこと5時間。
ルリはまたも円を描きながら身体を横たえ、イキミだす。
そしてわたしの目の前で、ブチと白、合わせて3匹の赤ちゃんのお母さんとなった。

懐かしくも忘れ得ぬ奇跡の過日。
「生命の誕生に居合わせてくれてありがとう」と、ルリのお墓にお礼を伝えに行こう。
彼女の好きだったネコ缶を持って。


テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

ラン 森 絵都

ラン 森 絵都

9年前のこと、13歳で両親と弟を失う。
それから奈々美おばさんに引き取られるが、彼女も2年前、癌で亡くなり、
孤独になってしまった夏目環。
22歳の環は大学を中退し、スーバーマーケットの通販部でアルバイトをしている。
数奇な運命を背負い、人と関わることを避けて暮らす環が、唯一言葉を交わす
自転車屋店主の紺野。
彼もまた家族を失くしていた。

環は、可愛がっていた猫の死をきっかけに、この街を離れることを決意した紺野から、
息子のために作った、世界に1台しかないロードバイク「モナミ1号」を譲り受ける。
そのロードバイクは、みずから意志を持ち、導いてくれる不思議な力を持っていた。
そしてロードバイクを乗り回していたある日、死んだはずの猫こよみと出会い、
こよみの先導でたどり着いた場所は、両親と弟がいる冥界ファーストステージだった。
家族に再会し、喜びに浸る環だったが、実は「モナミ1号」は、亡くなった紺野の息子
大紀のガイドによってたどり着いたものであり、彼に返さなけれはならないと
奈々美おばさんに諭される。

ロードバイクなしにファーストステージを訪れるには、自分の脚で40kmを
走らなければならないことを知り、現世で身体を鍛えていくなか、
もみあげの長い怪しい男ドコロにランニングチームへスカウトされる。
やがて結成されたへっぽこチーム8人が、久米島マラソンに向かい奮戦していく青春ストーリー。

本書を買ったのは5年前、安倍川花火大会に向かう途中の、小さな本屋さんだった。
最近は公私ともに多忙になってしまい、なかなか実行できないが、ショートトリップが好きで、
当時は近県によく一泊旅行に出かけていた。
安倍川花火大会は、打ち上げ数15,000発を誇る、全国でも人気のある花火大会である。

本を選ぶ際、帯は読まずに買うわたしは、本書も同様に購入した。
著者の作品も初体験で、内容も事前情報は皆無。
ただタイトルから「走る」話なのだろうと、勝手に想像し、安倍川花火の残像が脳裡に
うずまくなか、次の感動『ラン』をダッシュボードの上に乗せ、帰路をひた走った。

ランラン
(2008/06/19)
森 絵都
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

友情とiPhoneとイタリアン いざ上田へ

Friendship iPhone

方向音痴・地理音痴に加え機械音痴。

iPhoneを持って1年。
MAPアプリを使えばナビゲートしてくれることは分かっていつつ、機械音痴のわたしは
なかなかその便利な機能を活用しようという気概が起きなかった。
けれど、東京から佐久に嫁いできた学生時代の友人と、上田のイタリアンレストランで
会うことになり、ひとりでそこまでたどり着けるか不安があったため、 ジョブス氏の
崇拝者である知人に教えを請い、翌日試運転。

とりあえず隣村の大型ショッピングセンターを行き先に設定し、ハンドルをにぎる。
アクセルを踏んで走り進むと、
「お~、なんて正確で的確、プラス早めのアナウンス!」
と、感激しながらスムーズに到着し、興奮しながらプレの1日が終わった。

そして本番。
高速経由も青木峠経由も避けたかったので、とりあえず行き先を「三才山」
……たぶんこれが間違いの元……に設定し出発。
往来の激しい国道を抜け、山道らしい上り坂に入る。
あとは直線のみだから、行き先をイタリアンレストランに設定し直し、また車を走らせる。

ところが道はだんだん狭くなり、勾配は急になっていき、カーブばかりが続く。
まるで “けもの道”
すれ違う車は1台もなく、どんどん不安な気持ちが広がる。
画面に出てくる距離も一向に減らない。
上りにカーブでは、速度もせいぜい30~40km/hしか出せないから、当然といえば当然だ。
約束の時間に間に合うだろうかとか、行き止まりだったらどうしようかとか、
不安が増すなか、ようやく下りに入り、“普通”の道路らしき道が見えて きた。

