10分で読める伝記 1年生 監修=関西大学初等部・中高等部 学校図書館教育主任 塩谷京子

伝記

『ヘレン・ケラー』文・星 明子 絵・中村頼子

アメリカのタスカンビアという小さな町で
生まれたヘレンはとても賢い赤ちゃんでした。

ところが1歳のとき重い病気にかかり、
話すことも聞くことも見ることもできない
三重苦になってしまったのです。

なかなか自分の意思が伝わらず怒りっぽく
乱暴になったヘレンを助け教育してくれたのは、
家庭教師のアン・サリバン先生でした。

サリバン先生は根気よくルールやマナー、
言葉と物、話し方や声の出し方を教えたのです。
おかげでヘレンは障害を克服し、大学にも通い、
80歳を超えても障害者のために働き続けました。

そしてその功績により、さまざまな国で
障害者のための法律ができ、多くの人々から
尊敬される存在となったのです。

情景を描写したモノトーンやカラフルな絵と、
ひらがなに覆われたページ。
小学1年生とそのご家族に読んでほしい伝記入門書。

ほか『ファーブル』『モーツァルト』『ライトきょうだい』
『ナイチンゲール』『ディズニー』『ベル』『一休』
『円谷英二』『野口英世』収録。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

ニューフェイス

洗濯機

入浴後、バスマットの上にしゃがみこむ。
狭い脱衣所で、眼に入るのは
すぐ前に鎮座する洗濯機に貼られたシール。
書かれているのは製造年月日と耐用年数。

とっくに過ぎていた。
そろそろ買い換えなければと気にしながらも、
使えるうちはまだ大丈夫かなと
たかをくくっていたが……

そんな矢先、 洗濯したあと
洗濯物に隠れた糸くずフィルターを
毎日発見するようになった。
装着してもすぐ外れてしまうのだ。

耐用年数は正しい。
という結論に達し、
残金の淋しい通帳を眺めながら、
電気屋さんへ直行。
当然金額のはるものは避け、
できるだけリーズブルな列だけを物色。

そのあたりの決断力というか、
いろいろ考えたくないズボラな性格はピカイチで、
おめあて商品は即決だった。

数日後、我が家にやって来たニューフェイス。
どうかできるだけ長生きしてくださいと祈りつつ、
たぶん我が家でいちばんの働き者になるだろう
日々の過酷な作業、どうかよろしくお願いいたします。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

ニュクスの角灯(ランタン)① 高浜 寛

ニュクス

1878年 長崎・鍛冶屋町

西南戦争で両親を亡くした美世は
自力で生きていかねばならず、
道具屋「蛮」の求人に応募した。

給仕も針もできないうえ、
字も読めない美世は募集要項を
ひとつも満たしていないことを知り
諦めかけたが、触った物の過去や
未来の持ち主が分かる能力を認められ、
めでたく奉公することとなった。

待っていたのは店主で青い目をした
小浦百年(こうらももとし)。
帳簿・裏方担当で料理の上手な岩爺(がんじい)。

パリ万博渡来品、ドレス、チョコレート、ミシン、
蓄音器、マジック・ランタンなどたくさんの胸踊る品々。

「蛮」の扉を開けてから、薄幸だったいままでとは
対照的な世界にワクワクする美世。
『角灯シリーズ』第1巻。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

おはぐろとんぼ 江戸人情堀物語  宇江佐 真理

お歯黒

『ため息はつかない 薬研堀』
かつて鉤形の長い堀だった薬研堀
(やけんぼり)に住む豊吉は
幼くして両親を亡くし、
父親の妹であるおますに育てられた。

生活は困窮し、おますは兄の勘次から
内職の仕事をもらって、毎晩遅くまで
豊吉とともに薬草をすり潰していた。

豊吉は12歳で勘次が奉公する薬種屋
「備前屋」の小僧に雇われ、18歳のとき
勘次から店のお嬢さんとの縁談を打診された。

お嬢さん・おふみはでっぷり太っていて
二十歳を過ぎた行かず後家ということもあり、
気乗りしない豊吉だが、
断れば職をなくすかもしれないと悩む。

しかしおふみは気風がよく頼りがいのある
優しく純粋な女性だと知り、豊吉の気持ちも
ほだされていくなか、
おますが物盗りに殺されるという事件が起きた。
そして豊吉が下手人として
捕われてしまったのである。