そしてなんとか約束の時間ギリギリにレストランに到着し、食い意地の張ったわたしの至福の
時間、ランチに突入。

彼女とは昔から好みが似ていることが多かった。
数あるなかで、頼んだメニューも同じ〈エビとルッコラのピリ辛ペペロンチーノ〉。
パノラマに広がる硝子窓の向こうには、芝の庭園にテーブルが数席。
心落ち着く風景を愛でながら、ペペロンチーノと懐かしいおしゃべりに、未来への
展望を楽しむひととき。

それに、カラー&アロマセラピーアドバイザーやハンドメイトクラフトの肩書きを
持つ彼女が持って来てくれた、ビーズで飾られた手作りのポーチに ティシュケースや、
和紙で作られた髪飾り兼ブローチにも大感激。
11時30分に入店し、お店を出たのはなんと3時!

お料理とおしゃべりと未来への夢を満喫しながら、それぞれ帰路につくことに。

帰りはストレートに我が家の住所を入力し、安心ナビで到着。

友情とiPhoneとイタリアン。
なにより行動を起こすことで得られる感慨と感激。
iPhoneがあるから、これからはひとりでどこまでも飛ぶぞぉ!
夏の終わりに、暑い風と熱い思いに包まれながら。

追伸、ながながと自分の思いを綴ってしまいました。
ご笑覧くださった方に、ごめんなさい&ありがとうございました。


テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

隠蔽捜査 今野 敏

隠蔽捜査

6時に起床し、コーヒーを片手に5紙の新聞に目を通す。
日々変わらない日課である。
ところが日常と違っていたのは、自分に報告のない事件が社会面を飾っていた。
その事件とは、過去に女子高生を誘拐・監禁し、1か月以上に渡り集団で陵辱し
殺害した重大事犯の犯人、保志野俊一が銃殺されたというものだった。
数日後、その事件の共犯者である水戸信介も銃殺される。

主人公はエリート意識が強いが、「エリートとは特権とともに大きな義務も
つきまとう」という持論を持つ、警察庁長官官房総務課長で、陰性な竜崎伸也。
警視庁刑事部長で陽性な伊丹俊太郎とは、小学校の同窓生でライバルである。

ふたりは仲がいいと周囲からは思われているが、実は小学校時代、竜崎は
伊丹グループにいじめられていた。
そんな因縁があり、東大卒の竜崎は、私大卒の伊丹に対し、
密かに優越感を抱いている。

家庭では「俺は国のことを考える。おまえは家のことを考えてくれ」と
豪語しているが、潔いほど淡々とした妻冴子には、空振りばかり。

相次いで殺人事件が起きるなか、一流私大を合格したにもかかわらず、
東大でないと官僚は出世できないと、父竜崎から私大に行くことは許されず、
再び東大を目指し予備校に通う長男邦彦が、あろうことかヘロイン煙草を吸っていた。
警察関係者の家族が犯罪に手を染めれば、警察官は懲戒処分を受けるのだろうか?
警察庁のトップを目指してきたが、出世どころか、降格は免れないだろう。
家族は?長女の縁談は?
いろいろな思いが交錯するなか、第3の殺人が!

3件の事件は同一犯によるものなのか?

堅物で変人の警察庁エリートと、高感度抜群で歯に衣着せぬ物言いをする
警視庁エリートが、警察権威喪失という警察全体の危機に対して方針の激論中、
いつしか小学校時代のイジメの激論に変わっていたり、妻冴子からの
「あなた本当に友だちいないでしょ?」という質問に、
「いないが、それがどうかしたか?」と、竜崎の唐変木な一面をまざまざと
見せつけたり、ハードボイルドでありながら、心のツボを熟知した著者が描く
エリートキャリア警察小説。

安堵と爽快感に包まれながら、奥付けをめくると、
“本を閉じる前に” の画面があらわれた。
上段には著者の作品が並び、下段には “この本を買った人は、
“こんな本も買っています” の見出し。
5冊ほど並んだなかに、大好きな近藤史恵著『サクリファイス』が載っていた。
思わず「あたし!あたし!買った!買った!」と叫んでしまった。
やっぱり本はつながっているんだなぁと、『隠蔽捜査』の興奮とともに、
新たな感動を覚えつつ、iPadを閉じる。

隠蔽捜査
(新潮文庫)

(2008/01/29)
今野 敏
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

天使の梯子 村山由佳

天使の梯子のコピー

両親が離婚し、理髪店を営む祖母の家で育てられている慎一。
複雑な家庭環境に反抗するように、“軽さ″に身を包む慎一にとって、
祖母の愛情がうとましく感じられる。
あるとき、つまらないことで言い争ったあと、祖母が突然亡くなってしまった。
取り返しのつかない後悔に苛まれ、悲しみにくれる日々。
そんな慎一に静かに寄り添う大人の女性、夏姫。

大切な人をなくしてしまう喪失感……
『天使の卵』の続編で、切ない愛の物語でありながら、
父のことを思い出さずにはいられなかった。

彼は20年ものあいだ、心筋梗塞という親友とともに過ごし、結局その親友と
手を取り合い、別の世界に逝ってしまった。
ゆらゆらと天井に向かって揺れるろうそくの炎を眺めながら、微動だにせず
横になっている父に、声を出さずに訊いてみた。
「あなたの人生は幸せだったのでしょうか?」

「天使の梯子」あるいは「天国への階段」と呼ばれる、
雲間から大地にこぼれてくる、ひとすじの陽光。

お父さん、あなたは天使に手を取られ、その光に包まれて天上し、
今ごろ穏やかな日々を過ごしている……よね⁈

天使の梯子 Angel's Ladder (集英社文庫)天使の梯子
Angel's Ladder
(集英社文庫)

(2007/10/19)
村山 由佳
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ジャンル : 小説・文学

不自由な心 白石一文

不自由な心

『天気雨』『卵の夢』『夢の空』『水の年輪』『不自由な心』の5編からなる短編集。

表題の『不自由な心』は、主人公である江川一郎が、実の妹から「夫が浮気しているから、
離婚したい」旨を告げられる。
妹の夫は江川が勤める会社の後輩であり、自分が紹介した森山啓介だった。
社内事情に精通している江川は、浮気相手と思える一力真希に啓介との仲を問い質す。
そんな江川もまた、妻や娘がいるにも拘らず、部下の津村みゆきと不倫の関係にある。

ほかに
不倫相手の女性が、以前付き合っていた彼と結婚するという噂に動揺する男。
死に直面している父を持ち、昔の彼の元へと妻に去られてしまった男。
さまざまな事情から結婚することができなった女性と、今は不倫関係にあり、
出張帰りの飛行機のなかで遭遇した大きな振動に死を予感する男。
余命1年を宣告され、妻と娘を捨て、かつて愛した女性のもとを訪れる男。

人はみな満たされない心を抱えながら、なにかを求め続ける。
主人公にわが身を委ね、深い海の底で孤独に浸る。
生とは……
死とは……
愛とは……
心を描かせたら秀逸な作家の珠玉小説集。

不自由な心 (角川文庫)不自由な心
(角川文庫)

(2004/04)
白石 一文
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

40フォーティ 翼ふたたび 石田衣良

40フォーティ  

喜一は今年40歳。
大手広告代理店を辞職してから、フリーランスプロデューサーに転身し、
友人のオフィスに机を置かせてもらっている。
暇にまかせ、宣伝のために始めたブログ「40」。
そのブログをきっかけに、同年齢の人々から仕事の依頼が舞い込むようになった。
凋落したIT企業元社長。
銀行の熾烈な出世争いに巻き込まれているふたりの同級生。
高校3年から23年間引きこもっている男。
子どもの送迎をビジネスとして起業したオタク。
癌を宣告されたコピーライター。

『真夜中のセーラー服』『もどれないふたり』『翼ふたたび』『ふたつの恋が終わるとき』
『われら、地球防衛軍』『はい、それまでよ』の1話完結短編が、最終章の
『日比谷オールスターズ』で、ひとつに繋がる、7編からなる連作短編集。

よわい40!
「不惑」などとはかけ離れた、迷えるお年頃。
ちょっとばかり人生経験を積んだ、ひよっ子でございます。
でも、だから、これから始められる。
「余計な荷物を全部捨てて、かんたんを頼りに、幸せに届く」よう、夢に向かって。

40 翼ふたたび (講談社文庫)40 翼ふたたび
(講談社文庫)

(2009/02/13)
石田 衣良
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ジャンル : 小説・文学

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 万城目 学

kanokoのコピー

マドレーヌ夫人、和三盆、ミケランジェロ、キャンディなどの猫たちが集う、
朝の集会で始まるプロローグ。

主人公は、かのこちゃんとマドレーヌ夫人。
かのこちゃんは小学1年生。
名前の由来は、お父さんが久々に会った鹿に「女の子が生まれる」ことを告げた。
すると「名前はかのこ(鹿の子)がいい」と、その鹿がしゃべり、命名したとのこと……
さすが!著者は鹿とお友だちですもんねぇ‼