ほか『裾継 油堀』『おはぐろとんぼ 稲荷堀』
『日向雪 源兵衛堀』『御厩河岸の向こう 夢堀』
『隠善資正の娘 八丁堀』
『文庫のためのあとがき』が収録された人情堀物語。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

本好きの下克上   原作 : 香月 美夜 漫画 : 鈴華 イラスト原案 : 椎名 優

本好き

「高く亭々たる大空を司る
最高神は闇と光の夫婦神〜〜」
神官長に従い、誓いの儀式をとりおこなう。

下町育ちの平民・マインは
青色巫女見習いとして神殿に迎えられた。
神殿には図書室があり、
本が読めると大喜びしていたが……

側仕えの面々は神官長に心酔しているフラン、
口を開けば悪口ばかりのギル、
愛人スパイ宣言のデリア、
と、波乱と異世界に戸惑う。

瀟洒な神殿のデザインに目を奪われ、
個性的な登場人物の成長に目が離せない
バイブルファンタジー第2部。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

離婚    色川 武大

離婚

『離婚』
フリーライターの羽鳥誠一が
出版の世界に入りたてのころ、友人のなかの
ひとりだった会津すみ子から
「お妾(めかけ)になりたいわ」と請われたのを
きっかけにいっしょに住むようになり、籍を入れた。

誠一は淋しく心が臆し孤独だったのだ。
視力が弱く大切に育てられたすみ子は
疲労感が烈しく忍耐力もなく知性もいびつだった。

仕事がうまくいかなくなった誠一は
ギャンブルに深入りし、家計は失調。
家庭内離婚の状態が続き、
生活費月30万円を条件に離婚成立。

野放図に育ち、自分を主張する権利がないと
思う誠一は強烈な傷から解放され
悦びに満ちていたが、気がつけば
出て行ったすみ子の部屋に。
そう、本妻のいない妾状態だった。

法的束縛のない自由な関係が究極の理想像なのかも。

誰かと深く結びつきたいと願いつつ、
意図して無縁に生きてきた哀しみ。

『四人』『妻の嫁入り』『少女たち』と続く
連作短編集。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

コロナと熟成発酵黒にんにく

黒にんにく

ブログでも「クッキング」で紹介している
YouTubeでのお料理レシピ。
訳あって数年間ほったらかしのままでした。
でも、またまた訳あって再開したいなぁと、
食材探しに出かけたのです。

地方の道の駅というのは、スーパーでは
めったに見られない野菜などが売られている
ということもあり、市場調査のつもりで
安曇野穂高へ赴き、見つけたのが熟成黒にんにく。
見た目は黒いにんにくです。

ニンニクを熟成発酵させ、フルーツのような甘味と
食感を楽しめ、生のままなら特有の匂いが玉にきず
でも、発酵させると気にならないという。

しかも抗酸化作用と血液サラサラ効果により
高脂血症の予防や血圧・肝機能を正常に保ち、
免疫力増強にリラックス効果もあるとか。

今、目に見えないほど小さな敵にも関わらず、
その力は最強である新型コロナウィルスに
人類が不利な状況に立たされている現状を
打破するためには、免疫力をつけることが
個人ができる最善の策ではないでしょうか。

というわけで熟成黒にんにくで
免疫力アップをはかるために大根餃子を作りました。
お時間と気力のある方はお試しくださいませませ。

★熟成黒にんにくの大根餃子レシピ
みじんぎりにしたニラと黒にんにく・ひき肉・ごま油・
おろし生姜・鶏ガラスープの素・塩・胡椒をよく混ぜる。
薄くスライスして塩漬けした大根をさっと洗い
キッチンベーパーで水気を拭き取る。
大根で餃子のタネを包み片栗粉をかける。
熱したフライパンにごま油を引き、
大根餃子を並び入れる。
2分焼いたら裏返して2分、大さじ2杯の
お水をさして蓋をし、蒸し焼きにする。
蓋を開け、ジュージュー音がしてきたら完成。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