かのこちゃんは優しいお父さんとお母さん、それから13歳で耳が遠い犬の玄三郎の、
3人と1匹家族。
そこに、1年前の激しい雷雨の日、アカトラ猫が玄三郎の小屋に逃げ込んできた。
犬だって雷は苦手なのに、うずくまるアカトラ猫に小屋を譲り、
ずぶ濡れになって見守っていた優しい玄三郎。
博識の玄三郎と優雅なアカトラ猫。
猫にとって外国語である犬の言葉を理解できることを不思議に感じつつも言葉を交わし、
それから2人は夫婦になった。
そして家族は3人と2匹になり、アカトラ猫は赤茶色の身体の色から、
マドレーヌと名付けられた。

かのこちゃんはお父さんに、いろいろ難しい言葉を教えてもらう。
例えば「知恵が啓(ひら)かれた」や「刎頸(ふんけい)の友」などなど。
好奇心旺盛で物怖じしない行動力により、さまざまなことを吸収し学んで、
知恵が啓かれていくかのこちゃん。

マドレーヌ夫人は玄三郎に、長生きしすぎた猫は尻尾の先が2つに割かれ、
人に化けるという「猫股」の話を聞かされる。
そして眠気に襲われたマドレーヌ夫人が見たものは、2本に分かれた自分の尻尾。
自転車に乗ってやってきた「かとりさん」に化けてしまった自分自身。
それからかとりさんがすべき行動を遂行していく。
突然の摩訶不思議なできごとに戸惑いながらも、人間の姿を借りて、愛する玄三郎のため、
生肉を買ったり、かのこちゃんに玄三郎のドッグフードを柔らかいものに
かえて欲しいとお願いしたりと、優雅な印象とは対象的に、夫への愛情が健気で
かいがいしいマドレーヌ夫人。

一方かのこちゃんには、刎頸の友であるすずちゃんが引っ越してしまうという
悲しい現実が待っていた。
お別れの日が迫っているにもかかわらず、すずちゃんは体調を崩し欠席している。
もう会えないかもしれないと思っていたお祭りの夜、奇跡が起こる。
けれど、実はその奇跡とは……

かのこちゃんとすずちゃん、マドレーヌ夫人と玄三郎。
家族、出会い、死、別れ。
人や動物という境界を越えて、心を分かつ感動のファンタジー。

我が家のパピヨン犬も今年13歳。
玄三郎同様、最近とても耳が遠くなってしまった。

愛情も友情も家族も夫婦も、血縁や種族に関係なく魂がふれあい、
同じ時間を共有している。
我が家にも、やがてその時間が止まる日がやってくる。
そのとき、きっと本書がよみがえり、かのこちゃんやマドレーヌと
玄三郎が現れて、慰めてくれるだろう。

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)かのこちゃんとマドレーヌ夫人
(角川文庫)

(2013/01/25)
万城目 学
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

小布施と渋温泉

オープニング1

画像をクリックするとYouTubeにて詳細が閲覧できます。

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

重力ピエロ 伊坂 幸太郎

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「春が2階から落ちてきた」で始まる冒頭。
なんてベタな比喩⁉
と思っていたら、実際に落ちてきたのは弟の春だった。
読み始めから頬が緩んでしまう洗練されたユーモアと文章センス。

語り手は遺伝子関連の会社に勤務する、2つ上で春の兄・泉水。
すでに他界してしまった美しい母と、癌に侵され闘病中の父に
深く愛されて育った兄弟。
けれど、春は母がレイブされ身籠ったという重い十字架を背負っていた。

街では連続放火事件が頻発し、泉水の会社も狙われる。
放火事件のそばには必ずグラフィアートが描かれていることから、
春が事件のルールを突き止め、ふたりは真相究明に乗り出していく。
そして、ものがたりは衝撃の展開に……

友人に勧められ、伊坂さんの作品と出会い、ファンになった。
その友人からは何冊も伊坂作品を借り、彼の「法で罰することができないなら、
みずから制裁を与えてもよいのでは」という社会批判にも思える観念に共鳴し、
独特の世界にどっぷり浸かっている。

重力ピエロ重力ピエロ
(2003/04)
伊坂 幸太郎
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焼売&餃子