サヨナラ もっちゃん   丸本チンタ

もっちゃん

ずっと夢中になっていたニャンパンマンから
卒業しなければならないお年ごろ。
年長さん、もうすぐ6歳のもっちゃん(丸本モエ)。

快活で、物怖じしないもっちゃんが発する言葉に
ドキッとするパパとママ。

「もっちゃん」から「私」に変わる一人称。
家では「パパ」なのに、友だちの前では「お父さん」

成長を喜びつつも、
いつしか親離れしていくことを痛感し、
一抹の寂寥を禁じ得ない。

いっしよに暮らしてきたさまざまが、
いつかそれぞれ最後のときがくる。
それでも頼もしくなっていく我が子に心打たれる、
笑いと感動のエッセイ漫画家族絵日記。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

ロマネ・コンティ・一九三五年 六つの短編小説   開高 健

ロマネ

出国のときには不安の新鮮な輝きがあるのに、
帰国となると不安の閃きもない。
歳をとるにつれて昂揚が感じられなくなってきた。
身体に黴(かび)が繁殖するだけだと
分かっていても戻るしかない。

張のニコチン染めで汚らしい歯を見ると、
黴がしりぞく気がする。
香港では張と肩を並べて歩き、話し、
食事するのが習慣になっていた。

帰国前日、張に垢も落とし、按摩もし、
爪も削ってくれる風呂屋に連れられ、
帰りには垢でできた垢の玉までもらった。

翌日、見送りに来た張に垢の玉を見せるが、
反応がおかしい。
そして暗澹とした目をして喋りはじめた。
「文学代表団団長の老舎が死んだ」と……

川端康成文学賞受賞の
本編『玉、砕ける』をはじめ『飽満の種子』
『貝塚をつくる』『黄昏の力』『港にて』
『ロマネ・コンティ・一九三五年』が収録された
珠玉の短編集。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

霊感ママシリーズ 小さな守護神    高野美香

守護神

『花の陰影』
昔、団地を引っ越す際、それまで懇意にしていた
おばあちゃんからお別れにお花の苗を渡された。
しばらくしておばあちゃんが事故で亡くなったと
聞いた1年後、季節はずれにその花が咲き、
そばに亡くなったはずのおばあちゃんが立っていた。
そして「よろしく」とだけ告げ、消えてしまった。

偶然にも引越し先の近所におばあちゃんの息子が
住んでいたが、またしても事故に遭い
亡くなられたのである。

訃報を聞いた翌日、彼は家にやって来た。
母にだけは彼の姿が見える。
何を伝えたかったのか、
おばあちゃんの「よろしく」とは……

突然、母は言う。
「あのあたりに女の人が立ってる」
誰にも見えないものが見える、
霊感が強い著者の母。
そんな謎多き母から聞いた6話をコミカライズした、
恐怖と人情の心霊物語。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

青い罠    阿刀田 高

青い罠

『隣の女』
家計簿をつけていたとき電話のベルが鳴った。
9時を少しまわっていた。

離婚して娘のまり絵と二人暮らしの
江尻恭子が電話にでると、電話の主は、
成績は芳しくなかったが、
色白で美的センスの良い、
中学・高校の同級生桑田晴美だった。

純粋だが、
神さまがつけなくてはいけないものを
忘れたような晴美は、恭子が住む
最寄駅である桜上水から電話し「言ってもいい?」と言う。

夜分にやって来た晴美の相談というのは、
隣家の奥さんのことだった。
「あの女が彼を取っちゃうの」と晴美は
か細い言葉を吐き出すが……

エンディングに注目!
大どんでん返しが冴えるブラックユーモア短編集。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

恋の行方

かえ吉

まるでこのまま消えたくないと、
梅雨将軍が最後の悪あがきをしているような
凄まじい降りだった。
それでも出勤時間になる頃には
雨は小降りになっていた。

職場をめざし、ご老体の愛車・ワゴンRを
爽快に走らせていたが、
目に飛び込んできた生命体にギョッとしつつつ、
即決命名した名前を当たり前に叫んでいた。

「かえ吉!どこから入ってきたの ⁉︎」

鮮やかな緑色した仔蛙が、ダッシュボードの上で
お行儀よくカエルしゃがみしていたのだ。

車は進み、かえ吉の生まれ育った場所からは
どんどん離されていく……どうしよう?

わたしの心配に気づいているのかいないのか、
カエ吉は少しずつ身体の向きを変えていた。
そしてわたしたちは対角線に向き合う形となり、
見つめ合った、と思う。

車を運転しながら、カエ吉に見惚れていた。
吊り橋効果だろうか、恋におちたような……

気がつくと、カエ吉はいなくなっていた。
助手席の窓から落ちていったのだろう。
そしてわたしの恋も地に落ちた。
あぁ、儚い恋の予感……

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

卑弥呼 ー真説・邪馬台国伝ー 1 作=リチャード・ウー 画=中村真理子

卑弥呼

日向(ひむか)・弥生時代

討ち取られた母の首を取り返そうとして、
ヤノハは偶然出くわした暈(くま)の国の日の
巫女集団に拾われ戦士(もののふ)として
訓練を受けることになった。

100年ぶりに現れた
本物の日見子であるモモソに出会うが、
自分が生き延びることだけに固執したヤノハは
野望のためモモソすら亡き者にしてしまう。

しかしそれは暗闇のなかで死んでいくさだめであり、
ヤノハの謀(はかりごと)が一歩いっぽ近づくことは
死へも近づくことだった。
漆黒の闇と絶望のなか、ヤノハの運命は……

神秘に包まれた日本古代史最大の謎が
コミックとして再燃する新説・邪馬台国史籍。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

神様の定食屋     中村颯希

定食屋

高坂哲史はおばちゃんと身体をシェアしながら
チキン南蛮を作っている。

2か月前、両親が旅行中に事故死してしまった。
悲嘆に暮れたのち、妹の志穂から
あるじを失った定食屋「てしをや」を継ぐから
手伝ってほしいと懇願され、
うっかり承諾した哲史だったが、
現実はキャベツの千切りもままならず……

神だのみしかなかった。
そして念願の巨乳美女ではなく、普通の
おばちゃん・時江さんに憑依されたのである。

おせっかいでおしゃべりの時江さんは身の上話をはじめ
「てしをや」での料理を
どうしても食べてもらいたい人がいるのだという。

一体となった哲史たちの前に、
「てしをや」の扉を開け入ってきたスーツ姿の青年を見て
目を潤ませる時江。

SE職でマウスより重いものを持ったことがなかったのに、
包丁と奮闘している哲史。

大そうな酒好きでおもしろすぎる神様。

定食屋を通して人と関わり、料理と思いやりの
深い関係に気づく、心温まる情愛物語。

テーマ : 本の虫
ジャンル : 小説・文学

おいしい落語① 桐丸ゆい

落語

『王子の狐』
江戸のはずれの王子稲荷。
女狐が若い娘に化けるところを、
お参りに来た男が偶然見てしまった。
男は化かされたフリをして、
逆に騙してやろうとたくらむ。

言葉巧みに高級料亭へ連れ込み、
さんざん飲み食いしてお土産に卵焼きまで頼み、
狐が酔い潰れたすきに料亭を立ち去ってしまった。

狐は化けていたことがバレてボコボコにされ、
男は卵焼きを手土産に友人宅を訪れた。

ことの顛末を告げると、
友人から祟りがあるとおどされ……

ほか『目黒のさんま』など、
名作落語が霧の団姫氏のコラム付きでコミカライズ。

祖母が存命だったころ、
まだ幼かったわたしによく話してくれた。
「お友だちがね、狐に憑かれてたくさん油揚げを
食べるようになっちゃったんだって。だから、
信仰の山・御嶽山の力を借りて除霊したんだよ」

懐かしい昔がよみがえる1書。

テーマ : アニメ・コミック
ジャンル : アニメ・コミック

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Hollyzard

Author:Hollyzard
本が恋人です。
料理は大嫌いですが、でも実は天才なんです(笑)。
外でおいしいお料理に出会うと、勝手にアレンジしてマイレシピにしてしまいます。