ジャンボ焼売1  キムチ餃子1

                                     作り方は画像をクリックしYouTubeにて

テーマ : レシピ
ジャンル : グルメ

ブラームスはお好き フランソワーズ・サガン著 朝吹登水子

ブラームスのコピー

美貌を持つ夫と、安定という約束された生活を捨て、自らの可能性を求めて離婚し、
ディスプレイデザイナーとしての地位を確立させている39歳のポールには、
大人の男性ロジェという恋人がいる。
けれど、つれなく浮気性のロジェとの生活に、孤独は広がっていくばかり。
そんなときに出会った25歳の青年シモン。
シモンは、美しく凛としたポールに夢中になる。
そしてコンサートへの誘いの手紙をしたためる。
その手紙の文面は
「ブラームスはお好きですか」
シモンの純粋で一途な愛に、穏やかな気持ちに包まれつつも、
39歳という年齢が重くのしかかる。

タイトルは忘れてしまったけれど、瀬戸内寂聴さんが書かれていた本の一節。
「人間の精神年齢は18歳から成長しない。けれど、外見は確実に老いていく。
そこに悲劇が生まれる」

ポールにはきっと、未来のその辛さが耐えがたかったのだろう。
自分ならどんな選択をするだろうか?
夢を見られるほど若くはない現実、切なさとロマンに揺れる恋物語。

ブラームスはお好き (新潮文庫)ブラームスはお好き
(新潮文庫)

(1961/05/12)
フランソワーズ サガン
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ジャンル : 小説・文学

ごま酢ポーク

ごま酢ポーク

作り方は画像をクリックしYouTubeにて

テーマ : レシピ
ジャンル : グルメ

四日間の奇跡 浅倉卓弥

4カ間  

舞台はオーストリア。
未来を嘱望された新進ピアニストの如月敬輔。
彼は不運にも強奪犯と遭遇し、楠本千織をかばって銃で打たれ、指を失ってしまう。
帰国後、敬輔は両親を失くした千織の面倒をみることになる。
千織は先天的に知識・言語障害がありながら、ピアノに対しては優れた才能が
あるというサヴァン症候群の持ち主だった。
ふたりは、千織のリハビリも兼ね、ピアノ演奏旅行に日々を費やす。
そんななか、訪問先の療養センターで偶然、敬輔の高校の同級生・岩村真理子と出会う。
そして、突然事故は起きた。
雷鳴とともに、真理子と千織のもとにヘリコプターが墜落し、真理子は大火傷を負い
意識不明の重体に……そして“四日間の奇跡” へと……

あるグループの発表会で、わたしたちは歌と演奏を披露することになった。
その発表会で「伴奏できる人がいないから、どうしても引き受けて欲しい」と懇願され、
わたしはあまり深く考えもせず、安易に承諾してしまった。
そして、1週間後の全体練習で、ようやく気づくことになる
……自分が酷いあがり症だったことを。
ただの練習だけでも、指が震えてテンポがおぼつかなくなるくらいなのに、
客席より1段上のステージに上がっての発表会当日は惨憺たるものだった。
震えはもちろん、演奏中、頭が真っ白になり、途中から楽譜を追えなくなった。
ずれた伴奏。不協和音。
気持ちばかりが焦るなか、2番に入ってようやく、なんとか音階もメロディーに
追いつくことができ、なにごともなかったかのように最後を迎えることができた。
わたしはこの発表会を「4分間の奇跡」と呼んでいる……しょ、しょぼい奇跡!

四日間の奇蹟四日間の奇蹟
(2003/01/08)
浅倉 卓弥
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ジャンル : 小説・文学

フリーター家を買う 有川 浩

フリータ

主人公である武誠治は、大学を卒業後すぐに就職するが、3か月で
その会社を辞めてしまう。
それからなかなか再就職もできず、ダラダラとフリーター生活を続けていく。
そんな息子が歯痒くて仕方ない父とは口論が絶えない。
ある日、誠治を信じ常にかばってくれていた母がうつ病に罹ってしまう。
そのことを契機に、これまでの生活を変えなければと一念発起し、家族にも仕事にも
真剣に向き合っていくフリーターの誠治。

時間を持て余していた3年前、いつもの本屋さんに足を運んだ。
ドアをくぐると、すぐに“話題の書籍コーナー″があり、そこに平積みされていたのが
本書『フリーター家を買う』だった。
当時、失業中だった我が身に、なんてタイムリー!
とばかりに、逡巡する間もなく購入。
「今、職を失っていても心配ないよ」と言われているような、優しさをもらった1冊。

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)フリーター、家を買う。
(幻冬舎文庫)

(2012/08/02)
有川 浩
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テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学